第八十七話 エピローグ 触手耐久デスマッチ
リリム城、最上階。
「……まじ? リンネちゃんたちが負けたの?」
上がって来たラミィチームを見て、ミランジェはビックリ。
「あんなのただの運じゃない。子供がリンネに勝つことだってあるわよ」
用意されていたソファーで焼き菓子を食べているシェスカ。フィノが差し入れたものである。
「どうでしょうね。エリザ先生はともかく、リンネ先生がそんな甘い相手でしょうか……」
深読みがクセになっているエスニャ。同じように座っておやつタイム中。
「ルルの三連勝だ。おかげで楽が出来たぞ」
「勝利のチョキ」
ピースしたルルはその指で焼き菓子をつまんで口に入れた。
そのままミランジェたちと雑談をしていると、
『待たせたなお前たち。決勝に残る最後のチームが決まったぞ』
飛びスマホをしながらリリムがやって来た。
そんでその後を付いて来たのが、
「HAHAHAHA! いやはや、まさかシュノ殿があそこまでジャンケンに強いとは思わんかったでござ~るな~ぁ!」
「あのテのギャンブルには必勝法がいくつかあるんスよ。人間が手を選ぶなら完全なランダムは不可能なんで」
「あちしはこっそり服かっぱらって着こんどいたんだけどなぁ。無駄になっちまった~」
プリメーラ、シュノセル、リオンのチームだった。
『この九人で決勝を行う。ルールは今回も簡単、というより無いに等しい。ただの我慢比べだ』
リリムはそう言うと、プリメーラを見つめながらちょいちょいと手招きをした。
「はてな? 拙者に何用でござるか?」
愚かな獲物は?マークを頭の上に出しながら無防備に近付いてしまった。
「んむぐっ!?」
ぎゅむっと口に吸い付かれる。
『ぷはっ、うむ。透き通ったい~い魔力だ』
ぺろっと唇をなめてリリムは満足そうに言う。
そして奪った魔力を利用して何やら魔術の詠唱を始めた。
『大いなる魂を持つ触手の姫よ、我が力となるため現れ出でよ! フィノ!』
空間に魔法陣が出現し、ピシッと亀裂が入る。
「もう、恥ずかしいから普通に呼んでよ……」
空間の裂け目から召喚獣みたいに現れたのはこの物語の主人公、フィノだ。
『決勝のゲームはフィノに手伝ってもらう。触手に全身をまさぐられ、倒れたり意識を失ったりしたら脱落だ。最後に残った者のチームを優勝とする』
全員、言葉を失う。
最悪なやつだった。
「みんな、こんな遊びに付き合わなくていいからね? 胸の大きさなんか気にすることないんだから」
フィノは軽々しくそう言うが、そんな風に考えられるのなら皆ここまで必死に戦ったりはしないのだ。
大きいことは素晴らしいのだ!
「フィノっちの言う通りっしょ。おチビ、怖いなら棄権してもいいんだよ? 優勝はうちがもらうけどさ」
「なんだとぉ!? 誰がここまで来て棄権するものか!」
ミランジェの安い挑発にレンが食い付いた。
しかし、根性試しならこの二人は強いだろうな。と周囲の視線が集まる。
過去に触手攻めを食らった経験がある、という強みもあった。
『どうやら棄権する者はいないようだな。では決勝戦を始めたいと思う。フィノ、準備だ』
「はぁ、分かったよ」
呆れ顔で両手をあげるフィノ、その頭の上にリリムが座った。
『いいか、お前は全力で触手を生み出せ。コントロールは我が行う』
「うん。それじゃ、みんないくよ? 全力全開の~、ラッシュヴァイン!!!」
強力な樹の魔力が解き放たれた。
フィノの両肩、両腕、背中から何本も何本も触手が生え、うねうねと動き回りながら、少女たちの首元や袖、スカートなどから侵入し絡みついていく。
「あっひぃいいいいいい、んおっ、おおぅ! やばいやばいやばい……ひっひっひっ……ンンーーー!!!」
「くーっ……くっ! こっ、こんなもので…………んおっ!? ひぅっ! ひゃ……あ、あ! フィノ、待ってくれぇ……あぁぁぁっ!!!」
なんと、情けない声を出して真っ先に倒れたのはミランジェとレンの二人であった。
実は以前、触手攻めを食らったという経験がアダになっていたのだ。
体がすっかり開発されてしまっていた。
「ミランジェ、レン、アウトー!」
いつの間にかやってきていたセスがそう言って笛を吹いた。
「あれ? エスニャも気絶してんな。ついでにアウトー!」
誰も気が付かない間に白目をむいていたエスニャ。
早々に三人が消えた。
残った者たちはなんとかまだ触手に耐えている。
『ほぉ、思っていたよりもねばるな。もう少しばかり激しく攻めてやるとするか』
リリムはとても楽しそう。
直後、触手の動きがいっそう激しくなった!
「いやぁこれはちょっときちぃでござ……いやダメダメダメ……もうムリ、ムリ……はぁあああ!」
「あひゃひゃひゃひゃ! だ~~めだってそんなトコ……やん! あ……あひゃひゃひゃ!」
「プリメーラ、リオン、アウトー!」
どんどん脱落者が増えていく中、けっこ~踏ん張っていたのがルル。
「ふーっ! ふーっ!」
息を荒くし、顔を真っ赤にして耐えていた……のだが、
「ふーっ……ふーっ…………ぅああっ」
限界が来てしまった。びくん、と体を震わせて力なくへたり込んでしまった。
「ルル、アウトー! よく頑張ったな」
『ふむ。残りは三人か。素晴らしい精神力だ』
激しい触手攻めにいまだ耐え続けているのはラミィ、シュノセル、シェスカ。
「レンちゃんのためなら……レンちゃんのためなら……!」
ラミィは力強く立ち歯を食いしばって耐えていた。
「カネカネカネカネカネカネ――」
目を閉じて合掌し、念仏のようなものをひたすら唱え続けているシュノセル。
「はっ……あぁっ! 負けない、負けるもんか!」
両足をピンと張って全身に力を入れてるシェスカ。ちょっと厳しそう。
『では、我も全力を出すとしよう。さぁ、頂点に立つ女は誰だ!? 我に見せてくれ!』
熱くなってさらに念入りにいやらしく触手のコントロールを始めるリリム。
「っ! いや! もう……はぁぁぁぁぁ!!!」
「シェスカ、アウトー! ひゃー、凄い汗だなぁ」
これで残すはラミィとシュノセル。
一騎打ちである。
◇
(もうダメ……)
触手に全身をまさぐられながら、ラミィは限界を迎えようとしていた。
(シュノセルさん凄い……どうしてあんなに平気そうなんだろう……)
なんとか片目を開けてシュノセルを見ると、まるで何も感じていないかのようにただひたすら「カネカネカネカネ」と唱え続けていた。
まるで滝行。
(やっぱりだめだ……わたしなんかじゃ勝てっこないよ……)
諦めかけた、その時だった。
「諦めるなラミィ! アホ毛の真似をしろ! 何かに集中して乗り切れ!」
レンからの力強い応援の言葉。
(レンちゃん……!)
ラミィの瞳に再び火がついた。
「レンちゃんがいてくれれば、わたしだって頑張れるもん!」
パン! と勢いよく手を合わせ、目を強くつむった。
心の中を愛しい想いだけで満たし、それ以外のすべてを捨て去った。
「レンちゃんレンちゃんレンちゃんレンちゃんレンちゃんレンちゃん――」
ラミィは目を閉じれば何時だって大好きなレンに会える。
お菓子を落としてちょっと落ち込んでるレン。
おねしょしちゃって真っ赤な顔でシーツを洗っていたレン。
すごくイヤそうな顔でM字開脚してたレン。
モブのおっさんに寝取られてた同人誌の中のレン。
仏頂面だけどノリノリで歌って踊るライブ中のレン。
「カネカネカネカネカネカネカネカネカネ――」
「レンちゃんレンちゃんレンちゃんレンちゃん――」
勝負の行方はまったく分からなくなっていた。
互角。完全な互角である。
「……二人とも、なんて想いの強さなんだろう」
触手から何かを感じ取っているようなフィノ。
『いや、これは……決着がつくぞ!』
リリムが叫んだ。
すると……。
「レンちゃんレンちゃんレンちゃん――」
「カネカネカネカネ…………ぅ……」
シュノセルの口が閉じられた。
目が開き、顔が一気に赤く染まる。
直後。
「どっひゃぁあ~~~! も、もー耐えらんねーッス~~~~!!!」
ガクガク痙攣しながらひっくり返ってしまった。
「シュノセル! アウトー!」
「やった! 勝ったぞ!」
触手から解放されたラミィにレンとルルが駆け寄った。
「貴様の優勝だ! よくやったぞ!」
「ラミィが一番凄かったよ」
「レンちゃん、ルルちゃん……わたし、勝ったよ……」
三人は涙を流しながら抱き合った。
『素晴らしい。快楽に耐えてよく頑張った! 感動した! 優勝は……ラミィチームだ!』
リリムもまた、熱い涙を流していた……。
◇ ◇ ◇
その死闘から数日後。
「えー! ルルちゃんたちが優勝したんですかぁ!」
スマホの画面に映った小林が嬉しそうに声をあげた。
「うむ、最後に勝負を決めたのは愛の強さだ。今思い出しても素晴らしい戦いだった」
場所はフィノの家の、やっぱり子供部屋。
「三人ともおめでと~」
「あぁ」
「うむ」
「ありがとうございます、小林さん」
スマホに向かって手を振りながら返事をしたレン、ルル、ラミィ。
今はリリムと小林を加えた五人でお話していた。
「そ、それでそれで、使ってみたんですか!? 豊胸ポーション!」
小林はメガネをくいっと持ち上げてちょっと興奮気味に聞いてくる。興味津々!
「いや、まだ使わせていない。ルルたちの成長はこれからだからな。未熟なうちに飲んで良からぬ影響があってはマズイだろう。十年経ったら開く特別な箱に入れて渡したのだ」
「なぁんだぁ、ガッカリです」
小林がそう言った直後、ピリリリっとやかましい音が彼女の部屋から聞こえてきた。
「あっ、船長から呼び出し来ちゃった。それじゃリリムさん、今日はこの辺で」
「そうか。真面目に仕事をしているようで感心だな」
「どうせパシりかゲームの相手ですけどね。それじゃ、ルルちゃんたちもまたね~」
小林はこちらに手を振って、やがて通話が切れた。
「は~、スマホってどうなってるんだろう。遠くにいる人とすぐそこにいるみたいにお話しできるなんて」
暗くなった画面をまじまじと見てラミィが言う。
「どうにかして作れないものかと一度は考えたんだがな。想像以上にハードルが高かった。調べれば調べる程、こちらと陰茎人の文明には差があることを思い知る。千年経っても追いつくのは難しいだろうな」
リリムは残念そうにそう言って、魔術でスマホを小さくしてポケットに入れた。
「でも、ひとつもらえて良かったですね。これがあればいつでも小林さんたちと会えますし」
「そうでもない。あの宇宙船を介してネットに繋げているからな。小林たちがこの宇宙を去ってしまえば、このスマホも能力の大部分を制限されてしまうのだ。それは永遠の別れを意味する」
「……そうなんですか」
「元々決して交わることのない異世界の魂だからな。会うことが出来ただけでも、この上ない幸運だ」
しんみりとしてしまうリリム。
「でも、思い出は残るよ」
小林の真似をして、グラサンをくいっと持ち上げたルル。
その仕草を見たリリムはふっと笑って。
「たしかにルルの言う通りか。そうだな、陰茎人のことを何か、形にして残しておくのも面白いかもしれん」
あっという間にいつもの調子に戻ったリリムが、アゴに手を当て考え始めた。
すると……。
「みんなー! お菓子とお茶の用意出来たから下りてきてー!」
フィノの大きな声が聞こえてきた。
「「は~~い!」」
四人は元気いっぱいに返事をして、子供部屋を飛び出した。
~あとがき~
こんばんは、作者です。
今回はず~~っと前からやりたかったヴァリンとミランジェの野球拳がやれて大満足です。
ミニゲーム大会はうねうねマジックの中でやってみたいってのがずっとあったんですよね。
いや~ずっとふざけてられたんで楽しく書けました。
実は次回もおふざけ回になる予定です、ごめんなさい。
おふざけ回は次回で最後になるので、悔いが残らないように楽しく書きたいですね!
フィノメインでまたSFっぽくなります、宇宙人とかはもう出てこないですけど。
ふたなり星人はやたら気に入ってるんでうねうねマジックが終わった後とかに気が向いたら短編とか書くかもしれません。
以前書いたふたなり女子高生モノみたいな感じで。
小林が船長のオナホを宇宙に落としちゃうとかそんなただひたすら頭悪いやつ。
そういえば最近、小説家になろうでネット小説大賞というコンテストが始まったのは知っていますか?
自分で書かない人だとひたすらどうでもいいと思うんですけど、これ投稿した小説にキーワード設定するだけで超お手軽に参加出来るやつなんでもし何か書いてる人はとりあえず参加しておくのをお勧めします。
万一入賞できたら最低10万ですからね。
応募作品への感想サービスなんかもやってくれてるんでそっちに拾われるだけでもちょっとした宣伝になるかもしれません。
ローリスクハイリターンとはこの事かって話なわけです。
やらなきゃ損損。
URL貼っときますね。
https://www.cg-con.com/novel/vol9/
俺、10万もらえたらPC新しくするんだ・・・。
では次もよろしくお願いします~。




