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うねうね☆マジック!  作者: うさおう
十六本目! ター〇ネーター

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第九十一話 エピローグ 二体目がこない理由



 見事アンドロイドを撃破したフィノは、負傷したグレンを学院の医務室に運んだ。



「噂には聞いていましたが、衝撃ですね」


 ぐっ、ぐっ、とストレッチをするグレン。

 ケガはすっかり治っていた。


「みんなに言ってることだけど、私の治療も完璧じゃないから、まだ安静にしててね?」


 女医、メリルが真剣に言う。

 グレンが「はい!」と返事をすると、


「それじゃ、忙しいからこの辺で失礼するよ。また何かあったら呼んでね~♪」


 いつものぽやぁっとした口調になって、医務室を出ていった。


驚嘆(きょうたん)(あたい)する治癒能力です。こんなところで飼われているのが信じられません。メリル先生は聖戦士としてフィノ様に仕えるべきお方ですわ」


 メリルが出ていった扉を見ながら不満そうなグレン。

 その言葉を隣で聞いていたフィノは、呆れるのを通り越して笑ってしまった。


「あはは……。未来の世界でも気の使い手は珍しいんだね」


「存在しないと言っていいレベルですわ。仮にいたとしても、あれくらい強力な使い手でなければオカルト扱いで信用はされないと思います。魔法の力ですらこの時代に来て初めて見ましたので」


「え、魔法もないの?」


「はい。魔法はすでに失われた技術となってしまいました。今から数十年後には"コレ"が現れますから」


 銃を取り出して見せるグレン。


「ふ~ん」


 なんだかそれも寂しいなぁ、とフィノは思った。


「さて、そろそろ私も帰ろうと思いますわ。未来に……」


 銃をしまい、ベッドに置いてあった上着を着るグレン。


「もう行っちゃうんだ」

「はい、少々気になることがありまして」


 気になること? とフィノは首をかしげた。


「この時代にやって来たアンドロイドが一体だけ、というのが不自然なのですわ。陰茎教会はクラウド・ファンディングというものでいくらでも資金を調達できます。高性能な新型を次々と送り込んできてもおかしくはないのですが、やって来たのはあのマッチョ型一体のみ。私の仲間たちが奴等に勝ったのか、それとも全く想定外の事件が起こったか。それを確かめたいのです」


 なるほど、と腕を組んで考え込むフィノ。


「出来ればこの命尽きるまでフィノ様にお仕えしたいのですが、いつまでも過去に留まるわけにはいかない事情もあります。ご理解いただきますよう……」


 ひざまずいて詫びるグレン。

 それを見たフィノはすぐに口を開いた。


「あぁいや、それは、全然いいんだけどね? ただちょっと、お願いをしてもいいかな?」


 にぱっと笑うフィノに、グレンは不思議そうな顔で返した。



 ◇



「……本当についてくるおつもりですか?」


 町からほど近い小さな森の中。


「うん。狙われてるんだったら、しっかり決着をつけないと安心できないからね」


 パンパンに荷物をつめたリュックやバッグを持って、二人は歩いていた。


「え~っと確か、この辺に……ですね。あぁ、ありましたわ」


 大きな岩を見つけたグレンは、リモコンのような物を取り出すとポチっとボタンを押す。

 するとブシューっと空気が抜け、ベロベロになった岩の中から、赤い自動車が現れた。


「これがタイムマシーンですわ!」

「へ~」


 物珍しそうに車をながめるフィノ。


「荷物はこちらへお願いいたしますわ。フィノ様は前にお掛けくださいませ」


 後部座席に荷物を放り込み、二人は車に乗る。


「アンドロイドと違って、たくさんの荷物を一緒に運べるんだね」


 車を壊さないようにそ~っとドアを閉めるフィノ。


「はい。タイムワープの技術に関してはこちらが上回っていますわ。技術を開発した科学者たちを全員催眠術で洗脳し、特別な薬とフィノ様への信仰によって二十四時間働かせましたから。結果、世界初のタイムマシーンが完成したのです」


 誇らしげにグレンは語る。


「……うん。その人たち死んじゃうから、絶対もうやめてね?」

「はい。あっ危険ですのでこのシートベルトを」


 身を乗り出してフィノにベルトを着けたグレンは、ハンドルの横にあるモニターをさわり始めた。


「準備オッケーィですわ!」


 グレンがそう言うと、車は音もなくスッと動き始め、


「それでは未来へ、フィノ様をご案内いたしますわ~!」


 急発進し、まばゆい光に包まれて、その場から消え去った――。



 ◇



「これが未来の世界……」


 助手席の窓から外を見るフィノ。

 並び立つビルに、忙しそうに歩く人々が見えた。


「あー、みんなスマホ見てる。も~リリムじゃないんだから……あれじゃ首痛くしちゃうよ」


 タイムマシーンは他の車と同じように道路を走っていた。


「フィノ様。お腹はすいていませんか? 美味しいパスタのお店を知っていますが。エステなどもどうでしょう? 旅行も良いですね。深海と宇宙どちらが喜んでいただけるでしょうか。おっと、ディナーの予約をしておかなければ」


 うっきうきで運転しているグレン。

 彼女にとっては神を手中に収めたも同然なのである。

 さすがにこの時代で仮面はつけないので、レンに似た美形がニタニタとしている様子がよく分かってちょっとキツイ。


「ありがとう。でも大丈夫。このまま、その陰茎教会の人たちのところに連れて行ってほしいの」

「いっ、今からですか?」


 驚いて車を止めるグレン。

 

「こうしてる間にも次のアンドロイドを準備してるかもしれないんでしょ? だったら遊んでられないよ。それに、あたしはこの時代の物とかには触れない方が良い気がするし」


「……たしかにその通りですね。分かりました。陰茎教会の本部に殴り込みをかけましょう。ですが、一度仲間を集めませんか? フィノ様がいらっしゃったとなれば世界中の信者たちが立ち上がると思いますが」


「それもいいよ。この時代の人たちが相手なら、多分あたし一人でなんとかなるし、あんまり大事にせずに終わらせて帰りたいから」


「そうですか……ではこのまま向かいます。このグレン・ビャクヤ。最後までお供させていただきますわ!」


 表情を引き締めたグレンは、再び車のモニターをさわり始めた。


 ◇


「うひゃほー! しばらく過去に行ってた間に『水着フィノ様』ガチャが始まってますわー!」


 目的地が遠いので車を自動運転にして、グレンはスマホゲームで遊んでいた。


「ちょっと待って、あたし!?」


 ドライブスルーで買ってもらったハンバーガーとポテトを食べながら映画を見ていたフィノ。

 さっきのは聞き捨てならない言葉である。

 スマホから目を離さずにグレンは返事をした。

 

「はい。これは歴史上の偉人が登場するゲームで、もちろんフィノ様も――おおお!? SSR演出キターーー! …………ぃよしっ! 見てくださいませ! 私の愛が届きましたわ!」


 うっれしそうにグレンが渡してきたスマホには、たしかにフィノそっくりのキャラクターが映っていた。

 いや、正確にはそっくりではない。

 大分盛られていた。主に胸が。


「なにこれ!? ほとんど裸じゃない!」


 それ着てる意味あんの? ってくらいきわどい姿をしていた。

 しかもどうやって再現しているのか謎だが本物と同じ声で喋ってもいた。


「あっ、フィノ様、うかつに画面に触らない方がよろしいかと。セリフや他のキャラとの絡み、イベントなんかを見てしまうとネタバレになってしまいますわ。今後の人生の」

「そ、そっか……」


 ネタバレはよくないよね……。とスマホを返す。

 

「むふふ。おまけにこのゲームは大人向けなので、こうやってフィノ様にお菓子をあげて好感度を上げると……フルボイスでVR対応のエッチシーンが見られるのですわー! キャー!」


「あたしお菓子でそんなことするの!?」


 やっぱり、早めに未来の世界は去るべきだな。とフィノは強く決意するのであった。



 ◇



 いかにも怪しい組織の所有物です。

 と言わんばかりに、その豪邸は薄暗い林の中に建っていた。


「バナナウェーブ研究所。あれが陰茎教会の本部ですわ」


 門から離れた所に車を止めるグレン。


「研究所?」

「天使リリムが福音書に記していた、天からやって来たという陰茎人の研究をするための施設です」

「リリムったらいつも変なことばっか言って……。なにが陰茎人だよ」


 実は嘘ではなかったりする。


「ですが、いつしか人類ふたなり化計画や、アンドロイドのような、過激な思想による技術の悪用が始まりました。同じフィノ教として我々もどうにかしようとはしたのですが、なかなか上手くいかず……申し訳ございません」


「いいよ。あたしがなんとかしてくる。何か顔を隠せるようなものはない?」


 スッと差し出される触手デザインの仮面。


「……他にない?」

「後はこれくらいしか……」


 次に出てきたのはサングラスである。

 フィノはそれを受け取ると、


「よし、行こう」


 と言って車を降りた。



「ちょっとちょっとちょっとォー? どちら様ですの~? IHKの受信料なら払ってますわよ~?」


 グラサンをかけたフィノとグレンが門に近付くと、見張りをしていた二人組が立ちはだかった。

 黄色い宇宙服のようなものを着ていて、銃で武装している。


「グレンさん。この服はあたしが殴っちゃっても大丈夫かな?」

「はい。これは陰茎教会が開発した戦闘服ですわ。クマに殴られても大丈夫な設計です」


「グレンだぁ!?」


 その名を聞いてあわてて銃を構えた見張り二人だったが、引き金に指をかける前にもう吹っ飛んでいた。

 どちらもフィノに殴られたのだ。


「ケガしないように離れててね」

「は、はい」


 冷たい声と表情で、フィノは門を殴り壊した。



 ◇



 神の怒り。

 目の前の大嵐を見ながら、グレンはそうつぶやいていた。


「どぉおおおりゃああ!」


 とんでもない価値を持つ黄金の陰茎人像が陰茎教会の戦闘員たちに投げつけられた!


「テロなんてやっちゃダメだよ!」


 慌てて駆けつけてくる何人もの戦闘員。

 だが何人いても、どんな装備を持っていてもまるで通用しない。


「過去におじさんを送るのも禁止!」


 集団にテーブルを投げつければ人間がボウリングのように吹っ飛ぶ。

 広い屋敷のいたるところに触手をひっかけ、凄まじい機動力も見せていた。


「そもそも、リリムが残した変な話は信じないで!」


 戦闘服の上から全力のパンチを叩き込む。

 分厚い防御のおかげで死にはしないが、冗談みたいに吹き飛んで壁に穴をあけた。


「ふー。誰も出てこなくなったね」


 一段落付いたので、ずっと見ていたグレンはそばに寄った。


「まだですわ! 幹部たちは恐らく隠し部屋に避難しています!」

「そっか。なら徹底的にやろう。変な機械とか薬も全部壊さないと」

「はい! どこまでもお供いたしますわー!」


 その日、二体目のアンドロイドを準備していた陰茎教会は、あっけなく壊滅してしまったのだった――。



 ◇



 さくっと目的を果たした二人は過去に戻った。


「名残惜しいですが、私はここまでで」


 森の中、助手席から降りたフィノにグレンは言った。


「もう町には戻らないの? 愛でる会の人たちが待ってると思うけど」


「はい。陰茎教会が潰されたことで、タイムワープの技術も表に出ました。これからいろいろと法整備が進むと思いますが、やはり過去への干渉は罪になると思うのですわ。あなたを守るという大義名分を失った今、フィノ教の聖戦士である私が、この時代の人間と接触するわけにはいきません」


 真面目な表情を少しだけ崩して、さびしげにグレンは微笑む。


「……そういう顔すると、ますますレンに似てるね」


 フィノはいつも通り、太陽のような笑顔。


「グレンさん。助けに来てくれてありがとう。まぁ、どっちかって言えば、困らされたことの方が多い気がするけど」


 くすくすと笑いあってから二人は握手した。

 その後、グレンは一瞬だけためらうような様子を見せてから、まっすぐにフィノの目を見て。


「フィノ様。私はこれからあなたの身に起こることを全て知っておりますわ。その立場で言うのも、なんだか変ではあるのですが……この先何があっても、負けないでくださいませ」


「うん! あたしは絶対に負けないよ!」


 元気よく返事をして、手を振りながら、フィノは町の方へ歩いて行った。

 その姿を、グレンは運転席から笑顔でずっと見つめていた。



「…………愛でる会リーダーとして、引継ぎくらいはしてから去るべきだと思うのですが」


 フィノが見えなくなってから、グレンはぽつぽつと独り言を始める。


「呪術師ハイズとの神樹戦争。もうそろそろのはずですからね。あの町に残るのはあまりにも危険なもので」


 タイムマシーンはゆっくりと動き始めた。


「天使リリムの言葉を真に受けるなとおっしゃられましたが、やはりあなたは伝説通りのお方でした。フィノ様……ガンバ! ですわ!」


 そして、厄介な聖戦士は未来へと帰っていった。



 ◇



「あ、忘れてた」


 自宅の近くまで来たところで、フィノはあることを思い出した。


(どうしよ、コレ)


 歩きながらポケットから取り出したのは、グレンに借りたサングラスだ。

 今から返しに行っても会うことは出来ないだろう。

 というか多分もう永遠に会うことはない。


(……まぁ、貰っちゃってもいいかな。ルルが喜ぶだろうし)


 たしか同じものをよく身につけていたはずである。

 

(あれ? そういえばこれが未来の物なら、なんでルルが持ってたんだろ? というかリリムのスマホも――)


 とかまぁ疑問が浮かんできたりもしたのだが、自宅の隣にある空き地を見た途端、すべてがどうでもよくなった。


「あ~……。あっちも忘れてた……」


 トラックである。

 アンドロイドが乗っていたトラックが空き地をぐるぐると周っていた。

 どうやったのかは分からないが綺麗に修理されている。


「ふむ。素晴らしいパワーだ。魔族の玉座にはふさわしかろう」

「うむ、うむ」

「あっはっは! すげー!」


 運転していたのは頭を潰され金属骨格だけになったアンドロイド。

 その潰れた頭を椅子のように改造してリリムが座っていた。

 助手席には笑っているセス、膝の上で何度もうなずいているルル。


「壊しておくべきだと思うんだけど、みんなのオモチャになっちゃったな」


 力なく笑うフィノ。

 なんだか、今までの疲れが一気に来てしまった。





















 



 


 








~あとがき~


こんばんは、作者です。

春なのに最近へんに寒いですね。


今回は誰もが知っているあの伝説の映画が元ネタです。

もしターミネーターを見たことが無いという人がいたら是非見てください。名作です。

初代と2が最高です。

最高とか言っといておふざけ回で遊んじゃったんですけどね。


次回は、ミランジェをメインにフィノやレン、リンネなんかが出てくるお話になります。

こうやって並べてみるとうねうねマジックの中心メンバーですね。

一本目!のその後みたいな内容になるかな。


別にふざけるわけでもなければ事件が起こるわけでもないんで、必須の内容でもないんですけど、このままラスボス戦に入っちゃうとあまりにも温度差があって書いてる方も相当キツイもんがあるんで、徐々に頭を切り替えていくための準備回、みたいなもんだと思ってください。

ちょっとそろそろ思い出しておいてほしい事についても触れる予定です。


時期的にはGWあたりに更新したいですけど厳しいかな~。

更新時くらいしか人目に触れるチャンスないんで連休中が理想です。

出来るだけ「小説家になろう」というサイトが混んでる時に更新するのが基本なわけですよ。


まぁそんな事考えてる余裕あるなら内容を少しでも良くする事を考えるべきかな。

さんざんふざけて来て「あはは~」みたいな今の脳の状態を龍姫や思い出シーカーの後半を書いてた時の状態に持っていかないと!


スポーツ選手やボディビルダーが大会前に肉体を最高の状態に持っていくように、脳と精神状態を徐々に向こうの世界に持っていきたいと思います。


ではまた、次もよろしくお願いします!

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