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うねうね☆マジック!  作者: うさおう
十六本目! ター〇ネーター

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第九十話 VSターミ〇ーター



「あぁ! まさかフィノさんがここに来てくださるなんて!」


 上の本屋では、店番中の女の子が小躍(こおど)りしながら掃除を続けていた。ホウキをくるくる回してさっさかさ~。

 

「掃除なんかさっさと終わらせて会いに――おや?」


 なんだろう。

 ドドドドド――と、聞いたこともないやかましい音が聞こえてきた。


「な、なんの音でしょう?」


 外に様子を見に行こうとホウキを置くと、突然音が止み、グラサンをかけた大男が入って来た。

 そう、フィノを付け狙うアンドロイドである。


「い、いらっしゃいませですわ……」

「フィノに会いたい」


 機械的な、一切の感情がこもらない声。

 どっからどう見ても怪しい奴だ。


「し、し、知りませんわ! フィノさんのような多忙なお方がこのような本屋におられるわけがないではありませんか」


 うわずった声で必死にごまかす女の子。

 アンドロイドは無言で店を見回すと、


「また来る」


 そう言って、店を出ていった。

 女の子がホっと胸をなでおろすと、


「……あれ?」


 またもや外からドドドドド――と謎の音がし始めた。


「さっきからいったい何の――」


 その瞬間。

 ドッシャアーーーン!

 凄まじい轟音と共に、なんとトラックが店に突っ込んできた!


「!?!?!?!?!?!?」


 驚きすぎて声も出ない女の子。当然トラックなど見たことがない。


 店に頭を突っ込んだ状態で止まったトラックからは、やはりアンドロイドが降りて来た。

 右手にはアサルトライフル、左手にはショットガン。

 もうめちゃくちゃ。


「え? え? え?」


 銃口が女の子に向けられるが、この時代には存在しない武器なので彼女にはワケが分からない。

 そのままあっさりと引き金が引かれた。


「ひぎゃあああ!」


 ショットガンをぶち込まれ吹っ飛んだ女の子。


「ありゃ?」


 だが不思議とケガはなかった、どこも痛くない。

 それどころか――。


「あぁ! 股間が! 股間が熱いですわ!」


 むくむくと股に何かが生えてくる感覚。


「ふぁああムラムラする! フィノさん! フィノさぁぁぁぁん!!!」


 飛び上がるように立ち上がって隠しレバーを引くと、大急ぎで階段を駆け下りていった。

 そう、この銃に撃たれるとふたなり化して性欲が暴走してしまうのだ!


「……」


 アンドロイドはどこか満足そうに、フィノを探して地下へ向かうのだった。


 ◇


「侵入者ですわ!」

「侵入者ですわ!」


 愛でる会の地下アジトを進むアンドロイドの前に、仮面の女の子たちが次々と飛び出してくる。

 それぞれ剣や槍、弓などで武装しているのだが、


「「ほんぎゃあああああああ!」」


 もちろんそんな物でこの怪物に対抗できるわけがない。

 片っ端から銃弾をぶち込まれそして……。


「あぁー! フィノさん! 前前前世から愛しておりましたわ!」

「フィ、フィ、フィノさぁん。私の愛を受け取ってくださいまし♡」


 皆股間をふくらませフィノを探し始めるのだ。

 放っておけば勝手にターゲットを探し出してくれるので、アンドロイドにとっても都合が良いのである。


 そんな感じでドンパチやっているアンドロイドを、曲がり角から頭を出して見ている仮面が一人いた。

 様子を見に来たグレンである。


(しまった。これではフィノ様の敵がどんどん増えてしまう)


 どうしたものかと考えていると、流れ弾が髪にかすり、あわてて身を隠す。


(……危なかった! ここで戦うのは不利か)


 グレンは駆け足で来た道を引き返した。



 ◇



「フィノ様!」


 やることがないので、瞑想(めいそう)をしながら待っていたフィノの元にグレンが戻って来た。


「アンドロイドはどうなったの?」

「状況説明は後で! 今はこれに着替えてくださいませ!」


 渡されたのは彼女たちが付けている仮面と、体をすっぽりと隠せるローブ。

 フィノは素早く身にまとう。


「会の者たちが次々とふたなり化させられ、フィノ様を求めアジトを徘徊(はいかい)しているのです」

「うわ……」


 なんか以前にもこんなことがあったなぁ、とフィノはため息をついた。


「いったんアジトを出ましょう。ここでは会の者たちを巻き込んでしまいますので」

「分かったよ」


 先に部屋を出て安全を確認したグレン、手招きをしてフィノを誘導する。


 アンドロイドや他の者たちに見つからぬよう、本屋とは別の出口を目指しコソコソ移動。

 出口が近付き、このまま逃げられると思ったのだが。


「ケケケケケ、リーダー、いったい誰とどこに行くつもりかな?……ですわ」

「なぁリーダー。その後ろにいるの、フィノ様だよなぁ? 抜け駆けは許せねーですわよ」

「やっほー、フィノちゃん。むこーであっしとイイコトしよっか♡」


 謎の三人組が行く手を(さえぎ)った……!

 つけている仮面は他と同じだが、なんだか手強そうな雰囲気。


「まさかあなたたちが敵にまわるとは……」


 足を止め(ふところ)に手を入れるグレン。


「誰なの?」


 ふくらんだ三人の股間を見てうんざりしながらフィノが聞いた。


「名はギャパリー、リストリア、ユリリン。フィノ様の親衛隊として私が選抜した聖戦士です」

「それ偽名だよね? 三人ともたぶん知ってる人なんだけど」

「そうとも言いますね。触手名(シャインネーム)ですから」


 一人一人正体を確かめようかとも思ったが時間がないのでやめた。


「フィノ様ぁ! ワタクシはあなたと力比べすることをずっと夢見ておりました!」


 三人の中で一番大きな奴が金棒を持って動き出した。

 懐からハンドガンを取り出したグレンをフィノは手で制止、そして振り下ろされる金棒を片手で簡単に受け止めた。

 

「ごめんなさい! ちょっと痛いよ!」


 謝りながら反撃のビンタを仮面のうえから食らわせた。

 バキィっと仮面が砕け吹き飛ぶ金棒女。

 一撃でノックアウト。


「ケケ、ライトニングランス……ですわ」


 二人目が雷の魔力で槍を生み出し、卑怯にもフィノの背後から襲い掛かる。


「ラッシュヴァイン!」


 フィノは振り向きざまに手をつき出し魔法を発動。

 無数の触手が雷の槍よりも早く伸び相手を拘束、無力化。


「……うそん。ってか、つよすぎじゃね?」


 残った一人にフィノは無言で近付いていく。


「待って待ってー! ごめーーーん! まーーーーじごめーーーん! も~~しわけね~~! 許して? ね? あっしは元々反対だったんだけどさぁ、この二人に『ついてこねーと殺すぞゴラ』って脅されて仕方なく~? みたいな? チョーベリーバッドってカンジ? 悪い、やっぱツレーわ!」


 そりゃツレーわ、と体の力を抜いたフィノ。


「――と、見せかけて、えい♡ フィノちゃんに抱き付いちゃえー♡」


 油断したところに飛び掛かったが……。


「ぼげぇ!」


 やっぱり油断してなかったフィノのアッパーが炸裂。

 こいつには謝らなかった。


「お見事にございますわ!」


 あっという間に親衛隊を破ったフィノ、グレンは高速の拍手を送った。ぱちぱちぱちー。


「まったく、命を投げ捨ててでもフィノ様をお守りするのが親衛隊の役目でしょうに……。こいつらには後で精神の浄化を行わなければ」


「そんなことしなくていいよ。まともな状態じゃなかったんだから」


「あぁ! 偉大なる神の子よ! 裏切り者でさえあなたは愛することが出来るのですね!」


「恥ずかしいからやめてってば! ほら、早くいこ」


「たとえ地の果てにでもご一緒いたしますわー!」



 ◇



 長い階段を駆け上がっていると、なんだかとても良い匂いがしてきた。

 ふんわりとした、焼きたてのパンの香りだ。


「ここは……」


 上がった先はどこかの厨房。


「私たちが経営している菓子パン屋ですわ」

「そんなことまでやってたんだ」

「元々はルルちゃんを誘いだすために始めたのです。今では彼女が商品開発の長ですわ」

「怪しい人にはついて行っちゃダメって教えてたのに!」


 そのままパン屋を駆け抜け、外の道に出た。


「これからどこに向かうの?」

「アジトが駄目となると、奴がデータを持っていない――」

「あれ?」


 話の途中、不思議なことに気が付いた。

 遠くから何かの音が近付いて来るのだ。


「この音は!」


 グレンには答えがすぐに分かったようだった。


「フィノ様! すぐに逃げてください!」

「な、なにあれ……?」


 フィノの視界に入ったのは、こちらに向かって道を爆走してくるトラックであった。

 せいぜい馬車くらいしか想定されていない石の道をガタガタと揺らしながら突っ込んでくる。

 運転席にいるのはグラサンマッチョなアンドロイド。恐ろしすぎる。

 

「あれは未来の乗り物ですわ! あ、あんなものまで武器として送ってくるとは!」


 必死で逃げながら教えてくれるグレン。


「あんな大きいのに凄いスピード!」


 後ろを見ながら走るフィノ。

 アンドロイドの運転はかなり荒く、何度も左右の建物にぶつかっているがそれでも早い。

 グングンと距離をつめてくる。


「いけない! このままじゃ町が壊されちゃう!」

「フィノ様!?」


 足を止めたフィノはトラックの方を向いた。


「ラッシュヴァイン!」


 フィノの背中から最大限に魔力を練り込まれた強力な触手が大量に生え、道に広がり深く突き刺さる。


「あんなもの、ラッシュヴァインで止めてやる!」

「無茶です! おやめください!」


 グレンが止めるのも聞かず、フィノは正面からトラックを受け止めた。


「おおおおおお!」


 衝突の直後は大きく押されてしまうが、大地にビンと張った何本もの触手がフィノを支え、拮抗状態にまで持ち込んだ。

 樹の魔導士対トラックの相撲である。


「き、奇跡ですわ……。やはりフィノ様は神の子なのですね……」

「く……う……グ、グレンさん……!」


 歯を食いしばり踏ん張っているフィノに名を呼ばれ、ぽかんとしてしまっていたグレンは我に返った。

 ショットガンを取り出し、素早くトラックに近付くと助手席のドアを乱暴に開けた。


「ドライブはここまでですわ!」


 運転席にいたアンドロイドにズドン! と発砲。

 弾を食らったアンドロイドは衝撃でアクセルから足を離した。


「フィノ様! すぐに離れてください!」


 叫んだ直後に手りゅう弾を取り出し、安全ピンを抜くと運転席の足元に転がした。

 そして自身もすぐにその場を離れて地面に伏せる。

 

 直後、凄まじい爆発音と共に運転席は炎に包まれた。


「グレンさん! 大丈夫!?」


 頭を守りながら伏せていたグレンに駆け寄るフィノ。


「も、申し訳ありません。か、体が……」


 よく見れば、グレンは肩や足から血を流していた。


「爆発に巻き込まれたんだね。メリル先生にみてもらわないと……。もぅ、あたしには無茶するなって言ったのに」

「ふふふ、絶好のチャンスだったもので、つい」


 笑うグレンにつられてフィノも笑顔になった。

 勝った、という安心感から心がゆるんだのだ。

 しかし……。


 どさっ、と炎上する運転席から何かが降りた。


 それは、体中を炎に焼かれ、金属の骨格がむき出しになってなお、フィノを狙い立ち上がるアンドロイドであった。

 芸術的と言っていいほどの筋肉が燃えてしまったのはちょっともったいないかもしれない。


「……フィノ様。私はもうお役に立てません。逃げてください」


 だが、負傷したグレンを守るようにフィノは立った。


「グレンさん。あたしの魔法やゲンコツが効かないのは、あの筋肉のせいだって言ったよね」


 あっ、とグレンが気の抜けた声を出す。


「ラッシュヴァイン!」


 無敵の筋肉が無いのならば、それはもはや、フィノにとってはオモチャ同然である。

 触手がアンドロイドにギュルギュルとからみ付いた!


「どぉおおおりゃああ!」


 ゴリラも泣いて逃げ出す腕力でグイっと引き寄せ、強力なパンチでアンドロイドの頭部を粉砕した。


「お、お見事ですわ!」


 重症だというのに、それでもグレンは高速の拍手でフィノを(たた)えた。

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