体のスペックが高いのです!
「ふむ…」
あれから二日、私はスカーレットに買ってもらっていた資料を読んでいた。
中身は簡単にいうと学校のパンフレットである。何故市販で売られているのか気になったからベールに聞いたら、
「学校側も最初は無料で配ってたんだけど、人気がありすぎてね。それでもう売ろうぜって勢いで販売したら想像以上の売り上げになったから調子に乗って販売してるんだよ。」
と途中から光を失った目で説明された。すぐに逃げた。
「ふむ、それにしても施設も教員の数も豊富だな。前の世界じゃ考えられない程授業の質も高い。ーーーーーーーなぬっ、飯が無料だと…!?」
因みにボーシャは体の奥底で眠っている。
それにしても、本当にこの子の体の性能はすさまじいな。今一度読んだだけだが、すべて覚えている。それに、筋肉がとてもしなやかで柔らかいから魔力がとても通しやすい。
私も、この体があったら…
「何を変なことは考えているんだ。醜い嫉妬は消せ。
ーーーーーよし、読もうか。」
自戒の言葉を吐き、目の前に積み上げられた本に取り掛かる。
ん?待てよ。この子の体ならば…
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーできてしまった。凄いな。」
読んでいない500ページはあろうかという本を手に取り、ぱらぱらとページをめくる。
いわゆる速読である。残像が見える位でページをめくったのだが、全て鮮明に記憶されている。
中身は主にこの世界の魔道に関しての物だった。レベルとしては、向こうの世界の最高峰の教育より少しだけ高めか。私が教員として行く学校も最高峰レベルらしいので、そこまで大きな差はないことが分かった。
「次は…武術か。こちらは向こうよりも進んでいないな。」
向こうの世界は実践的だったのに対し、こちらはどこか儀式的に感じる。つまり戦い方が綺麗すぎる。
「いや、そうか。この世界は魔法のほうが発展しているから。そもそも近接戦があまりないのか。」
それからは体の構造、社交と様々な本を読み、気が付いたら昼になっていた。
いや、本来は三日かけても読めない量なのだが。
「…さすがに疲れたな。お、ボーシャも起きたか。丁度飯を食いに行くところだから交代しろ。」
『…ん』
きゅう、とおなかが鳴ったところでタイミングよくボーシャが起きたので体の権限をボーシャに返す。
「みんなー、ごはんよー。」
下からアザミの声が聞こえたので、そのまま降りる。
「…ふぎゅ!?」
あぁ、転んだ。頭や鼻のあちこちが痛い。
『ーーーおい、ボーシャ。足元に気をつけろ。私も痛いんだぞ。』
『う、ごめん』
「大丈夫でござるか、スカーネ殿」
「は、はい。大丈夫ですぁああ!」
「スカーネ殿ぉぉおおおお!?」
ーーーーー痛い。
『ボーシャもう代われ』
『いちゃいいい…』
泣き言を言いながらも素直に代わってくれた。最初から私が行けば良かったな。
あと私も痛いからな?