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グリム旅行 旅の始まり

第1章 主人公は死にかける

第4話 グリム旅行 旅の始まり


グリム旅行を検索してみるが

それらしい情報は何も引っ掛からない。

国で検索してみるが、該当しない。


一旦検索は諦めて旅行の詳細を読む。


2泊3日で宿泊費、交通費込みで29800ポイント。保険は別で5000ポイント必要。1ポイント1円で換算してパック旅行に思える。


出発は新●西空港。集合時間は朝9時。ポイントを交換後は案内にしたがってプリントアウトした紙がチケット代わりになるらしい。


正直お金にならないポイントな認識だったので、旅行に使える選択肢があるのはうれしいのだが、観光スポット等の情報は一切ない。ミステリーツアーの一種なのだろうか?


───────────────────

34800ポイントで交換しますか?

───────────────────


マウスのカーソルを「はい」に合わせてクリックする。


「・・・。」

怪しい気はする。するが、やはりタダ同然で旅行に行ける魅力には叶わず空いたスケジュールにも一致したのでつい予約してしまった。


翌朝、着替えと旅行グッズ等を入れた小さめのスーツケースを引いて俺は新●西空港に来ていた。そして、若干後悔している。今いるところは空港の端だ。まず中央窓口でプリントアウトした紙を見せたところ、ちゃんとしたチケットと共に空港の端へ向かうように案内を受けたのだ。端に来ると空港に着いた時の喧騒が嘘のように静まりかえっていた。荷物の預かり口は無人でベルトコンベアだけが動いていており、その稼働音が完全な静寂の世界にならないよう抵抗しているかのようだ。


立て札が置いてあり荷物はベルトコンベアに流していい事が書かれているが無人化が徹底され過ぎだ。搭乗口は電車の改札機と同じでさっき貰ったちゃんとしたチケットを通せば問題なく通れそうだが、やはり無人だ。ミステリーツアーなのだとすればなかなか謎で不安感を煽る演出としては成功している。


しばらく観察するも変化はない。

いや、モニターに出発時刻っぽい時間が出ている。確か飛行機は早めに搭乗しておかないと乗れなくなるはずだ。出発時刻っぽい時間までは30分を切っており、様子をみている場合ではなさそうだ。


無人の荷物の預かり口でベルトコンベアにスーツケースを流し、チケットを入れて改札をくぐる。ピッと電子音と共にチケットが向こう側に出てきたので取って進む。


金属探知機とかのチェックはないのだろうか?飛行機乗るのに必須じゃなかったか?と思いつつ飛行機に続いているであろう通路を進む。暗い。これも演出たろうか?いや、飛行機への連絡通路は元々暗いものだった気がする。


通路が曲がっており、角を曲がるとようやく向こう側が明るくなっていた。普通に飛行機の内部へ通じていた。ジャンボジェットと言われるサイズだな。通路が二列あり、一列で横に何人も座れるタイプの飛行機だ。そして、無人だ。


考えれば当たり前か?

時間がない中で調べた限りでは旅行の募集がされているのはあのサイトだけだった。

しかし運営が心配だ。どう考えても、ジャンボジェットは費用が掛かり過ぎに思える。


運営の心配をしつつ、チケットに指定されている席へ近づくと無人と判断したのが間違いだったと気付かされた。小柄な人影が隣の席にいた。


「あら、こんにちは。珍しいわね。ここで新しい人に会うのは久しぶりだわ。」


品のよさそうな白髪のおばあちゃんがそう話し掛けてくる。


「こんにちは。久しぶりということわ、よく利用されているんですか?」


色々知っていそうな口振りに思わずそう返答を返してしまう。


「そうね。でも、まずは座られたら?すぐに出発時刻よ?」


特に出発のアナウンスや、スチュワーデスさんの案内もないが、確かにモニターに表示されていた時刻になりかかっている。


「では、お隣に失礼して。」


指定されている隣の席に座りシートベルトも着けると、タイミングを見計らっていたかのようにアナウンスが流れる。


「本日はご利用頂き誠にありがとうございます。当機体は9時34分初グリム行きでございます。まもなく離陸致します。お客様は指定されている席にお座り頂きシートベルトを着用ください。離陸後一定時間経過致しますと水平飛行になります。それまではシートベルトを外さず席にてお過ごし頂きますようよろしくお願い申し上げます。」


アナウンスが終わると同時に急に座席に体が押し付けられる。


「えっ?ちょ?はやっ!」


間髪入れずに飛行機が出発しその慣性で体が座席に押し付けられた。


「ふふふ。」


独り言に近い感想を聞いたであろう老婆が笑っていた。

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