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いつか魔王になろう!  作者: Red/春日玲音
第一章 魔王になろう
13/153

封印

 散々な初依頼の後日談です。

 日常が戻って来・・・るといいですね。

 ・・・・・・ガヤガヤガヤ・・・

 ・・・だから・・・。・・・そん事・・・。

 俺様の剣が・・・ストールが殺・・・ドゥバーッと・・・

 ・・・違うって・・・・・・。きて・・・・・・。


 各所で様々な会話が飛び交う。


 クエストの自慢話や、失敗の言い訳。愚痴の数々・・・ギルド内は今日も喧騒に包まれている。


 「レイフォードさん、お待たせいたしました。依頼達成おめでとうございます。」


 ギルドのお姉さんが処理済のカードを返してくれる。ラインが青色に代わっているのを確認してカードをしまう。


 「でもいいんですか?あんなこと言わせておいて・・・。」


 お姉さんが目を向けたところにいるのは「自称勇者様」だ。


 ・・・だから俺様は、華麗に、こう、こうして迫りくるアンデッド共を・・・・・・。

 ・・・・・・いやいや、あんな新人冒険者・・・・・・ダメダメだね。俺様が・・・倒した後・・・きて。

 ・・・俺様優しいからさ、リビン・・・マーの鎧・・・ってやった・・・。


 「ま、いいんじゃないの?『勇者様』の言う通りで。」


 「でも、本来なら…。」


 「ストップ・・・。恵みの森のアンデットはいなくなった。『勇者様』はアンデッド退治した。俺達「新人冒険者」は勇者様の確認というクエストを達成した。一部誇張はあるが間違っちゃいない。」


 だからそれでいいだろ?と。


 「いいならいいんですけどねぇ・・・。」


 「それよりおねぇさん!」


 リィズが横から口をはさむ。


 「報酬のデッラクスモンスタープリンは?」


 「勝手に報酬吊り上げないでね。ありませんよ?」


 「えぇ―――何で!私たち頑張って倒したんだよ!」


 「あらぁ?『退治したのは勇者様』なんですよねぇ、レイフォードさん?」


 「にぃにぃー!」


 「あはは…。・・・プリンなら俺が奢ってやるからいこうぜ。」


 「ぶぅー…デラックス・スペシャルモンスタープリンすよ!」


 「更に吊り上がってるんじゃねぇか!・・・ん?ミリィどうした?」


 「あ、いえ・・・行きましょう。楽しみですわ。スペシャルモンスターパフェ。」


 「さらに上がってるしっ!」


   ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 先日の依頼、俺たちはリビングアーマーを全滅させたものの仮面の男に襲われ敢え無く敗北した。


 圧倒的な力の差だった。俺が今こうして無事・・・ってわけでもないが・・・にいるのは、奴がわざと放置したからだ。


 何を考えて放置したのか分からないが、奴のセリフの端々から読み取るに面白がっているのだろうと推測される。 


 どの様な魂胆があるかわからないが、次に会う時までに何らかの対策を取っておかなければならないだろう。次も見逃してくれるとは限らないのだから。


 因みに、自称勇者様達だが、俺達がリビングアーマーと戦っていた広場から少し離れた場所に不自然な靄がかかっている一角があり、その中央辺りに固まって寝ていた。


 あれだけの騒ぎにもかかわらず熟睡しているあたり、ある意味勇者だと言えるかも知れない。

 ちなみに、俺達が何度声をかけても、揺すっても起きなかった。


 偶に寝言を言ったり、激しく動いていたりしている。・・・顔がにやけていたので、たぶんいい夢を見てたのだろうと思うので、起きたくなかったのかも知れない。


 ちなみに、自称勇者様がどうやって目覚めたかというと・・・。



 「ねぇ、にぃに。これどうすればいいっすか?」


 「そうだな…解除かディスペルの魔法使えれば一発だけど・・・今は・・・。」


 目の前に転がっているのは「自称勇者様御一行」だ。


 紫がかった靄の中心で気持ちよさそうに寝ている。


 この靄は、リビングアーマーを倒していた時に見かけた靄とよく似ているので、たぶんアンデッドの一種なんだろう。


 時々「ふんっ!」という寝言と共に腕を振り下ろしているのは、何かと戦っている夢を見ているのだろうか?


 また、勇者(笑)が腕を動かすたびに、隣で寝ている魔法使いの服を掴んだり、引っ張ったりしている為、かなり服装が乱れている。


 ちなみに現在の魔法使いさんは、上着が捲れ上がり豊かな胸元が、見えるか見えないかのギリギリ・・・下は完全に捲れ上がって下着がモロ見え状態・・・魔法使いさん女性だったんだ。

 思わず手を合わせて拝んだら、ミリィとリィズからすごく冷たい目線でにらまれた…冗談なのに。

 


 「『光の刃(フラッシュ・エッジ)』ぶち込んだら目を覚まさないっすかね?」


 「個人的には大賛成なんだがな・・・。」


 威力の調整できないから大惨事になりかねない。


 「あ、そうだわ。」


 ミリィが何かアイテムを取り出して・・・ぶちまける・・・。


 「ねぇねもたまに過激になるっすね。」


 ・・・ミリィがぶちまけたのは聖水だった。


 聖水の効果は抜群で靄が苦しんでいるように見える。


 もう一息だな、もう一回聖水を・・・と言おうとしたところで…「ひぉわぁぃ!」…変な声がした。


 声がした方を見ると、勇者(笑)が上体を起こして、腕を振りまわしていた。

 どうやら寝ているところに冷たい聖水をかぶって、びっくりして起き上がったものの寝ぼけてるらしい。


 ・・・ただ、寝ぼけて振り回した腕にもべったりと聖水がついていて、靄に腕が触れる度消滅していくのを目の当たりにしたときは・・・なんといっていいやら・・・。


 「「・・・。」」


 ミリィもリィズも何とも言えない顔をしていた。


 

 靄が消滅してしばらくすると、勇者御一行が徐々に目を覚まし始めた。

 あの靄が魔法か何かで、眠りに誘っていたらしい。


 ちなみに魔法使いさんが目を覚ました時に、勇者様(笑)がまだ服を握っていた為、またそのせいで上着がほとんど脱げ掛けていた為、強烈なビンタを食らっていたことは名誉のために伏せておいてやろう。


  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 「ねぇね、コレ凄く美味しい!ねぇねも食べてみてよ。ハイ、あーん・・・。」


 「美味しいわね。」


 「でしょ、でしょー。」


 「じゃぁ、リィズもこっちをどうぞ。・・・あーん。」


 「・・・美味しい!」


 俺の目の前では、いつもの様に百合百合しい光景が繰り広がれている・・・がミリィの様子がおかしい。


 どこが・・・と言うわけでもないのだが、強いて言うならば元気がないというのだろうか。

 リィズもわかっているのか、いつも以上にはしゃぎ、甘えている。


 ミリィも気を使わせない様に振る舞いつつも、何かを言いたそうにこっちを見て、直ぐに視線を伏せるか逸らしている。


 ・・・俺もまた、何かを聞きたそうにしているのをわかっていながら、敢えて気づかない振りをしている。




 「さて、そろそろ帰るか。」


 二人がパフェを食べ終えて、一息ついたところを見計らって声をかける。

 俺達が帰ろうとした途端、どこからともなく、むさ苦しい男達が現れ、囲まれる。


 「「お疲れ様っしたぁ!」」


 『ミリィちゃん見守り隊』と『リィズちゃんに踏まれ隊』の面々だ。


 「「お二人はぁ!元気がないご様子!やっぱり『初めて』はご負担が・・・」」


 「オイ、お前ら!」


 最後まで言わせず、途中で声をかける。


 「コレ何だかわかるか?」


 俺の手にしたものに視線が集まる。


 「ミリィが使ったスプーンだ。・・・ソレッ!」


 遠くへ放り投げる。


 「こっちはリィズのだ!」


 ・・・うぉぉ!と唸り声をあげて男達がスプーンを追いかける。


 「さぁ帰ろうぜ。」


 怪訝そうな顔で見ている二人に声をかける。



 「ねぇ、にぃに・・・。」


 帰り道リィズが声をかけてくる。


 「ん、どうした?」


 「さっきの・・・。いつもなら『ボム』で吹っ飛ばしてるっすよね?」


 「ま、タマにはああいうのもいいんじゃないか?」


 「そうっすか・・・。」



 俺たちが住んでいる教会跡に着いたところで、二人に声をかける。


 「ちょっと作業したいのがあってさ、少しの間『工房』にいるな。」


 「・・・。」


 ミリィが何かを言いかけ・・口ごもる・


 「・・・。うん、ご飯になったら呼びに行くね。」


 そして再び口を開き、そういった。


 「あぁ、たのむ。」


 「・・・。」


 リィズも何か言いたそうだったが、結局何も言わず、二人で教会の方へ歩いて行った。



 「さて・・・と。」


 工房に入った俺は、普段ミリィたちをお茶を飲んだりするのに使っている椅子に腰かける。

 腕を前に出し、出来る限りリラックスすることを心掛けながら集中していく・・・。

 

 イメージは氷。グラスに入れるロックアイスをイメージしながら魔力を集めていく・・・。

 

 手首に光る紋様が浮かび上がる・・・集めた魔力が紋様に吸い込まれていく・・・。


 ・・・しばらくそのまま続けていたが、あきらめて集中を解く。

 魔力の流れが収まると同時に紋様の輝きが収まり消えていく…。

 光が完全に消えた後、手首を確認するが何も無かった。


 「はぁ・・そう言う事か…。」


 その後、イメージを変えてみたり、魔力の流し方に変化を加えてみたり思いつく限りの事を試してみたが、結果は芳しくなかった。


 ……あれから三日が過ぎた。


 俺達は、表面上いつもと変わり映えのしない日常を過ごしていた。


 朝、ベガス達に襲われながら起こされて食事をする。動物や畑の世話をしたり、剣を振るって稽古をしたり、工房に籠って作業をしたり…そんな日常だ。


 リィズが今まで以上にミリィに甘えたり、毎晩ミリィが俺が寝静まった頃を見計らってやって来て、ギュっとしがみついてくることを除けば以前と何ら変わりない生活だった。

 

 ・・・さらに三日が過ぎる。


 リィズはミリィにべったり引っ付いて片時も離れようとしないし、ミリィは相変わらず夜中に忍び込んでくる。


 「んーと、話があるんだが、ちょっといいか?」


 食事を終えた後、俺は二人に声をかける。


 二人は一瞬ビクッと身体を震わすが、俺は気づかない振りをして話を続ける。


 「今日、この後ギルドに行って、簡単なクエスト受けてこようと思うんだけど?」


 「・・・なんで?・・・いいの?・・・。」


 ミリィが不安げな声をあげる。


 「なんでって、せっかく冒険者になったんだし、クエストどんどんこなして、ランクあげて行こうぜ。」


 「それはそうっすけど・・・いいんすか?」


 リィズも不安そうに訊ねてくる。


 ・・・参ったな、もっと早くに話をするべきだったか?


 二人の顔を見てそう思う。


 ・・・とは言っても俺もまだ整理ついていないからなぁ。


 「悪い、今日帰ったら全部話すから。取り敢えずクエスト手伝ってくれないか?」 


 二人は不安そうにしながらもしっかりと頷いてくれた。




 「それで、どんなクエスト受けるんすか?」


 ギルドの依頼ボードを眺めながらリィズが聞いてくる。


 「んーそうだなぁ。簡単な討伐系か危険モンスターのいる採集系がいいけど。」


 「これなんかどうかしら?」


 ミリィが見つけたのは「ミートトード討伐」の依頼だった。


 「ミートトード討伐。1個体あたり300G。指定討伐数10体・・報酬も悪くなさそうだしいいと思うっす。」


 ミートトードは、体長1~2mぐらいのカエル型のモンスターだ。

 雑食で夜行性。昼間の動きはそんなに素早くなく、特に防御面で秀でていることもない。

 攻撃手段は、長い舌を勢い良く突き出してくる攻撃と、たまに吐き出す腐食液。

 腐食液はそれ程強力ではなく、布製の衣類を溶かす程度。どちらかというとヌメヌメの感触の方が嫌がられている。


 気を付ければそれほど苦も無く倒せるモンスターだ。


 ちなみに、ミートトードに毒性はなく、その肉は大変美味で高級食材として高額で取引される。

 ある国ではミートトード牧場なるものがあり、各国に輸出されているらしい。


 「じゃぁ、これにするか。リィズ悪いけど、受付してきてくれ。」


 ・・・ざわざわざわ…。

 ・・・ミリィちゃん・・・ミートトード・・・ざわざわ・・・

 ・・・・・・ヌメヌメ・・・リィズちゃんヌメヌメ・・・・・・

 ・・・・・・ざわざわざわ・・・


 なんか周りがざわついている・・・。悪いが、お前らの期待通りにはならないよ。



 「ギルドの人たちってどうやって倒した数を数えているのかしら?」


 歩きながら雑談をしていると、ミリィが突然思い出したかのように聞いてくる。


 「・・・そういえばそうだな。」


 あまり気にしてなかったが、言われてみれば不思議だ。


 「倒した数は申告制っすよ。」


 「申告制って・・・それってごまかし放題なんじゃ?」


 「申告数は魔種(シード)で確認するっす。だからごまかせないっすよ。」


 「魔種(シード)ってなぁに?」


 「ねぇねは見たことない?モンスターを倒した後に残る結晶が『魔種(シード)』だよ。」


 「その『魔種(シード)』って他のモンスターのが混じっていても区別つくのか?」


 「ギルドに判別機が設置してあるっす。それにかければ一目瞭然っす。」


 にぃにも知らなかったんすねぇ。とリィズがつぶやく。


 「折角なので色々教えるっす。まずモンスターは倒した後一定時間がたつと『魔種(シード)』に変わるっす。変わるまでの時間は、モンスターによって違うっす。これは胎内の魔力が結晶化するから、魔力の大きいモンスター程時間がかかるって言われてるっすが、本当の所はわからないっす。」


 だから…と話を続けるリィズ。


 「モンスターの素材は『魔種(シード)』になる前に剥ぐ必要があるっす。」


 モンスターを解体すると、そのまま放置するより魔種(シード)化するのが速くなるらしい。

 その為、素人がモタモタしていると、素材が取れなくなるらしい。

 

 熟練の技が必要っす・・・とリィズが得意げに言っていた。


 「ねぇ、もしその魔種(シード)を回収しなかった場合どうなるの?」


 「えっとね、魔種(シード)によるけど1~3日ぐらいで消えてなくなるんだよ。ただ瘴気の濃い場所だと魔種(シード)から別のモンスターが出てくるって言われてるから、できるだけ回収した方がいいんだって。」


 「そうなんだ…。」


 「ねぇね、なんか気になることあるの?」


 「うん、この間のリビングアーマーさん達も『魔種(シード)』になってたのかなぁって。


 「そういえば、そうだな。あの時は回収どころじゃなかったし。」


 「・・・にぃに、気づいてなかったんすね。」


 「何がだ?」


 「勇者パーティにいた魔法使いさんが拾って集めてたっす。」


 ・・・だから勇者パーティがリビングアーマーを討伐したことになってたのか。


 「あと、稀にですが魔種(シード)以外のモノが残っていることがあるっす。様々なモノがあるっすが纏めて『レア』って呼ばれてるっす。レア素材は高く売れるっす。」


 そんなことを話しているうちに、ミートトードの発生場所にたどり着く。


 「一杯いるっすねぇー。ひぃ、ふぅ、みぃ・・・18匹っす。どうするっす?とりあえず弓矢で攻撃するっすか?」


 この先の方針を聞いてくるリィズ。


 「いや、試してみたいことがあるから、とりあえず俺一人に任せてくれないか?」


 「「・・・。」」


 すごく不安げだ。


 「二人はここで見てて、俺がヤバそうだったら援護頼む。」


 「・・・わかりました。」「・・・わかったっす。」


 「じゃぁ行ってくる。」


 そういって、俺はミートトードたちに気づかれないように近づく。


 「まずは・・・。」


 少し離れたところにいる8匹のミートトードに狙いを定める。都合よく集まっている。


 アイテム入れからマジックジェムを3つ取り出す。今回の為に用意した特別品だ。

 ジェムを握りしめて集中…魔力を流す…手首のあたりがボゥっと淡く光るが気にしない。


 ・・・「榴弾(ボム)」ルーンを唱えてミートトードの群れに向かって投げつける。


 3個のジェムが分かれて落ちた瞬間「ボゥムッ!」とジェムを中心に爆発が起き、トード達は弾け飛んだ。


 腰から剣を抜き魔力を込めていく・・・手首のあたりがボゥっと淡く光る・・・気にせずルーンを唱える。


 「水刃(アクア・ソード)!」


 剣の刃の周りに揺らめく水の膜が張られるのを確認して、右手方向のミートトードの群れに向かい走り出す。


 ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!

 手前のミートトードを袈裟斬りに、返す刃で右のミートトードを横一閃!体勢を入れ、替え残りの1体に上段から斬りおろす。


 そのまま奥の方にいる群れの方に向かって右手を振り抜く。


 「水の刃(アクア・エッジ)!」


 剣先から刃と化した水流がミートトードに向かって突き進む。

 俺は魔力を込めながら走る。


 ・・・。

 「炎刃(ファイア・ソード)!」


 剣の周りに炎が揺らめく。そのまま残ったミートトード達に向かう。


 シュッ!

 ミートトードの舌が伸びるが首をひねって躱し、逆に斬りつける。

 ズシュッ!ズシュッゥ!ズシュッゥゥ!


 ミートトードの皮膚を切り裂くと同時に炎が傷口を焼いていく。


 「ッツ!」


 考えるよりも先に体が動く。


 ブシャッ!

 さっきまで俺のいたところに液体がぶちまかれる…腐食液だ。

 

振り向き様、右腕を振り下ろす。


 「炎の刃(フレイム・エッジ)!」


 剣先から炎が伸びる・・・ミートトードの体を覆い焼き尽くす。


 シュッ!シュッ!

 二方向から下が伸びてくる。


 転がって躱し、近くのミートトードに斬りつける。


 ズニュッ!

 ミートトードの皮膚に食い込み止まる。


 魔力を込めるのが間に合わないため、そのまま斬りつけたが切れ味が悪い。


 シュッ・・・


「チッ!」


 横から舌が伸びる気配がするが剣が食い込んでいるためすぐには躱せない。

 攻撃を受ける覚悟をし、当たる部分に魔力を集中させる。


 しかし、舌は俺に届く前に力を失う・・・其方を見ると矢が3本刺さっていた。

 ミリィとリィズの援護だ。


 「助かった!」 


 俺は剣に両手を添え、力任せに斬りおろし、とどめを刺す。


 ズシュッゥ!

 

 「・・・ふぅ、終わったか…。」


 俺が最後のミートトードを倒すのを確認して、ミリィとリィズがやってくる。


 「にぃに、魔種(シード)と素材の回収しておいたっす。後はそいつのだけっす。」


 リィズが、最後に倒したミートトードを指さす。


 「そうか。じゃぁ、せっかくだから解体の仕方教えてくれないか?」


 どうやら俺が戦っている間に回収を終わらせていたようだ。


 

 「依頼終了だな。問題もなかったし帰るか。」


 俺は最後のミートトードから魔種(シード)を回収し、二人を見ながら言う。


 「ちょっと待つっす!」


 リィズからストップがかかる。


 「問題ないって本気で言ってるんすか!にぃに、ちょっとそこに正座っす!」


 あれっ?何かあったっけ・・・それとも、戦い方がいつもと違うのに気づかれたか?


 「最初の爆発はなんすか?後、炎の剣もなんすか!!」


 「いや、それは・・・」


 やっぱり、その件か…帰ってからまとめて話そうと思ったけど。


 「いいっすか、にぃに。ミートトード1体から取れる素材は300Gで売れるんすよ。それなのにバラバラにしてどうするんすか!」


 ・・・あれ??


 「あと、炎なんか使って斬りつけるから焦げ焦げになってるじゃないっすか?結局素材が取れたのはたった5体分すよ。4000G近くの損すよ!デラックス・モンスターパフェ・スペシャルが8回食べれるんすよ!!わかってるんすか!!」


 あれ??え~と・・・・


 「・・・・・・ゴメンナサイ。」


 とりあえず謝っておいた。


 しかし「デラックス・モンスターパフェ・スペシャル」なんてメニューあったんだ…1杯500Gのパフェって・・・。



 その後も、リィズに延々とお説教を受けながら帰途についたのだった・・・。


 まぁ、ミリィがずっと笑っていてくれたからいいけどさ。

 

 リィズは彼方に対してとミリィに対して口調が変わります。

 ただ、リィズ自身自覚していません。


 

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