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うねうね☆マジック!  作者: うさおう
十一本目! ふたなり星人たちとの邂逅

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第六十五話 運命の出会い



 視点は戻ってこちらは汚い方の二人組である。


「やっぱコンソメパンチが最強ね~。大昔からこの味で勝負してるんだから本物よ」


 調査艇の座席を後ろに倒して寝っ転がっている船長。

 バリバリとポテトチップスを食べている。

 しかも一枚ずつではなく何枚もつかんで食べる大富豪食いだ。贅沢な奴。


「私はサバの味噌煮マヨネーズ派ですね。もぐもぐ」

「だったら私のポテチ勝手につまんでんじゃねーよ小林ィ! っつか片手運転やめろアブねーから!」


 二人が乗る調査艇は空中をウィンウィンと飛びながら搭載されているカメラで大地をチェック。


「見たことない動物が多いわね。道があるから知的生命体はいるっぽいけど……。車輪の跡があるけど馬車かしら」


 画面をタッチして映像を切り替えたり拡大したりしている船長。

 その隣で運転中の小林があっ! と声をあげた。


「船長! 町です! 前方に大きな町が見えます!」

「よし、上まで行って~。光学迷彩忘れんなよ?」


 町の上空でピタッと静止した調査艇。

 

「ずいぶん高い壁で町を囲ってんのね。戦争でもやってんのか?」


「剣持ってる人とかいますよ、船長。なんかファンタジ~って感じですね~。私ドラクエとか好きな――えーっ!? 日本刀持ったギャルが歩いてるー!?」


「あっちなんて屋根の上を凄いスピードで走ってるメイドがいるわよ。なにあれ忍者? 人間ってあんな動きできんの……?」


「人種もごっちゃですね」


「だ~いぶ遠い宇宙だったみたいね、ここは。小林、町の外に調査艇下ろして。侵入するわよ」


「ラジャー! です!」


 少し移動した調査艇はゆっくりと着陸。

 自動で入り口が開き、ヘルメット付きの硬そうなスーツに着替えた二人は大地に降り立った。


「ふっふっふ。対宇宙怪獣用に開発されたバトルスーツよ。相撲取りのぶちかましにも耐える防御力に様々な武装が搭載されているわ!」

「誰に説明してるんです? 船長」


 話しながらスーツのステルス機能をオンにした小林。

 これで味方以外に発見されることはなくなるのだ……通常ならね。


「それで、どうやって侵入するんですか? スーツで強化してもこの壁は飛び越えられないですよ」

「おーっほっほっほ! こんなこともあろうかと最近通販で買っておいた新兵器があるのよね~。え~っとこの辺だったかな……」


 おなかのポケットをゴソゴソとあさる船長。


「あった! てってけてって、てーっててーん! 通りぬけフラフープ~!」

「おおー!」


 取り出したのは人間一人がくぐれそうなくらいの輪っかだ。

 こんなもんがどうやってお腹のポケットに入っていたのかは謎である。ふたなり星人の技術力であろうか。


「これがあれば物体の向こう側に簡単に抜けることが出来るのよ! うっかり地面に落としたら大変なことになるから取り扱いには細心の注意を払う必要があるわ!」

「だから誰に説明してるんです?」

「うっさい! さっさと町に入るわよ! 小林!」

「はい! …………ってあー! 船長ステルス機能使ってください~~!」


 そんなかんじでふたなり星人は町に侵入したのだ!



 ◇



「こりゃ貴重な資料になるわね。一度戻ってみんなで調査に来た方が良いかも」

「見たことない野菜やフルーツを売ってますね。武器屋さんとかもあるんでしょうか」


 歩きながらバトルスーツの機能で町並みを撮影する二人。

 とんがり帽子の魔法使いが歩いていても違和感のない町に仮面ライダーのような装備で紛れ込んでいるのだからその浮きっぷりはハンパじゃない。

 ステルス機能のおかげで騒ぎにはならずにすんでいるけれど。


「船長! 大変です! 羽の生えた人がいます!」

「へっ? どこよどこ?」

「あっちあっち! すんごい小さい人!」


 小林が指差した方を見るとたしかに白い翼でパタパタ飛んでいる褐色の女がいた。人形のように小さい。

 近くにいる白髪の少女となにやら話している。


「うわっ、マジだ。ロボットじゃないわよね?」

「今のトコそんな化学力があるようには見えませんけど……。フェアリーとかそういうのじゃないですか?(ワクワク)」

「……なに話してんのか気になるわね。小林、近寄って盗み聞きするわよ」

「りょ~か~いです!」



 ◇



「――陰茎王は激怒した。女同士の恋愛を認めぬ国など、その存在を許しては置けぬ」


 フェアリー……ではなく魔族のリリムは本を開き、朗読を行っていた。

 そばには真剣な表情で「うむ、うむ」と何度もうなづいているルル。


 そこにコソコソと寄って来たのはふたなり星人の二人である。


「ひそひそ……!(やっぱり本物ですよ! フェアリーちゃんです!)」

「ごにょごにょ(いろんな角度で撮影しときなさい、凄い発見よこれは……にしても陰茎王って何?)」


 やがてリリムは「ふぅ」と息をつき本を閉じた。


「レンとラミィがそろそろ来る頃だ。今日はこのくらいにしておくとしよう。エリザに告げ口されては面倒だからな」


 本が光に変わってふわっと消える。

 こちらは技術ではなく魔術だ。


「ごにょごにょ!?(なになになに!? どうやって本消したの今!?)」

「ひそひそ……(船長……それより大変なことが……)」

「ごにょごにょ?(どったの?)」

「ヒソヒソ……(さっきから目があっちゃってるんです……この女の子と……)」


 無感情な視線をじと~~っと小林に向けているルル。

 怪しい人見ちゃいました! とその瞳が語っていた。


「ごにょにょ……(いや、まさか。人間の目には絶対映らないはず……)」


 船長はゴクリとツバを飲み込んで、事実を確認するため両手でピースし、


「イ、イェーイ」


 苦しい笑顔でそう言った。

 それを見たルルは自分もピースサインを作ると、


「イェーイ」


 ボソッとそう言った。

 さーっと青ざめる船長と小林。

 そう、戦闘用人造人間であるルルは普通の人間ではなかったのだ!


「ルル? 何をやっている」


 さすがに不審に思ったのかリリムが聞く。


「変な人たちのマネ」

「誰のことだ?」

「しらない、そこにいるよ」

「ふむ……何も見えんが」


 突然のことにテンパっていた船長と小林をさらに理解不能の事態が襲う。


「確かめてみるか。ルル、魔力をよこせ」

「いいよ」


 当然のようにむちゅっとキスし始めたルルとリリム。


「――よし、十分だ。陰なる者よ、その正体を見せろ……。"第三と第四の目"」


 リリムがまぶたを閉じるとその上に目玉のような光る模様が浮かび上がった。


「ほぉ、たしかに二人いる。奇妙な鎧を着ているな。お前たちはいったい何者だ?」


 新たな目で船長と小林を交互に見て聞いた。


「マズいですよ船長! 外宇宙の人間と無許可での接触は大問題に……」

「わぁ~ってるわよそんなこと! とっととバックレてなかったことにするわよ!」


 ぴゅー! と逃げ出した船長だったがこの星はそう甘くなかった。


「ルル!」

「おっけ」


 シュッとその場から動いたルル。

 逃げた船長にあっさり追いつくと人外の腕力で首根っこを掴みそのまま引きずって戻って来た。


「つかまえた」

「でかした。それでこそ我が弟子だ」

「みぎゃー! 離せー!」

「暴れても無駄だ。べつに殺して食ったりはしないから安心しろ。見たところ女でもあるようだしな」


 宇宙人、捕獲。


「さてどうしてくれよう。対話に応じないのならば力づくで脱がせて調べるのだが」


 すでに絶望的な戦力差を悟って大人しく震えていた小林を見ながらリリムはつぶやく。

 バトルスーツを着てなお絶望的な差がそこにはあった。


「そ、それだけはご勘弁を……。こんなところで姿をさらしたなんてことが上に知られたら、私たちクビじゃすまないんです……」


「そうか。ならば友好的にいこうではないか。お前たちが何者なのか教えてもらうぞ」


「……場所を変えてもよろしいでしょうか? ここでは目立ちすぎます」

「こ、小林ィ! それマズイって! それ!」

「だったら船長がどうにかしてくださいよー!」

「ぐっ……分かったわよ! 町の外で教えてやるから離しなさいよね!」

「ルル、開放してやれ」


 自由になった船長は不機嫌そうに立ち上がり、


「ふん、じゃあ付いて来なさいよ」


 と歩き出すのだった。



 ◇



「どこかへ向かったな」


 ルルたちがいなくなってからひょっこり姿を現したのはレンと、


「向こうはもう町のすみっこだから何もないはずだけど……」


 ラミィの二人だ。

 遅れてやって来たのだが、ルルとリリムの様子がおかしかったので様子をうかがっていた。


「他の誰かと話しているようだったが……内容は聞こえたか?」

「ごめん、分かんない」

「この距離では仕方ないな。追ってみるか」

「見失わないようにしっかり見ておくね」

「貴様は目が良いからな。頼りにしている」


 そうしてこっそりと追っていった。



 ◇



「じゃじゃーん! 通り抜けフラフープ~!」

「……それ毎回やるんですか、船長」


 もうヤケクソ気味だった。


「おら、こっちよ」


 壁を通過して町の外へ出た四人。

 止めてあった調査艇を見たルルとリリムは「おおーっ」と声をあげた。


「面白い形の建造物だ……! 材料はなんだ? ん? 入り口は何処にある?」


 調査艇の周りを飛び回るリリム。

 普段と変わらないように見えて実は凄くテンションが上がっている。


「焦らなくても今開けるわよっての、小林!」

「はい……」


 小林が取り出した小さなリモコンを操作すると自動で入り口が開いた。

 再び「おおーっ」と声を出すリリムとルル。


「行くぞルル。探索だ」

「分かったー!」

「あ、ちょっと、変なとこいじったりしないでよねー!」


 慌ただしく乗り込んで行った三人を見てため息をついた小林。通り抜けフラフープを回収してから後を追うのだった。

 

 そして……誰もいなくなったところにトスっと着地する少女がいた。


「目に見えない誰かがいるのは間違いないか」


 ラミィをおんぶしたレンだった。

 壁を登って上から様子をうかがっていたのだ。


「こんなところに家なんてあったんだね」

「家かどうかは分からんがな」


 謎の建造物に開きっぱなしの入り口である。

 となればやることは一つだ!


「行くぞラミィ! ルルたちが何をしているのか突き止める!」


 レンもかなり楽しそうだった。



 ◇



「私たちはこの星の人間じゃないわ」


 操縦席までやって来た船長は食べかけだったポテチの袋をルルに渡して座った。

 もうバトルスーツは脱いでいる。


「これなに?」

「コンソメパンチ。最強よ」

「おいしい! さいきょう!」


 未知のお菓子に目をキラキラさせるルル。

 その肩に座ったリリムが口を開く。


「この星とは我らが住む大地のことか」

「そゆこと」

「簡単に説明するならお空のずーーっと上からやって来たのです」


 今度は小林が答えた。


「何のために?」

「移住可能かどうかを調べるため。ま、ここはダメだったんだけど」

「現地の文明が私たちと同等かそれ以上であるとか色々条件が決められてるんですよ~」


「移住と言ったな。お前たちの大地には何か問題があるのか?」

「大地……ね」


 船長は電子タバコをくわえて続ける。


「私たちの大地はもう人間が住める環境じゃない。膨張(ぼうちょう)する太陽に振り回されてね」

「膨張だと? あの太陽がか?」


「そう。理屈は聞かないでね? 私も詳しく分かってないから。ま~この星が大変なことになるのはまだなん十億年も先の話になるから、あんたたちが心配するようなことじゃないわよ」


 夢中でポテチをほおばるルルの頭をなでて、船長は微笑んだ。


「……ではお前たちは現在どうやって暮らしている?」

「ご先祖様が人口の大地を作ってくれたんです。スペースコロニーっていうんですけど」

「途方もない話だな。衝撃的すぎて逆に驚けん」


「そうやって現地の社会にショック与えちゃったらマズいってんでコソコソ調査とかやってんのよ。めんどくさいったらありゃしない」


「なるほど。しかし何故今更移住など考える? スペースコロニーとやらにずっと住んでいればいいだろう」


「それがさぁ~。私たちってもう何世代もコロニーで生きて来たもんだから、自分たちの故郷である星を資料でしか知らないのよね。そうなると自然の星ってもんへの憧れが凄いのよ。次第にどこかの星に移住しようって運動が起こったの」


「でも、観測可能な宇宙をいくら調べても、私たち人間が住めるような環境の星はなかったんです。自然回帰運動は夢に終わりました……。と、いうのが数百年くらい前のお話だったりします!」


「そうだろうな。何故ならお前たちは今こうしてここにいる」


「科学の進歩ってスゲー! って話ね。なんとそれまで理論上だけの存在だった他の宇宙に行く方法が見つかっちゃったのよ。んで、調べてみたらビックリ。太陽系――私たちの故郷とそっくりの環境がどの宇宙にも必ず存在することが分かったの」


「この大地もその中の一つ……ということか」


「さらに面白いのは、どの宇宙に行ってもそこには知的生命体が存在していることです。微妙に姿や能力が違っていたり、発展の度合いは様々だったりするんですけどね。あいにく私たちが接触しても問題ないほどの文明とはまだ出会っていないのですが……」


「歴史も面白いわよ。私たちの過去とほぼ同じ流れをたどっている比較的"近い"宇宙もあれば、ここみたいに意味不明なくらい違ってる"遠い"宇宙もある。だから接触できなくても色々データとか取らなきゃいけないのよね」


 次々に飛び出してくるとんでもない話をすべて飲み込んでいくリリム。

 ルルがポテチの三袋目を開けたあたりで一区切りついた。



「はぁ~~話しすぎて疲れたわ……。もうこの辺でいい?」


 もう勘弁してくれと表情でも訴える船長。


「ダメに決まっている。と言いたいところだが、それでは何時になってもお前たちが帰れんな。本か何かあったら残していってほしい、出来る限り沢山だ。それと、宇宙船というものを見てみたいな。このまま連れて行ってくれ。それで今日お前たちと会ったことは忘れよう」


 リリムの言葉を聞いて船長と小林は慌てて手を振った。


「ムリムリムリムリ! そんなことして上にバレちゃったらクビじゃすまないっての!」


「なら報告しなければいい。そもそも我とルルに見つかったことも黙っているつもりだったのだろう?」


「うぐぐぐ……」


「いざとなれば強要されたと正直に言え。さっきルルに組み伏せられた映像は残してあるな? 万一の事態になっても弁解は可能だ」


「ほ、本当に宇宙船見たら大人しく帰るんでしょうね?」


「当然だ。我は嘘をつかんぞ」


「……わーったわよ。小林、ワープ準備して」

「は、はい」


「ところで、ずっと気になっていたことがあるんだが」


 船長と小林の股間に視線を巡らせるリリム。

 うんとためを作ってもの凄く重大そうに聞く。


「お前たち……"生えて"いるな!?」


 ついに踏み込んだ!


「そうよ」


 船長はすんごい軽く答えた。


「ほぉ!」


 リリム、感心。


「女同士でも子供を作れる技術が大昔に出来てさ。そしたらいつの間にか男はいなくなっちゃったのよね。自然淘汰(しぜんとうた)ってやつ?」


「ほぉ~~! なんと素晴らしい!」


 ずっと冷静に話を聞いていたリリムだったがこのことについてだけは驚きと感心を隠せない。


「船長。ワープ装置の起動に認証をお願いします」

「ほい了解」


 小林から渡されたのは筒状の装置である。

 船長は股間部分のジッパーを下ろすとチン〇を取り出して筒に入れた!


「おおおおおおッッ!」


 電子音を発しながら七色に光る筒。


「ほぉ~~~~~!?」


 なんかこれに一番感動しているリリムであった。

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