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いつか魔王になろう!  作者: Red/春日玲音
紋章王国

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エピローグ 終わりと始まり


……何がどうなった?


俺は真っ白な空間で、意識を取り戻す。


ここは知っている。今までにも何度か来た事が有る……。


『レイフォードさん、お疲れさまでした。』


……ネルフィーか?


『そうです。この度は色々ご迷惑おかけしたこと、心よりお詫び申し上げます。』


……今更だな。それより、俺が此処にいるって事は、何とかなったって事でいいのか?


『…………。』


……おぃ。


『クスッ、冗談ですよ。とりあえず、世界崩壊の危機は去りました。少なくとも、これ以上他世界への干渉はありません。』


……ならよかった。リィズとカナミは?


『無事ですよ。あなたが目覚めたらすぐ横にいます。』


……ならいい。じゃぁ俺達を帰してくれ。


『……それは構いませんが、あの世界の事、聞かないんですか?』


……ッ、聞いても意味ないだろ?もう関わることもないんだからさ。


『…………。』


……ぉぃ?


『あ、えっと、そうですわね、関係ないですね?』


……何隠してる?


『えっと、情報は圧縮して送りますね、ご協力ありがとうございましたぁ。』


ネルフィーが慌てたように姿を消し。俺は情報と言う名の知識の波に溺れ意識を失う。




「……ここは?んぐっ。」


目覚めた途端、唇を塞がれる。


深くキスをした後、ゆっくりと唇が離される……が、首をぐるりっと逆方向に回され、また別の唇が俺の唇を塞ぐ。


何度か同じことを繰り返されている間に、俺の意識も明瞭になっていく。


ここがどこだか分からないが、わかっているのはベッドの上だという事。


俺を挟み込むように、全裸の香奈美とリィズがいて、今代わる代わるキスをしているという事。


そこまで分かっていれば、他の事は後回しでいい。


俺は、そのまま、カナミとリィズを可愛がることに専念した。



「ぶぅ~、センパイのエッチぃ、けだものぉ~。」


口では文句を言いながら、にへらっと笑っているカナミに軽く口づけをする。


「起き抜けなのに激しかったっす。」


リィズは俺にしがみついたまま離れようとしない。


そんなリィズの頭を優しくなでてやる。


「心配……かけたみたいだな。ところで、ここはどこなんだ?」


「魔王城のにぃにの部屋っす。」


リィズの答えに、俺はふと疑問を覚える。


「って事は、ここはまだ紋章世界?」


「それがよくわからないの。エルフィーネは、ネルフィーがセンパイに説明したから、センパイから聞けって言って消えちゃったし。」


「説明って、何も聞いて……。」


ネルフィーとの会話を思い出そうとした途端、様々な知識が頭の中に流れ込んできた。


「……っ、そう言う事か。」


「センパイ、大丈夫?」


急に顔をしかめた俺を心配そうにのぞき込むカナミ。


「大丈夫だ。色々説明するから着替えて……。」


いいかけた俺の唇をリィズが塞ぐ。


「ずっとお預けだったからもう一回っす。」


「そうよねぇ。センパイったら、聖女のエルザちゃんとか、リノアとか、幼女ばかり相手にしてたもんねぇ。」


……いや、セレスとかマリアも相手にしてただろ?


ロリコンじゃないからな、と言いたかったが、それを口にすると、余計に二人が拗ねるのが分かり切っているので、ここは大人しく、二人が満足するよう、もう一ラウンド頑張ることにした。



「……という訳で、今、この城は亜空間に存在している。」


俺はその場にいる全員に現状を告げる。


カナミとリィズを満足させ、一息ついた後、俺達は身だしなみを整え、このサロンに集まった。


ここでお茶を飲みながらカナミたちに説明するつもりだったのだが、殊が事だけに、残ってくれたメイド隊の娘たちにもある程度話しておくべきだと思ったので、彼女たち全員も一緒にお茶をすることを命じる。


テーブルに俺達三人が座ると、周りを囲むようにメイド隊のメンバーが立つ。


座るように言うが、「主人と席を同じにすることは出来ない」と巌と拒否されたため、俺は諦めた、そのまま現状を説明し始まる。


まず、あの世界がその後どうなったのか?


世界に紋章と言う封印が亡くなり、マナは通常通り満ちていき、精霊達の封印も解かれた。


元通りになるまでにはまだまだ時間を要するが、逆に言えば時間さえ立てば、何も問題なくなるという事だ。


それから、世界にマナが満ち始めたことによって、紋章のあるなしに関わらず、魔法や能力が誰でも使える状態になった……理論上は。


「理論上?」


そこでカナミが疑問を口にする。


「そう、理論上。」


「どういうこと?」


「魔法が使えるようになったっていきなり言われても、魔法の使い方なんて、分からないだろ?」


「あ、そう言う事か。」


魔法を使うには、魔法の成り立ち、イメージ、そして何より、魔力の操作が必要となってくる。


紋章を通じて魔法を使っていた者達は、多少戸惑うものの、今まで通り使えるが、今まで魔法を使った事が無い者達はどうしていいか分からない、と言うのが現状だ。


だから、いましばらくは紋章持ちが幅を利かせる時代は続くだろうが、それもまた時間の問題という訳だ。


「リノアやセレスたちはどうなったっすか?」


「俺達、魔王に関する記憶は、世界の人々の中で気薄になっているのはさっき話した通りだが……。」


世界の人々の中では、「魔王と言う巨大な悪を勇者リノアと勇者セレスティアが協力して倒し、世界を救った」と言うおぼろげな記憶が残っているだけで、詳細については「そんなもの」というあいまいな記憶に置き換えられている。


ただし、俺と直接深くかかわった、リノアとセレス、そしてマリアと、ついでにリズノアの聖女エルザの4人だけは、しっかりと記憶に残っているという事らしい。


これは後程告げるが、刻印が関係するため、だそうだ。


「って事は、にぃに、かなり恨まれてそうですね。」


「だな、しばらくは顔を出せないかも?」


「しばらくって、……あの世界に自由に行けるって事?」


「ウン、ややこしいから、詳細は省くが、あの世界の刻印はまだ俺の中にある。そして、そのつながりのせいで、女神たちも完全な切り離しが出来ず、やむ得ない処置としてこの魔王城を利用することになった。」


「つまり?」


「つまり、この魔王城は、今現在、亜空間に存在する。」


俺がそう言うと、周りがどよめく。


「あの、マスター。一つ質問よろしいですか?」


メイド隊を代表してメイリーンが聞いてくる。


「何でも聞いてくれ。」


突然亜空間と言われても訳が分からないだろう。俺はどう説明すればわかりやすいか、答えを頭の中で組み立てていく。


「私達は何も変わらない、という事でよろしいでしょうか?」


しかしメイリーンの質問は俺の想定外のものだった。


「あ、あぁ、向こうの世界の娘達も出入りすることになるし、向こうの世界にも慣れてもらう必要があるかも……。」


「”あくうかん”とか”向うの世界”と言うのはよくわかりませんが、このお城で、今まで通りマスターたちのお世話をすることに変わりはないでしょうか?」


「あ、あぁ、まぁ変わらないかな?」


「だったら問題ないです。これからも誠心誠意心を込めてご奉仕させていただきます。」


メイリーンがそう言って頭を下げると、他のメイドたちも同様に頭を下げる。


どうやら彼女たちにとって、世界がどうとかは関係がないらしい。


それならいっか、と俺はカナミとリィズに視線を戻す。


「まぁ、細かい事はこれから少しづつ話していくけど、この魔王城は、紋章世界とつながっている為、行こうと思えば、紋章世界に顕現することが出来るんだ。そして、この魔王城と向うの魔王城をリンクさせることによって、向こうの魔王城とこの魔王城……面倒だな。ここの魔王城は天空城でいいか。」


俺がそう言うと二人はコクンと頷く。


「で、だ。今は俺の中の刻印の力を使って、魔王城へ飛ぶことが出来るが、これを解析すれば、魔王城と天空城をリンクさせることが出来る。そうすれば、元の世界と紋章世界は自由に行き来できるって事になるんだ。」


「すごいっす。じゃぁ、ねぇねにもあの世界を案内できるって事っすね。」


リィズが喜んで飛び跳ねるが……。


「いや、ミリィは向うに行けない。」


「何でっすか?」


「まだ、向こうの世界は精霊たちが解放されたばかりで気薄なんだ。そんなところに精霊女王のミリィを連れて行ったら混乱が起こる。最悪の場合、ミリィが紋章世界のマナに取り込まれる。」


だから、紋章世界にマナが満ち溢れ、精霊界が形成されるまではミリィはこの天空上までしか連れてくることが出来ないと、告げると、リィズは目に見えて落ち込んだ。


「それより、問題が一つあるんだ。」


俺は空気を換えるために話題を転換する。と言うか、この話題は向うに戻ってから再度話し合うべき重要な物でもあるのだが。


「俺達は、曲がりなりにも、天空城を通して、他の世界への移動方法を確立してしまった。これは本来あるべき姿じゃない事は理解してるよな?」


俺の言葉に、カナミとリィズが頷く。


「しかし、あるべきはずのない事が起きた、それを女神たちも承認した……という事は、これがあるべき姿に変わったという事だ。」


カナミとリィズがコテンと首をかしげる。理解できていないようだ。


「つまりだ、簡単に言えば、俺達が別世界に行くのは当たり前、と認識された。という事は、女神の都合で、別世界に跳ばされるのが当たり前、その為に力を与えた、という解釈が成り立つんだ。」


「まさかぁ……。」


そう言いながらも香奈美の顔が引きつっている。


「いや、そう言う理由付けで無理やり安定させたっぽいんだ。」


「という事は……。」


「そう、これからも女神たちに振り回されて、都合よく使われるって事だ。」


俺がそう結論付けると、リィズがズーンと落ち込む。


……まぁ、今回かなり面倒だったからな。


「……そう言うわけだから、これからも頼むな。頼りにしてるから。」


俺はカナミとリィズの肩に手を回してひきよせる。


女神たちに振り回されるのは仕方がないとしても、向こうの世界でぼーっと過ごすよりはいいかと思う。


俺の望みは、この娘達と楽しく過ごすこと、この娘達の笑顔を護る事。それが保証されるのであれば、世界なんかどこでも構わないと思う。


でもいつかは、みんなで地球に行けたらいいなとも思う。


折角世界を渡れるようになったし、女神の都合を聞いて役立っているんだから、それくらいの恩恵は受けてもいいだろ?と俺は遥か彼方に居るであろう女神たちに向けて願うのだった。



これにて、第2部終了です。

長い間お付き合いありがとうございました。

第三部については、構想はあるのですが、今のところ未定です。

新作の構想もありますので、新作を書くか、第三部に取り入れるか……。


とりあえずエタっている他の作品を完結させてから考えます。


これからも応援よろしくお願いします。




ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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