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うねうね☆マジック!  作者: うさおう
五本目! 闇の組織はファンクラブ? 一般生徒たちの戦い

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第三十三話 試験開始、修行の成果を見せつけろ!



「お~し、試験の説明をするぞ」


 決闘場の中央、並んで地面に座るシェスカ、スズ、シュノセル、プリメーラ。

 前に出たジズは人形を取り出し、魔力を込めてから置いた。

 すると人形のサイズがどんどん大きくなり、大人の男くらいの体格になった。

 身の丈ほどもある大剣を持っている。


「ルールは簡単。一対一の戦いでこいつをブッ倒せ。武器も魔法も何でもありだ。逆に一発でも攻撃をもらっちまったらその時点で失格。相打ちでも負け扱いだから注意な。こいつの剣は切れねーようになってるから死ぬこたねー……けど骨折くらいはするから油断すんなよ?」


「ハイ、質問」


 とシェスカが手を上げた。


「倒せって言われても具体的にどれくらい攻撃すればいいの? こっちも一発当てたら勝ち?」


「一定のダメージが入ったら止まる仕掛けになってるから、動かなくなるまでだな。こいつの能力は普通の人間を再現してる。かすり傷程度ならいくら刻んでも終わらねーし、逆に頭を潰しちまえばすぐに止まる」


「……普通の人間か、思ったより温いわね。こっちだって毎日遊んでるワケじゃないのよ」


 シェスカの強気な言葉を聞いて、ジズは意地悪そうな笑みを浮かべた。


「っと思うだろぉ? これが意外と厄介なんだわ……さぁて、他に質問無いなら始めるぜ?」


 四人の手が上がらないのを確認し、ジズは続ける。


「じゃ、一番手はスズ。前に出な、オレが合図したら戦闘開始だ」

「あうっ!? 私が一番ですか?」

「試験の申請を出した順番でやらせることになってんだ。その場で決めさせると()めるからな」


 スズはお尻についた砂をはたきながら不安そうに立ち、人形の前まで歩くと小刀を鞘から抜き構えた。


「スズ! みっともないとこ見せんじゃないわよ!」

「スズさ~ん。怪我しない程度に頑張るッスよ~」

「スズ殿! 本場のサムライ魂を爆発させるでござる! 今こそ秘められしパゥワーを見せる時!」


 三人の応援(?)がスズから集中力を奪っていく。

 うっとうしい事この上なかった。

 うっさい黙れ! と口から出そうになるがギリギリで飲み込む。

 スズは空気の読める女の子である。


「準備はいいな? それじゃぁ……始めっ!」


 ジズの声を聞き、剣を高く構えた人形が走り出した。

 ガニ股でドタドタと走りながらスズに振り下ろす。

 まぁまぁ早かった。


「あひぃいいいいいい!!!」


 倒れ込むようにしてスズは回避……というかコケた。


「スズ! 何やってんのよ! はやく立てっ!」

「……もうギブしたほうが良くないッスか?」

「あ、あれはっ!? 『イキグルイ』第二十八巻で主人公の佐々木源之助が使った虎伏(こふく)の構えにござるなっ!? やはり実在した技であったか!」


 スズは涙目で起き上がろうとするも慌てているせいで再びコケてしまった。

 人形はモタモタしているスズを見ながら剣をゆ~っくり振り上げて、


「あうっ!」


 とすっと優しく背中に振り下ろした。


「勝負あり。残念だけど失格だ。強くなったと思ったら、また挑戦してくれよな」

「うぅ……」


 ジズはスズの手を取って立ち上がらせた。服についた汚れをぽんぽんと落としてやり、手帳を返す。

 

「スズ! 何よその負け方! せめて魔法の一発くらい撃ちなさいよ!」

「武器持って走ってこられたら……頭の中が真っ白に……」


「ははは! そうそう、慣れないうちはそんなモンだよな……よし、次、プリメーラ!」

「お? 拙者の番にござるか! ならば、邪王飛天流、お見せつかまつる!」


 ゆらりと立ち上がるプリメーラ。

 長剣を大げさな動きで引き抜くと、両手で持ち人形に向けた。


「おい……もう地面に刺したりすんなよ? 試験中に抜いてやることは出来ねーからな」


「心得てござる。さぁ先生! 試合開始の合図を! 魂無き傀儡(くぐつ)などこの天魔黄龍剣のサビとしてくれる!」


「お、おう……じゃ、始めっ!」


 開始と同時にプリメーラは一気に間合いを詰める。

 背が高く足が長いのでスピードも速い。

 ジズが見直したように「おっ」と小さな声を出した。


「HAHAHAHA!!! 邪王飛天流奥義ィ! 乱れ乱撃乱舞!」


 めちゃくちゃに天魔黄龍剣を振り回し始めたプリメーラ。

 人形は大剣を盾のように使い身を守る。


「HAHAHAHAHA!」


 高笑いしながらガキンガキンと天魔黄龍剣を叩きつけるプリメーラ。

 握りも振りも酷いがそれなりに威力は出ていた。


「あっ、おいバカやめろ! そんな力任せに打ち合わせたら――」

「HAHAHAHA――へっ?」


 ぼっきり、と天魔黄龍剣は折れてしまった。そりゃこうなるわ。

 プリメーラは急に大人しくなり、折れた剣をじーっと見つめる。


「………………ふっ、この勝負、痛み分けにござ――ぶげっ!」


 背を向けてなんか言ってるところを大剣の腹で豪快に殴られた。


「バッカヤロー! 戦闘中に敵から目を逸らすな!」


 焦って駆け寄るジズ。

 目を回して気絶しているプリメーラを見てため息をついた。


「ダメだな、のびちまった……もったいねーなぁこいつ、タッパ(身長のこと)はあるし下半身のバネも良いから(みが)けばすぐに光るぞ……このふざけた性格でせっかくの才能が埋もれちまってる」


 ジズは残念そうにつぶやいてプリメーラを担いだ。


「こいつをメリル先生に預けてくる。ワリーけど二人はちょっと待っててくれ」


 そう言うと小走りで去っていった。

 

「……ねぇ、シュノ」

「はい。なんスか、シェスカ様」

「プリメーラってアホよね」

「さすが高貴な方は鋭いッスね。ズバリその通り、世界中どこに出しても恥ずかしい立派なアホッスよ」


 せめて、東国出身と偽るのはやめてほしい。

 そう、スズは心の中で思うのだった。



 ◇



「待たせたな、再会するぜ」

「遅い、寝かせて来ただけなのに時間かかりすぎじゃない?」

「危険な訓練してないかってメリル先生に絡まれたんだよ……」


 ジズは停止していた人形に再び魔力を込めた。


「次はシュノセルだ。分かってるとは思うが、敵に背を向けたりすんなよ?」

「プリメーラさんと一緒にしないで欲しいッスね。ライトニングサーベル!」


 シュノセルの手のひらから雷の魔力がふき出し剣の形に変化した。


「へぇ、けっこう難しい魔法使えんだな。入学してイチから覚えたんだとしたら大したもんだぜ」


「重たい武器を持ち歩くのが嫌だったんでこれだけに集中して練習したッス。装備に金が掛からないことがこの魔法最大の利点ッスね」


 手にした雷の剣を一度振ってから構える。


「そ、そうか……んじゃ、始めッ!」


 相変わらずガニ股で走る人形、これでそこそこ速いのだから凄い。

 だが、シュノセルはもっと速かった。

 大剣による振り下ろしをひらりとかわし、ささっと距離を取る。


「制限時間は無いッスからね。ゆっくりやらせてもらうッス」


 同様の攻防(?)を二回繰り返し、再び距離が開いた。


(様子見からのダッシュ、剣を振り下ろしたらまた様子見の繰り返し、落ち着いて見れば動きがパターン化されてるのがよく分かるッス。普通に戦えば負けるわけないけど……)

 

 またも振り下ろされた大剣を避け、雷の剣で人形の肩を切りつけた。

 しかし人形の動きは止まらない。

 素早く大剣から手を離しシュノセルに殴りかかる。


「あぶなっ!」


 ギリギリで逃げることが出来た。

 ルール上かすりでもしていたら失格である。


(やっぱりこういう行動が仕込んであった! この分だと飛び道具にも何かしらのカウンターが用意されてるはずッス。こりゃ相手の戦法を見破る冷静さと、それを打開出来るだけの能力があるかを測る試験ッスね)


 シュノセルの思考とリンクしているかのようにアホ毛がきゅるきゅると動いている。


「……うっし! 次で決めるッスよ!」


 ピン! とアホ毛が直立した。

 今度は自ら間合いを詰めていくシュノセル。

 これまでと同じように振られた大剣を横にかわす。


「やられる前にやるっ! それが人生の基本ッス!」


 軽い動きで飛び込み、雷の剣で人形の頭を串刺しにした。


「勝った! これで――へばぁっ!?」


 クロスカウンターのように人形の拳もシュノセルの顔面にめり込んだ。

 戦いを見ていたジズが口を開く。


「それまで! 惜しかったけど相打ちだな。次も頑張れよ」

「ちょ、ちょっと待ってほしいッス! 今のは私の剣が一瞬先だったッスよ!」


 ほっぺたをさすりながら抗議する。


「ワリーけどこういう場合は不合格って決められてんだわ。オレとしてはああいう思い切りの良い戦いは好きなんだが……生き残ることが最優先ってのが学院の方針だからな、納得してくれよ。なぁに、お前なら次は絶対受かるって! 保証するよ」

 

 派手に舌打ちして引き下がるシュノセル。

 相手を倒しているだけに悔しかった。



 ◇



「ようやく私の番ね、待ちくたびれたわ」


 腰に下げた剣を抜いたシェスカ。

 刀身が細めな軽くて扱いやすい剣だ。


「シェスカさん、その……頑張ってください……」

「シェスカ様! キタネー罠が絶対まだ隠されてるはずッス! 気を付けてください!」

「シェスカ殿! 拙者の愛刀の仇を討ってくだされー!」


 プリメーラがいつの間にか戻ってきていた。恐るべき回復力だ。


「言われなくても勝つわ。こんなトコでちんたらしてたら、一生フィノたちに追いつけない」


 殺気のこもった目で人形をにらみつけるシェスカ。

 気の弱い相手なら視線だけで殺せてしまいそうなほどだ。


「真剣なのは良いことだが、力入れすぎても逆に動き悪くなるぜ?」

「そういうのいいからさっさと始めてくんない? 余計なお世話よ」

「ははは、分かったよ。そんじゃ~……始めっ!」


「ウォーターバレット!」


 開始と同時に勇ましい声が響いた。

 シェスカの人差し指から水の弾丸が撃ちだされる。

 対する人形は大剣を盾にして防ぐのだが……。


「シェスカ様! 気を付けるッス!」


 大剣に当たりそうになった水の弾丸はぐいんと軌道を変えシェスカに跳ね返った。


「バブルプリズン!」


 シェスカは大きな泡で身を包み水の弾丸を防ぐ。

 

「おー! よく防いだな」


 ジズが感心した様子で拍手した。

 あらかじめ準備していなければ難しい速度での防御魔法だったからだ。


「シュノとの戦いで何かあるのは分かってたからね。剣に細工がしてあったのか」


 泡を消したシェスカは剣を構え、迫り来る人形を迎え撃つ。

 大剣による切り下ろしをギリギリでやり過ごし、伸びた腕の先端、手首を狙い切り落とす。

 さらにバランスを崩した人形に指を向け――


「ウォータ-バレット!」


 今度は命中。

 胴体に直撃した水弾がドパンと音をたて、人形がひっくり返る。

 起き上がるよりも速くシェスカは接近し、


「やぁ!」


 気合いの声と共に胸を突き刺した。

 そしてすぐに剣を手離して距離を取る。

 人形は数秒のたうち回り、やがて動かなくなり完全に停止した。


「ふぅ……」

「合格だ! デカい口叩くだけはあるな、シェスカ!」


 ジズはペンを取り出しシェスカの手帳に合格のサインを書き込む。


「フィノたちと変な世界に行った時の敵はこんなもんじゃなかったわ……あの子はどんな怪物が相手でも一歩も引かず戦った……私やエスニャを守るためにね」


「ん……フィノに憧れてんのか?」


「違う、別にフィノみたいになりたいワケじゃない。ただ、いつまでもあの子の後ろにいるのが嫌ってだけ。対等な存在として隣にいたいのよ」


「はは、そりゃ大変だぜ? ここを卒業できるだけ強くなってもまだ足りないはずだ。教員でもフィノより確実につえーって言い切れる奴はそう多くない」


「分かってるわよ。こんな学校、踏み台くらいにしか考えてないわ」


「言うねぇ……ま、気持ちは分かるし応援するぜ。次は初の実戦だ、負けんなよ、シェスカ」


 ジズはとても嬉しそうに、シェスカに手帳を返した。


「ありがと……ところで実戦の相手ってどんな奴?」

「ゴブリンだ」

「……は?」


 信じられないといった様子のシェスカ。


「聞こえなかったか? ゴブリンだ」

「ただの雑魚じゃない! 下手すりゃ子供でも勝てる相手よ!? いまさらそんなのと戦うの!?」


 今の人形の方がまだ厄介な相手である。


「一回生のうちから強いモンスターと戦わせるわけねーだろ?」

「……時間の無駄だし倒したことにしてくんない?」

「ダメだ、ここを踏み台にするんだろぉ? 一歩一歩しっかりと踏みしめて行くんだな。はっはっは」


 肩を落とし、はぁ~~と大きく息をついたシェスカ。

 道のりはまだまだ長いようだった。



 ◇



 試験を終わらせたシェスカ、スズ、シュノセル、プリメーラの四人は、


「かーっ! ま~~じに疲れたでござるな。みんなで甘いものでも食べに行くでござる!」


 という理由で学院を出て、フィリスの町にある喫茶店に向かっていた。


「それにしてもシェスカ様は凄かったッスねー! 魔法は学院に来てから覚えたんスか?」

「そうよ。剣術はやらされてたけどね」

「ほぉ……シェスカ殿も剣士の家系とは……なに流にござるか?」


「いや、流派とかはないけど……教わったのも親が雇った教師だし、そもそも実戦的なやつじゃなくてお稽古ごとだしね」

「そうであったか! 実は拙者も父上の兄上の弟の娘が編み出した必殺の剣を受け継ぎ――」

「あのぉ……それは我流ってことですよね……?」


 大きな声でお喋りをしながら、決して広くはない道を横に広がって歩く。

 他の通行人からすれば非常に邪魔くさいが四人は特に気にしていない。これが若さだ!



「――であるからして~それマジにござるか~って……おろ? 妙な連中がいるでござるな」


 プリメーラが気付いた後。


「「うわっ!?」」


 と、シェスカとスズが足を止めた。

 その妙な連中にと~っても見覚えがあったからだ。



 ◇



「ホホホ、とぼけても無駄ですわよ」

「エスニャさん……いえS・にゃんこさん」

「我々を……いえ、フィノさんを裏切り侮辱した罪は何よりも重いですわ」

「……ところであの同人誌の続きはいつですの?」


 貧弱の具現化のような少女――エスニャをぐるりと囲む仮面の女たち。

 町中で白昼堂々行われているこれはそう、私刑(リンチ)である。

 当のエスニャは立ったまま白目をむいて気絶しているのだが仮面たちはお構いなしだ。

 

「黙りこくってんじゃねーですわよオラァ!」

「貴女がレン派に下った証拠は上がっていますの」

「ここでは目立ちますのでそのツラ、貸していただきますわよ」

「児童買春の容疑をかけられたフィノさんはどうなってしまうんですの!? ワタクシ気になっておやつが食べられませんわ!」


 特に鼻息の荒い一人がエスニャに手を伸ばした瞬間だった。


「ウォーターバレット!」


 凛々(りり)しい声が響いた。

 飛んできた水の弾丸が仮面の一人を大きく吹っ飛ばした。


「だ、誰ですの!?」


 弾の飛んで来た方向に仮面たちが目をやったタイミングで――


「ライトニングハンド!」

「邪王飛天流奥義・後ろから脳天唐竹割り!」


 こっそり周りこんでいたシュノセルの雷魔法とプリメーラのチョップが決まる。

 これで二人倒した。


「ひえ……」


 残った一人をシェスカがギロリとにらみつける。剣の柄を握りながら。


「たっ、たすけて~!」


 可愛い声を出しながら逃げていってしまった。

 シェスカはツカツカと歩いて立ったまま気絶しているエスニャの前に、両手で肩を掴むと大きく息を吸って。


「起きろォォォ!」

「はひぃぃぃぃ! ……おや、シェスカさん……」

「危ないところだったじゃない! どうして戦わないのよ」


「あっ、申し訳ありません……え~~っと……私のですね……その~……趣味で書いてる本をいきなり突き付けられまして……あまりの恥ずかしさで目の前が真っ暗に……」


「その本とはこれにござるか~? ……えへ、レン殿はマンガでもキュートでござるな……えーっ! 生えちゃうの!?」

「大きな声で実況するのやめていただけませんかねぇ!?」


「それよりこいつら誰なんスか? 裏切りがどうとか言ってたッスけど……おっ、結構金持ってるッスね」

「はぁ……それについては私が説明するわ。エスニャより事情分かってるしね……あのバカども本気で動くなんて……」


「あ、あの! 私先生たちに伝えてきますー!」

「あっ、待てスズ!」


 シェスカが止めるのも聞かずにスズは走り去ってしまった。


「もう! 今学院に戻ったら逆に危険じゃない……まぁ、あの子ひとりなら大丈夫か。ビックリするくらい目立たないし」


 落ち着いてだんだん事態が飲み込めてきたのか、エスニャはガタガタと震えだした。


「ああ……恐らく彼女たちは組織の粛清(しゅくせい)隊……大変なことになってしまった……次に動くのはきっと……」

「ふむ、裏切りに粛清でござるか! 凄いものを見てしまったでござるな~」

「あんたもすでに標的よプリメーラ。手出しちゃったんだから」

「えー!? マジで? あり得ぬだろ!」

「……とりあえず喫茶店行ってケーキでも食べながら話さないッスか? 面倒なことになりそうなんで、栄養補給も兼ねて」


 シェスカは少し考えてから、「それもそうね……」と言って歩き出した。



 ◇



 むし暑くて薄暗い部屋。

 並んで座るは怪しい怪しい仮面の集団。


「ふふ……そろそろ戻るころですわね。にゃんこさんにはフィノさんを愛するものとしてたっぷりと――」

「大変です! リーダー!」

「何事ですの! 騒々しい!」


 駆け足で入室してきた少女は呼吸を整えると、リーダーと呼ばれた女にごにょごにょと耳打ちした。


「なんですって!? 他の三人が倒された!?」


 リーダーの言葉に他の者たちは、なぜ? どうして? と動揺を見せる。


「皆さんお静かに! まずは敵の確認ですわ! フィノさん撮影隊! かもぉん!」


 パチン! と指を鳴らすと天井からシュタっと三人ほど降って来た。


「粛清の様子は撮ってありますわね? 録画水晶をこれへ」


 保存された映像が投影用の大きな紙に映し出され、全員の視線が集まる。


「まぁ、あれがにゃんこさんの素顔……」

「寝不足のようですわね、目の下に大きなクマが……」

「今はどうでもよいことですわ」


「しっ……来ますわよ」

「あっ! あれは……」

「知っていますの?」

「巨人のような方はプリメーラさん、見た目以外すべてが残念なお方ですわ」


「ぬいぐるみのような方はシュノセルさんですわね。元スリとの噂ですが本当でしょうか」


「剣を持っているのはシェスカさんですわね……フィノさんに付きまとっている迷惑で恥知らずなストーカーですわ!」


「最後の一人は……誰?」

「さぁ?」

「お、恐ろしいほど印象に残らないお方ですわ……」

「ああ! なんてこと! 目を離した次の瞬間にはお顔が思い出せませんわ!」

「自らの存在感を消してしまうなんて……あれは魔法? それとも気を利用した術ですの?」

「ま、まぁ、一人くらいはいいでしょう……これで敵の姿がハッキリとしましたわね」


 映像が終了し、一同の視線は再びリーダーへ。


「さて……彼女たちが何を考えて我々に手を出したのかは分かりませんが、神聖なフィノさんのイメージに泥を塗られました。これは全力で叩き潰す必要がありますわね?」


 そうですわ! そうですわ! と集団から次々に声が上がる。


「ふっふっふ……ならば――『フィノさん親衛隊』を招集しますわ!」


 親衛隊? と皆がざわつき始める。


「リーダー、親衛隊とは……フィノさんをお守りするために最強の者たちで結成したはいいものの、肝心のフィノさんがあまりにも強すぎるせいで何ひとつ仕事がなく、最近加入したメンバーはその存在すらもしらなかったりするあの……親衛隊ですの?」


「そう! その親衛隊ですわ! 『金棒のリストリアさん』『超舌技のギャパリーさん』『美少女百人食いのユリリンさん』…………フィノさんを愛でる者としての、誇りをお見せするのです……ふふ……うふふふふ…………」

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