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いつか魔王になろう!  作者: Red/春日玲音
第一章 魔王になろう

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聖女 -6-

 「えっと……精霊さん?さっきの……精霊さんですよね?」

 (……何?)

 うっわぁー……機嫌わるそー。

 「えーと、この子が起きるまででいいから、一緒におしゃべりしませんか?」

 (……そこの、……ミミとしっぽを自由にさせてくれるならいい。)

 精霊さんはリーンの尻尾と耳に興味ありか……しかたがないよね。こんなに魅力的なんだもん。

 私はリーンを引き寄せる。

 「仕方がないねぇ……私のだけど、おしゃべりしてくれるなら、特別に10分だけ好きにしていいよ!」

 「な、何を言って……ナミッ!」

 うるさいリーンの尻尾をぎゅっと握って黙らせる。

 これは高度な駆け引きなのよ。


 「相手はミーナの事知ってるみたいだから情報を引き出さないと……ここは私に任せて。」

 私は、リーンに小声でささやく。

 ミーナの名前を出すと、途端に大人しくなったリーン……チョロいわ。

 (……あたしが言うのもなんだけど……その子、そんなにチョロくて大丈夫?(

 あ、こら、しーっ!

 「えっ?チョロい?」

 「何でもないの、何でも……私に任せてっ!ねっ、ねっ!」

 リーンは、不思議そうな顔をしているが、この際放置だ。

 「余計なこと言わないでっ!あの尻尾モフモフできなくてもいいの?」

 私は小さな声で、精霊さんに話しかける。

 (ハッ!それは困る!)

 「でしょー。あの子の尻尾触った時、毛並みもいいけど、反応がとてもかわいいのよ。」

 (ウム、それは楽しみだぞ。)

 「それからね、それからね……。」

 (ふむふむ……お主も悪よのぅ!)

 「いやぁー、そんなに褒めないで。」

 私達はリーンの話で盛り上がる。

 この精霊さん、ノリが良くていいわー。

 

 「だからね、ここはひとつお互いに『協力』して……」

 話している途中、急に精霊さんの気配が変わる……凄い魔力圧だ。

 (……お主、何が狙いだ!)

 すごっく警戒されてる……なんで?

 さっきまで、あんなにノリノリで話してたのに……って、まさか……。

 「えっと、違うの、誤解なの!話を聞いて!」

 (何が誤解だ!今、言霊が発動したではないか!私には、この子を守る使命がある!)

 「ホント、誤解なのよ!」 

 私は精一杯叫ぶ。

 こんなことで、むやみと敵を増やしたくないよぉ。   

 私の焦りように、黙ってみてたリーンが戦闘態勢を取る。

 「リーン、ダメ!」

 しかし、遅かった。


 リーンが剣を抜いた瞬間、剣が打ち払われ、私の喉元に小剣が付きつけられる。

 (あ、リィズちゃんおきた?)

 「エアリーゼ、これはどういう状況っすか?」

 状況が分からないというリィズと呼ばれた少女……さっきまで寝てたはずなのに……速い!

 「これはどういう状況っすか?」

 左手の剣を私の喉元に、右手の剣で、リーンを牽制しながら、リィズが訊ねてくる。

 「えーと、誤解なのよ?」

 (その女、私に対して、何かを仕掛けようとしたの……リィズちゃん、やっちゃう?)

 「だから、誤解なんだってばぁ。」

 私は必死になって誤解を解こうとする。

 「ナミから剣を引け!」

 リーンが言う。

 「ナミに……聖女様に傷一つでもつけてみろ、地獄の果てまでも追い詰めて、生きていることを後悔させるぞ!」

 リーン、過激過ぎ!私は大丈夫だからね。

 「聖……女?」

 しかし、そのリーンの言葉に目の前の少女が反応する。

 「そうだ、そのお方はアルガード王国の要する「慈愛の聖女」様その人だ。」

 「あなたが……聖女……。」

 リィズと呼ばれた少女が私の方を見る。

 「アハハ……そうとも呼ばれている……かな?」

 「聖女……この人がにぃにの……。」

 何かつぶやいているがよく聞き取れない。

 「あ、あのね。さっきのは誤解で……。」

 「……『地球』……」

 えっ……今この子なんて言った?

 「……『地球』『日本』『USO』……」

 ちょ、ちょっと……

 「ちょっと待って、なぜあなたが!」

 しかしリィズは答えない。

 「……「レイフォード」……。」

 「何故、その名前を……」

 リィズの口から放たれる言葉……その一つ一つが私の体を縛り上げる気がする

 この世界じゃ絶対聞けるはずのない「地球」「日本」そして「USO」と「レイフォード」……この子プレイヤーなの?

 「……「星野彼方」」

 リィズの口からその名前が出た途端、私の中で何かがキレる。

 私は次の瞬間にはリィズの刃先から逃れ、逆にリィズに対し威圧をかける。

 「その名前……誰から聞いたの!」

 リィズは双剣を前でクロスにし、威圧に耐える。

 「答えなさい!何故あなたがその名前を知ってるの!」

 (リィズちゃん、力を貸すわ!)

 リィズの体が光り、ミミとしっぽが生える。

 あら、可愛い……っと、そんな場合じゃなかった。

 「答えて!」 

 「グッ……にぃにに……言われた……さっきの言葉……最後の名前を……聖女が知っているなら……守れって……うぐっ……。」

 にぃにかぁ……懐かしい呼び方だなぁ。

 私は威圧を解く。

 「クッ……私が守らなくても、強い……よ……にぃにのばかぁ……。」

 リィズのそんなつぶやきを私の強化された耳が拾う。

 しまったぁ……

 

 「あ、ごめんね!つい……。」

 私は慌ててリィズに駆け寄り抱き起す。

 「カナミの名に於いて最高神たる女神エルフィーネに祈りを捧げます。この者に癒しの力を……。」

 『癒しの光(キュア)

 天より光が差し込み、リィズに降り注ぐ……。

 しばらくしてリィズが目を開ける。

 「あぁ、よかった。気が付いた。ゴメンね。センパイの名前聞いてつい……。」

 「あなたが聖女で……さっきの5つのキーワードに心当たりがある……で間違いないっすか?」

 リィズが聞いてくる。喋るのも辛そう。

 ……って、半分は私の所為か。

 「ウン、そうだよ。私が「聖女」でさっきの言葉もちゃんと知ってる。あなたは彼方センパイを知ってるの?」


 この世界に来て、初めての大きな手掛かりだ。

 この子はセンパイを知ってる。じゃなきゃ「星野彼方」なんて名前がでてくるはずがない。

 『地球』と『日本』までなら、向こうから転生された人ってだけで済ませられる。

 それに『USO』が加わってくると、しかも『レイフォード』という名前まで出てきたら、少なくとも私とセンパイの共通のフレンドという所まで絞られる。

 こういっては何だけど、私もセンパイも交友関係は狭かったから共通のフレンドと言っても片手で数えれるくらいしかいない。

 だけど……『星野彼方』この名前を知っている人はそのフレンドの中にはいない。

 「地球」で「日本」で「USO」をやっていて「レイフォード」が「星野彼方」だって知っているのはセンパイ本人と私しかいない。

 つまり、この子はセンパイからその言葉を教えてもらっていることになる。


 「教えて、センパイは……彼方センパイはどこにいるの?」

 しかしリィズは首を横に振る。

 「ワタシは『彼方センパイ』なんて知らない。さっきの言葉は、にぃにから聞いただけ。この言葉を知っている者は味方だからって……。」

 「そ、そんな……。」

 そんなはずない。この子は知ってるはず……。

 「特に最後の言葉「星野彼方」を知っているなら、その子は大事な人だからにぃにの代わりに守って欲しいと言われてる……。」

 私はその言葉を聞いて、力が抜ける……。

 センパイだ、センパイだよぉ……。

 私の眼から涙が溢れてくる……。

 「センパイ……センパイ……ちゃんと生きていてくれた……。グス……センパイがちゃんといたよぉ……。」 

 私はリィズを抱きしめる。

 抱きしめて、思いっきり泣いた。

 センパイがちゃんといる。私の事大事な人だって……忘れずにいてくれた……。

 

 (ちょっと、ちょっと……嬉しいのは分かるけど、そろそろリィズちゃん離してよ)

 私は、感極まって、ずっとリィズちゃんを抱きしめたまま泣いていたのだ。

 「あ、ゴメンねぇ。」

 「苦しかったっす!」

 リィズちゃんがプイッと横を向く。

 あれっ?嫌われちゃった?

 「とりあえず、色々情報交換しよっ。ねっ、ねっ!」

 プイッ!

 「あーん……エアリーゼ、何とかしてぇ……」

 (そう言われても……拗ねてるリィズちゃんも可愛いし……)

 私は精霊さん……エアリーゼと教えてもらった……に助っ人を頼むが……。

 「確かに、可愛いけどぉ……リーンのしっぽ撫でさせてあげるからぁ。」

 「ちょ、ちょっとナミ……勝手に……」

 (任せなさい!……リィズちゃんそろそろ機嫌治して……このままだとレイに再会した時あることないこと言われちゃうよ?)

 「……それは困るっすね……。仕方がないっす。にぃにに守れと言われてるっすから。」

 リィズちゃんが、やっとこっちを向いて話してくれる。 

 「情報交換っすね。私も知りたいことありますし……。」


 「ミーナは?ミーナは無事なのか!」

 リーンが話に割り込んでくる。

 ずっと聞きたくてウズウズしていたんだろう。

 「無事っすよ。少なくとも私たちと別れるまでは無事だったっす。」

 リィズちゃんの機嫌が悪い。

 うーん、何とかしてご機嫌取りたいなぁ。

 (あーゴメンね。別にミーナちゃんが悪いわけじゃないんだけど、複雑な気持ちなのよ。そこは察してあげて欲しいかなぁ?)

 エアリーゼが補足してくれる。


 話をまとめると、ガリヤの街で商人を助け、ミーナを保護した一団というのはリィズちゃん達だったらしい。

 で、ミーナちゃんを守りながら獣人達の集落へ連れて行ってあげたのはいいんだけど、そこで、獣人王国の建国騒ぎに巻き込まれ、センパイと離れ離れになったらしい。

 ミーナちゃんが悪くないと思いつつ、ミーナちゃんを助けなければ今頃は……と思ってしまう自分に自己嫌悪してるらしい。


 私はリーズちゃんを抱きしめる。

 「うーん、リーズちゃんは悪くないよ。私だって、センパイと離れ離れになるくらいなら何を犠牲にしてもって思うからね。」

 リィズちゃんは黙っている……けど私に少し体重を預けてきた。

 少しは信用されたのかな?

 「その……感謝する。ミーナを助けてくれたリィズ殿とレイフォード殿にも……。そして、我々獣人のごたごたに巻き込んで申し訳なく思う。」

 そう言ってリーンは深々と頭を下げる。

 「いいっすよ……別にリーンさんが悪いわけじゃないっす。ただ、ダビットさんに会ったら「貸し一つ!」って伝えといてください。……にぃにと再会する前に、あの人に会ったら斬り付けないでいる自信ないっすから……。」

 ダビットさんって……あぁ、獣人王国の国王予定の人ね。

 

 リィズちゃんから聞いた話をまとめると、今回の事件の裏で手を引いてるのはリンガード共和国の一部のえらい人たちと、アルガード王国の王権を狙っている人達、それにエルミナって女の人らしいのね。

 そのエルミナって人が、色々暗躍していて、センパイやソフィアたちを罠にはめたりしたらしいんだけど、ダビットって王様はそれに気づかず、言いなりになっているらしいの。

 で、許嫁だって言うリナって子を遠ざけて自分が王妃の座に着こうとしてるらしいんだけど……。


 「とりあえず、ミーナもリナもリーンもダビットに近づかなければ、とりあえずは安全っす。」

 そうリィズちゃんが言うけど……。

 「なんでそこにリーンが?」

 「ダビットが言うには3人とも幼馴染で、嫁候補だって……。」

 「……ダビット、殺す!……リーンは私の嫁よ!」

 「ナミ、落ち着いて。そんなんじゃないから……大丈夫だから……。」

 リィズちゃんの言葉を聞いて憤る私を必死で止めるリーン。

 「嫁発言は否定しないんすね。」

 リィズちゃんが揶揄うように言う。

 「えっ、いや、違いますよ……何言ってんの、もぅ……。」

 慌てふためくリーンが可愛い。


 とにかく、そこでセンパイと別れることになったリィズちゃんは国境付近で、ミリィっていうお姉さんとも別れることになったらしい。

 国境を抜ける際にソフィアたちが見つかり、それを助けるためにリィズちゃんたちが頑張ったんだけど追い詰められて、ミリィさんって人が結界を張ってくれてその間に脱出出来たんだって。

 ただ、ミリィさんは結界を張ったままそこから動けなくなってるって・・・・・・。

 (まぁ、ミリィは「精霊王女」だから害される心配だけはないわ……だから、リィズしっかりしなさいよ。)


 その後は、リィズちゃんがソフィアから離れて追っ手を始末したり、引き離したりしながらここまで来たらしい。

 今ソフィアに張り付いている追っ手は大したことないから、もう一人の子に任せて、リィズちゃんはこっちの厄介な傭兵を相手にしていたところに私たちと出会った……という顛末ね。


 そう聞くと……センパイがいなかったら、私はソフィアもリーンも失ったかもしれないんだね。

 その気はなかったんだろうけど、いつもセンパイには助けられているんだね……敵わないなぁ。

 私はリィズちゃんを抱きしめる。 

 はっきりと言ってないけど、この子もセンパイの事が好きなんだろう。

 でも、そのセンパイに「私を守れ」って言われてここにきている。

 残酷だね……。


 「センパイのバーカ……。リィズちゃん、ゴメンねぇ……。」

 センパイの代わりに私が謝るね。

 「……謝ってもらう必要ないっすよ。にぃには、「ワタシを」頼りにしてくれたんっす。……「ワタシだから」にぃにの代わりが務まるんすよ。」

 リィズちゃんがにっこり笑いかけてくる……が、その瞳には挑戦的な色が宿っている。

 ……この子……手強い……かも。


 「カナミはにぃに・・・・・・レイフォードさんの「大事な人」らしいから守ってあげます。」

 リィズちゃんが不敵に笑う。

 今、私この子に宣戦布告された!?

 「フフフ、そうね、わたしとセンパイ・・・・・・レイにぃはずっと昔からの付き合いだからね……リィズちゃんとも仲良く出来ると思うわ。」

 私もリィズちゃんに笑い返す。

 私の方が付き合い長いんだよ。よく知ってるんだよって・・・。

 「へぇ、カナミはレイフォードさんの「昔のオンナ」だったんですね。」

 ・・・・・・うぅ、コレは「今カノ」は私って言われてるのかな?

 私とリィズちゃんは笑顔で睨み合う。


 (乙女の戦いね~。面白くなりそう。)

 「ちょっと、精霊殿、これはいったいどういう・・・・・・。」

 (んー元カノと今カノの主導権の取り合いかな?)

 「・・・・・・なる程。」

 なんかエアリーゼとリーンが無責任な会話してるけど・・・・・・

 (まぁ、カナミも大変よね。リィズちゃんだけでも強敵なのにその後も控えてるんだから。)

 ・・・・・・ちょっと、・・・・・・控えてるって、どゆこと?

 「ちょっと、エアリーゼ?・・・・・・どういう事かなぁ?」

 (・・・・・・こんな面白くなりそうな事、私の口から言える訳ないじゃなーい。)

 エアリーゼが思わせ振りにケラケラ笑ってる。

 どういう事よー?

 リィズちゃんをみるとニヤリと笑っている・・・・・・その表情には諦めに似た感情も見て取れるけど・・・・・・うぅ。

 

 (前途多難・・・・・・、でも恋は障害があってこそ燃えるものよ!カナミ頑張れ!)

 遠くでマァルの声が響いた・・・・・・。


 結局、こちらが先に書きあがりました。

話が全然進まないのが難点ですが、楽しんでいただけたら……(^^;

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