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いつか魔王になろう!  作者: Red/春日玲音
第一章 魔王になろう
31/153

オン・ザ・ステージ!!

 「ええぇっ、無理、無理です!」

 レイファが、激しく首を振る。


 「無理なもんか。俺の見立てだ。大丈夫だ!」

 俺の計画の為にはレイファの協力が必須だ。

 どんな手を使ってでも協力してもらうぞ。

 

 「この街の財政を立て直すには必要なんだ。それとも……レイファは、この街なんかどうなってもいいのか?」

 「そんな事……でも……他の事でも……。」

 まだうだうだ言っている……ここはとどめを刺すか。


 「いいんだよ。俺はここで手を引いても。」

 ここで少しタメを作る……。

 「ただ、俺はレイファが困ってるから少しでも力になろうとしただけなんだ。」

 淋しそうな表情を作って……

 「俺の力は必要ないんだね。ゴメンよ力になれなくてさ……」

 明日この街を出るよ……と聞こえるようにつぶやく。


 (にぃに、演技派っすね。)

 (えー、おにぃちゃんの演技だったの?)

 (レイさんは、途中で投げ出す人じゃありませんよ)

 (でも、レイファお姉さんは何故嫌がるんだろうね。こんなに可愛いのに)

 (それも時間の問題っす。そろそろ落ちるっすよ。)


 ……外野、うるさい。


 「力になってないなんて、そんな事……レイフォードさんが居なければ今頃……。」

 レイファが慌てる…もう一押しだな。

 「いいんだ、実際、このプロジェクトが失敗したら何も出来なかったのと同じことだし。」

 「そんな事……でも……。」

 ここでとどめの一言だな。

 「いいんだ、嫌な事お願いしてゴメン。俺、みんなに謝ってくるよ。」

 じゃぁ、と言って立ち去るそぶりを見せる。

 

 「ま、待って。……私がやれば……。」

 「そうか!やってくれるか!ありがとう!」

 「ちょ、ちょっと、私まだ……」

 最後まで言わせず、強引に進める。

 「ミリィ、リィズ、レイファの着替えを手伝ってやってくれ!」

 「わかりました。」

 「了解っす!」

 二人が快く引き受けてくれる。

 

 「ソラは俺と、演出の確認な。」

 「はーい。ボク頑張るね。」

 「残り日数少ないからな。みんな気合い入れていくぞ!」

 「「「おー!」」」

 「ぉー……なんでこんなことに……。」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 俺達はフレイムドラゴンのランとの邂逅の後、勇者一行を引きずって街まで帰ってきた。

 いや、起こすと煩そうだし、かといって、俺一人じゃ全員を抱えるなんてできないしね。

 彼女たちに抱えさせるのは論外だし……。


 まぁ、さすがに女性?を引きずるわけにはいかないから、魔導士さん……メイルゥって言ったっけ?……だけは抱えてきたけど……何故かみんなの視線が痛かった。


 帰る前、リィズとソラは、ランと一戦交えた。

 さすがはドラゴン、人型でもその戦闘力は底知れず、リィズとソラの二人がかりでも相手にならなかった。

 戦い終えた時には三人とも大満足で、また、時間のある時に摸擬戦をしようと約束をしていたから、いつでも来れるように近くの洞窟に転移陣を刻んでおいた。

 

 ランは俺達と友誼を結べたことを殊の外喜んで「いつでも呼ぶがよい。駆けつけてやるからな」と、竜笛をくれた。

 これを吹けばどこにいても、ランが駆けつけてくれるそうだ。

 とても心強いが、出来ればピンチの時に呼ぶのではなく、遊びに行くときに呼ぶようにしたいものだ。


 俺はお礼に、ランの鱗で作った『龍鱗剣』を贈った。

 これは普段、龍の鱗と変わりないが、魔力を流すことにより剣にも盾にも変化出来るという優れモノだ。

 通常ではこんな変化をつけるのは不可能に近いが、そこは魔力……本当に便利な力だね。


 他にランから、抜けた牙だの鱗の欠片だの翼の被膜だのと希少なドラゴン素材をたくさんもらったが、ミリィ達にはナイショだ。

 今度こっそり生産するのに使うつもりである。


 街に帰って来てからも大変だった。

 まずは勇者達を宿屋に運び込み倒れていることをアピール。

 その後、街の支配人をはじめ実力者たちを集めて説明をする。


 「……というわけで、ドラゴンと話はついていますので、ヘタな刺激を与えないように気を付けてください。」


 ……いや、しかし……

 大丈夫なのか……

 ……でも、勇者様でも……


 「皆さん、ドラゴンさんは、今ヤンゴンの駆除をしてくれています。それが終わったらまた旅立つとおっしゃってくれています。ドラゴンさんを信じましょう。」

 レイファが、訴えかける。

 

 ……そうだな……

 巫女様がそういうのなら……

 ……レイファちゃんサイコー……


 さすが巫女さん。流れ者の俺と違って信用があるね。

 とりあえず、ドラゴン騒動の後始末はこれでいいかな?

 後は、ドラゴンバスターに使った代金の回収だけど……どうするかね。



 翌日、俺はギルドに行き、近隣の農村をまわり、陰でコソコソ暗躍した。

 そして……。


 「お祭りですか?」

 レイファが聞き返してくる。

 「そう、祭りだ。名目は何でもいい……そうだな……『ドラゴンと仲良くなりました祭』なんてのはどうだ?」

 ランも快く協力してくれるだろう。

 「祭りで人を呼び集めるんだよ。観光客に金を落としていってもらうんだ。」

 「でも……大丈夫でしょうか?ここ、何もない街ですよ?」

 レイファは不安そうだ。それも仕方がないだろう……本当に何もないド田舎だからな。

 しかし、今回の祭りは違う。その為の秘策・根回しはすでにしてあるのだ。


 「大丈夫だよ。すでにギルドを通して近隣の街には宣伝してある。ランにも協力要請をしてある。ドラゴンが見れるとなればそれだけでも話題になるさ。」

 それに……こっちにはソラがいる。

 

 「祭りの最後にはソラのステージも予定している。『光翼の歌姫』の名は伊達じゃないぜ。」

 そしてソラだけじゃなく……。


 「ソラちゃんのステージですか。私も楽しみです。」

 「あぁ、俺がバッチシ演出するからな」

 グッズの販売も既に進行中だ。

 「私でお手伝いできることがあれば、おっしゃってください。なんでも協力しますから。」

 「あぁ、頼りにさせてもらうよ。」

 よし!言質を取ったぞ。

 後は計画通り進行するだけだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 「左から、ミリィが……そう、次にリィズ……。」

 俺は、次々に指示を出す。

 「そこで、レイファが……。ソラ、まだ早い。」

 全体の流れを通しで追っていく。

 いい感じだ……。


 「よし、ここでソラだけにスポットが当たるぞ……そうだ、それでいい。」

 クライマックスだ。

 ……OK!

 「よし、いいぞ!……OKだ!本番もこの調子で頼むぞ!」


 「ふぅ……レイさんどうでしたか?」

 「あぁ、ミリィ。サイコーだったぜ。ファン急増間違いなしだ。」

 ミリィがニコニコ笑っている。


 「にぃに、にぃに、私は?」

 「リィズも可愛かったぞ。また、隊員が増えるかもな。」

 それはいらないっす、とリィズが言う。

 

 「おにぃちゃん、あれでよかったのかな?」

 「あの場面ではソラが主役だ。思いきり気持ちを込めてな。」

 わかった、とソラが笑う。

 三人とも万全だ。

 

 「あの……レイフォードさん、本当に変じゃないでしょうか?」

 レイファも他の3人と同じくステージ衣装を着ているが、気慣れてないせいかモジモジしている。

 「似合っているから大丈夫だって。俺を信じろ。」


 レイファが着ているのは、レースとフリルをたっぷりあしらったフリフリの衣装だ。

 こっちの世界では見ないから斬新なデザインとして、皆の目に留まるだろう。

 4人とも基本デザインは同じだが、個々に合わせて細部でアレンジしてある。

 レイファの場合、その豊満な胸元を強調するデザインになっており、可愛さの中にも色っぽさを醸し出している。


 「むしろ、もっと堂々とするんだ。そんなオドオドしていたら、却って悪目立ちするぞ。」

 レイファグッズは予約でほぼ完売状態だというのは、まだ内緒にしておこう。

 ただ……購入者の殆どが近隣のジジィ共「レイファちゃんを孫の嫁にし隊」の連中なんだよな。外部からお金を集めるはずが……本末転倒だぜ。


 ----******-------


 そして祭り当日……。


 ……ザワザワ……

 「さぁ、祭りの始まりだ!まずは炎龍様よりお言葉をいただくぞ!」

 祭りの開催でテンションが上がっているのか、司会もノリノリだ。

 

 「人間ドモヨ、此度ノ祭リ、妾モ楽シミニシテオッタ。其方ラモ楽シムガヨイゾ。」

 「ありがとうございます!炎龍様のお言葉でした!さぁ、みんな祭りの始まりだぁ!」


 うぉぉぉぉぉ―――――……

 ……ガヤガヤ……

 ………ザワザワ………


 街中、喧騒に包まれる。凄い活気だ、

 これだけで、もう成功したと言っても過言じゃないんじゃないか?


 「おにぃちゃん、これからどうするの?」

 「みんなの出番は夕方だからな。それまでは自由に祭りを楽しんでおいで。」

 露店もたくさん出ている。

 祭りを楽しむのを優先にすればいいだろう。


 「じゃぁ、ソラ、一緒に露店巡りをするっすよ!」

 「ウン、ボク、ドラゴン焼き食べたい!」

 「任せるっす!……じゃぁ、にぃに後で。」

 「あぁ、楽しんで来い。」

 行ってきまーすと、街中に駆け出す二人を見送る。

 

 「じゃぁ、私も教会に戻りますね。」

 レイファは、午前中教会でミサがあるので、そちらにかかりっきりになるそうだ。

 「あぁ、じゃぁ後でな。」

 レイファを見送った後、俺はミリィに声をかける。

 「俺達も色々回ろうか?」

 「はい、一緒に行きましょう。」

 ミリィはニコニコ笑いながら腕を組んでくる。


 俺達は露店を冷やかして回る。

 「レイさんあれは何ですか?」

 「あれはドンゴ救いだよ。」

 

 この祭りの露店には、俺が色々アドバイザーとして助言したものが多数取り入れられている。

 「ドンゴ救い」もその一つだ。

 本当は「金魚すくい」なのだが、異世界の常識がそのまま当てはまるわけもなく……。


 この世界には金魚はいない。そのうえ「ただすくうだけ」のどこが面白いか理解を得られない。

 結果「ドンゴ」というモンスターの稚魚が迷路状になっている水槽に入れられ、それを餌を付けた糸を垂らし、誘導して早くゴールまで導いたら勝ちというゲームになった。

 もちろん、途中で餌を取られたらその時点でゲーム終了だ。かといって距離が離れすぎると見向きもしてくれない。そのギリギリの距離感を保ちつつスピードを競うというのが、この世界の人々にウケた。

 ウケ過ぎた……凄い行列が出来ている。


 「これはすごい人気だな。順番待ってると夕方までかかるんじゃないか?」

 「そうですか……面白そうですけど仕方がないですね。」

 ミリィが淋しそうにつぶやく……何とかしてあげたいが、仕方がない。

 

 「ミリィさん!お先にどうぞっす!」

 いきなり目の前の人たちが道をあける。 

 ……コイツら……「ミリィちゃんを見守り隊」の連中じゃないか。

 「……増えてないか?」

 「押忍!おかげさまで隊員志願者が増えております!」

 「そ、そうか……」

 「ミリィさん、どうぞ!」

 ミリィが、案内されてドンゴ救いを始める。

 ミリィが夢中になっている間に確認をしておこう。


 「……オイ、例のモノはどうだ。」

 俺は先ほどの隊員に声をかける。

 「ハイ、売れ行きは順調です。また宣伝もバッチリです。」

 「そうか、夕方のステージの取りまとめしっかり頼むぞ。その代わり、後悔はさせないからな。」

 「ハッ、我々隊員一同楽しみにしております!」

 ミリィグッズは大丈夫そうだ。


 「レイさん、お話し中ですか?」

 どうやらミリィの方は終わった様だ。

 「いや、こっちの話は終わったよ。どうだった?」

 「すごく難しかったけど楽しかったです。」

 「それは良かった。じゃぁ、次の所に行くか。」

 「はい、行きましょう。……皆さんありがとうございました」

 ミリィが道を譲ってくれた皆に声をかける。

 「「「「「あざっしたぁー!」」」」」


 その後もミリィと露店を冷やかして回っていると、リィズと会った。

 「あ、にぃに、ねぇね。」

 「お、リィズ、楽しんでいるか?」

 「ウン、楽しいっすね。」

 「リィズ、ソラちゃんは?」

 「あっちでドラゴン焼き食べ放題に挑戦してるっすよ!」

 リィズが指さした方には人だかりができている。

 「そう、じゃぁ、ソラちゃんは私が見てるからリィズはレイさんと楽しんでらっしゃい。……レイさん、リィズをお願いします。」

 そうミリィが言ってくる。……順番って事かな?


 「そうだな、じゃぁ、リィズ行くか?」

 「行くっす。ねぇね、ソラの事お願いっす。」

 リィズが腕を絡めてくる。

 「にぃにとデートっす!」

 「はいはい、どこ行きたい?」

 「あっちのオクトパツリーに行ってみたいっす。」

  

 オクトパツリーとは八又に分かれた枝が垂れ下がった格好をした植物型のモンスターで、枝の先を光らせて獲物を呼び込み捕食する習性がある。

 しかし、獲物となるのは虫や小動物など小さい個体のみなので、人間にとっては、ただネオンが綺麗な植物である。

 向こうの世界で言うライトアップしたツリーのイメージが近い。

            

 キラキラしてるので女性やカップルに人気が高い。

 リィズもご多分に漏れずお気に召しているようだ。

 「綺麗っすね。ロマンチックっす。」

 「あぁ、綺麗だな。」

 ……はしゃぐリィズを見て思う。

 「ぶー、にぃにそこは「リィズ、君の方が綺麗だよ」っていうところっす!」

 「ハイハイ、リィズの方が綺麗だよ。」

 「心がこもって無いっす!」

 ……照れくさくて言えるか。

 今はまだ、この軽いノリがいい……。


 そのあとも、俺はリィズと一緒に祭りを見て回った。

 殆どが、オクトパス焼きやクラーケン焼など食べ物関係ばっかりだったが……。


 「そろそろソラと交代の時間っす。独り占めの時間は短いっすねぇ。」

 やっぱり順番だったようだ。

 「まぁ、でも、これくらいはいいっすよね。」

 そう言ってリィズは頬にキスをしてくる。

 「ソラを呼んでくるっすー!」

 リィズはパッと離れると逃げるようにして行ってしまった。


 「……ったく。」

 しばらく待ってるとソラがやってきた。

 「おにぃちゃんお待たせ。」

 「ソラ、今日のステージ……、緊張してないか?」

 「言わないでよー、ボク考えないようにしてたのにぃ。」

 ソラが来たとき、いつもと様子が違ったので、聞いてみたが……やっぱり緊張してるみたいだ。

 「まぁ、初めてだからな。緊張するのも仕方がないか。」

 「うぅ……。」

 「今はとりあえず遊ぼうぜ。どこ行きたい?」

 「あれ、あれやってみたい。」

 ソラが指さしたのは「射的」だ。

 これも俺のアドバイスの露店だ。

 ただ、この世界に銃はないのでクロスボウで代用だが。


 「お嬢ちゃん、もう勘弁してよ。」

 店の親父が泣いている。

 ソラの射撃技術は半端なく高い。

 あえて命中率を悪くしてあるクロスボウでも、ソラにかかれば……。

 店の親父の泣き顔がすべてを物語っている。


 「ウン、面白かった。ボクこれだけあればいいや。」

 そう言って、ソラは一抱えもある大きなぬいぐるみを選び、後は店に返した。 

 ……そのぬいぐるみが一番の目玉だったんだろうけど。

 

 他の露店も回ったが、ソラは終始笑顔でご満悦のようだ。

 「緊張も解けたようだな。」

 「ウン、とっても面白くて楽しかった。」

 「この後のステージではその気持ちを込めればいいから。」

 そう言ってソラに笑いかける。

 「ウン、ボク頑張るね!」

 そう言って笑うソラの笑顔は今日一番に輝いていた。

 これなら今日のステージは成功間違いなしだろう。

 「じゃぁ、そろそろ時間だし、ステージの方行くか。」

 「ウン。」



 「すごく一杯いるよ。」

 隙間から外をのぞいたソラが言う。

 まだ開演時間までかなりあるというのに凄い人気だ。

 こういうのは世界が違っても共通なのかな?


 「あの……やっぱり変じゃ……ないでしょうか?」

 レイファがオドオドと聞いてくる……この期に及んで……。

 リィズに「やれっ!」と視線を送る。

 

 「往生際が悪いっす!」

 リィズがレイファの後ろから抱きつく。

 「こんな立派なもの持っていて、何言ってんすか!」

 リィズがレイファの胸を揉みしだく……いや、そこまでやれとは言ってないぞ。

 「あ、やめて……、そこ、ダメ…。」

 おーい、そろそろ止めてやれよ。

 「はぁはぁはぁ……。」

 レイファの息が荒い……本番前にやり過ぎだ。

 「ごめんっす。感触が良くて、つい……。」

 まぁ、レイファも落ち着いたみたいだから結果OKか。

 「じゃぁ、俺は向こうで見てるから、頑張ってくれ。」

 後は開演を待つばかりだ。


 そして……幕が上がる。


 最初はノリのいいアップテンポな曲だ。

 ソラの歌が、リィズのコーラスが、レイファとミリィのダンスが客を沸かせる。

 歓声が沸き起こる

 

 ……ソラちゃーんー……

 リィズちゃーん……

 ………レイファ様ー……

 ……ミリィちゃーん、すっきだー……

 

 ……今、どさくさ紛れで言ったやつ……後でぶっ飛ばそう。


 曲が終わる。

 この後はソラのMCだ……。

 「みなさーん、こんばんわー。今日はありがとうございまーす。」

 とりあえず大丈夫そうかな?

 「初めてで……失敗しちゃうかもしれないけど……ボク頑張るから応援お願いします。」


 おぉぉぉぉぉぉーーーーーそっらちゃーんーーーーー……。

 

 たったあれだけで……凄い歓声だ……この世界の奴らの事舐めてたかもしれない。 

 

 ~~~♪

 ソラの歌声が響き渡る……本当にいい声だ。

 

 「次が最後の曲です。私の大好きな人たちへ、心を込めて歌います……聞いてください。」


 ~~~♪

 4人のユニゾンが夜空に響き渡る。

 ~~~~~~♪

 さて、そろそろ最後の仕掛けの時間だな。

 ソラのソロパートに入る前、照明を落とす。

 そしてソラのソロパート……ソラだけに照明をあてる。

 ソラの背中から翼が広がる。

 ……ここだ!

 俺は気づかれないように魔弾を打ち上げる。

 ソラの頭上で魔弾が弾け、羽根が降り注ぐ……。

 観客は皆、ソラの歌声と幻想的な光景に心を奪われる。

 ~~~~~♪……♪

 そして曲が終わる。

 

 ……一瞬の静寂の後、歓声が上がる。

 幕が閉じても歓声は鳴りやまない……大成功だな。


 俺は、みんなの下に向かう。

 「お疲れ。大成功だったよ」

 「おにぃちゃん、気持ち伝わった?」

 「あぁ、とっても素敵な歌声だった。」


 グッズの売れ行きも順調だ。

 「これで、ミンディアは救われるんですね。」

 レイファが感極まって泣いている。


 ……何とか、なったかな?

 後は封印の解き方だけど……いいや、今はこの充実感に身を委ねよう。

 


  

ソラちゃんのライブです。

ライブシーンって描写が難しいですね。

少しでも伝わればいいんだけど。

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