5話 最初に覚えた単語
大変長らく投稿出来てませんでした汗
不定期ですがこれからも投稿していきますので
よろしければ読んでいただけると嬉しいです!
「☆жо△#!о☆#。」
これどうすんの?!なに言ってるか分からないし、こっちがなにか言っても伝わらないだろう。
しかし、兵士の言葉で僕の脳は真っ白になっており...
「アイキャントスピークイセカイゴ。」
と発音が怪しい英語を返し、首を横に振る。
いや、だってこの人スゴイ英語話せそうだもん!
身体も大きいし、米国の人たちも大きいじゃん!
よくわからない思考が巡る。
完全にテンパっていた。
兵士の人は最初目を細めてからもう一度話しかけてきた。
「...☆ж★△#!%$。」
だからわからんっちゅうに!
どうするのマヂで!言葉通じないとか色々終わってない!?
宿にも
「何泊したい。」
とも言えないしご飯も買えないじゃん!
いや、手にとったり指させばわかるかもだが、騙されたとしてもわからないわけで...
あれ?お金巻き上げられて奴隷への道まっしぐらでは?奴隷制度あるかしらないけど絶対そっち方面のことになる!
ヤバイヤバイ! なんで言葉が日本語じゃないって気づかなかったんだ!普通は違うだろう。ヒントもあったのに!
いやでもこういうときは神様が言語理解みたいなスキルを予めくれるんじゃないの!
「忘れておったわい。」
...って声が聞こえた気がしたんだけど?!(気のせいです)
ちょっとそういううっかりいらないから!(気のせいです)
今からでも遅くないからくださいなんでもはしません!!
頭の中でまさしく神頼みをしていたが、また兵士に話しかけられた。言葉がわかるわけもなく...
泣きそう。バッドエンドしか見えない。
涙目で首を横に振ることしかできなかった。
兵士は困った顔で少し考えたあと振り返り、門の内側へと声を張り上げた。
見張りの兵士になにかを伝えたらしい。
その兵士がこちらにやってきて何かを話し合った後、こちらに硬貨を見せながらなにかを言った。
「☆жо△#。」
何を言ったかはわからない。けど言わんとしてることはわかる。
初めて相手の伝えたいことが理解できた!
自分でも口角が上がったのがわかるほどに嬉しかった。
僕は頷きながらポケットにあらかじめ入れていた硬貨を全て取り出して兵士の男の人に見せてみた。
「☆жо☆。」
男は苦笑しながら、僕の手の平の上にある硬貨を数枚取り頷いた。
出しすぎていたらしい。
硬貨をポケットに再度しまったあと兵士は呼んだ兵士になにかを伝えている。
これで街の中に入れるのかな?でも入ったところでさっき考えていたバッドエンドルートまっしぐらだ。
どうにかこの世界の言語が学べる本のようなものはないかな。
なんて考えてたら肩に手をかけられた。
「☆жо△#о☆#。」
今度はなにを伝えたのかわからなかった。
その兵士はクルっと回り街の中へと入っていった。
その様子をその場で見ていたら数歩進んだ先で振り返り手招きをしてきた。
どうやらどこかへ連れて行ってくれるらしい。
...さすがに兵士が騙すようなことはしないよな?
先ほどのやり取り?でこの人が悪い人じゃないような気がする。勘でしかないが。
ここは付いて行ってみよう。
僕は頷いて兵士の人についていった。
時刻はもう夕方だ。太陽が沈みかけており、月が顔を出している。
太陽はお馴染みの太陽だが、月は日本にいたときの月と比べると大きい。そして水色だ。
綺麗だ。地球の月も好きだったけど、こっちの世界の月も好きになれそうだ。
道はたくさんの露店が並んでいるが、もう時間も遅いためかすでに閉まってるお店や、店仕舞いを始めているお店が多い。
いい匂いがする。この世界来てからなにも食べていなかったことに気づいた。
アイテムボックスには食料も入っていたが、コンタクトレンズのことに夢中で食べ忘れていた。
建物は石材や木材で出来ている。看板なんかもあり、なんて書いてあるのかわからないのから、絵で描かれているのなんかもある。外観でわかるようなのもある。
盾のマークだ...つまり防具屋か。
今度入ってみたいな。値札読めないし、いくらか聞くことも出来ないけど...。
ちょっと沈んでしまったがそれでも周りを見ればテンションが上がる。
これから覚えていけばいいんだ。これも楽しみの一つとしておこう!
...英語は苦手だったけど!異世界語はいける!はず!
中央広場のようなところへ出た。
周りをキョロキョロしていたら兵士の人が優しい笑みを浮かべこちらを見ていた。
ちょっと恥ずかしかったので頬を掻きながら笑い返し、視線を外した。
外した視線の先には木材で造られた大きな建物があった。
これはもしかして...?
そこからたくさんの人が出入りしていた。
兵士の人もその建物内に入っていった。どうやら目的地についたようだ。
両開きのドアを開け中へと入り、僕は固まった。
そこにはたくさんの人であふれかえっており、外でみたような冒険者がたくさんいた。
各々の武器を持ち、防具を着用している。
お酒の匂いや料理のいい匂いがする。酒場もあるようだ。そこではたくさんの人たちでワイワイガヤガヤしている。
豪快に笑っている者から、真剣な面持ちで話し合っている者。落ち込んでいる者など様々だ。
ここはあれだ。
紛うことなき冒険者ギルド。
来てしまった!これで僕も冒険者?!いきなりなれちゃう?!
来たよ来た来た!これが時代か!優衣の時代が幕をあけちゃうよ!
テンション上がりすぎててワケワカメ。
しかし、僕のテンションがおかしな方向に行っている要因は別にある。
受付のような場所がある。時間が遅いからか、並んでいる人たちがいるがそれほどの人数ではない。
そこには眼鏡をかけたクールビューティと言っても過言ではない女性が冒険者と会話をしていた...
獣耳を生やした女性が。
「ケモミミきたぁあああああああ!!」
僕は叫んだ。心の叫びが僕の口から出るほどに興奮してしまった。
僕の叫び声で兵士の男が驚いたような顔でこちらを向いた。
列に並んでる冒険者も、こちらを物珍しそうにみてきた。
つい叫んでしまった。お恥ずかしい。こっち見んといてーや!
僕の心の叫びは届かなかった。兵士がなにかを言ってくれたおかげで
冒険者達は前を向いた。...チラチラと見てきてるが気にしないようにしよう。
兵士の男は僕がさっきまで見ていたケモミミ受付嬢の列に並んでくれた。
まさか僕が叫んだ原因があの人だと気づいたからなのかな?
だとしたらありがとうございます!
近くで見たいことを察してくれたのかな!なんていい人だ!
ギルドまで連れてきてくれたし絶対にいい人で間違いない!
獣耳受付嬢は座っているからわからないが、他の受付嬢と座高は変わらないから一般的な身長くらいなのだろう。
服装は他の受付嬢と同じ。制服のようなものだろう。
容姿は可愛いよりもキレイ系で、髪の長さはミディアム。髪色は水色よりの青。耳も同じ色である。
目もアイスブルーでまさにクールビューティーである。
スタイルも良さそうだ。
眠そうな目は親近感が湧く。
ちなみに周りにはさまざまな種類の獣人族(ネコ科や犬科、羽毛が生えてるのもいた)や、
小さいおっさん(ドワーフだ!)もいた。
他の種族は周りにはいないようだ。
エルフいないのか...排他的な種族なのかもしれない。
でも獣人族がいるから!大事だよね!!
他の種族もいるのかもしれないが、会った時のお楽しみってことで今は...
「あのケモミミ触らせてもらえないかな。。。」
獣耳を眺めていた。
「☆жо☆#。」
「ーжо△。#о☆#。」
気付けば僕たちの番になっており兵士の人が獣耳受付嬢と話していた。
一言二言話したあと、獣耳受付嬢は頷き水晶玉を取り出し、台の上に置いた。
なにこれ?とりあえず綺麗だな~。なんて思ってたら兵士の人が話しかけてきた。
兵士の方を見てみると、手をヒラヒラさせてから手を水晶玉の上に置いた。
すると水晶玉が光だし色が青色に変わった。そのあと力みながら水晶玉を握った。
また光出し、受付嬢が何かを言うと台の上にあらかじめ置いてあった石版も光だし
収まったあとなにかが表示された。
水晶玉のほうも光が収まり、透明な水晶玉へと戻った。
表示された内容は読めない。
そのあと兵士が僕を指差してから水晶玉を指差した。
同じことをしろってことなのかな?
水晶玉に手をのせた。
すると先ほど同様に水晶玉が光だし青色に変わった。同じだ。
確か、力みながら握るんだよな。フンヌと力むと小さいながらも水晶玉が光り、
受付嬢が何かを言うと石版になにかが表示された。
受付嬢と兵士はお互いにそれを確認している。
「☆ж。ユウイ?」
受付嬢が呟いた。
僕の名前を。
少しイントネーションがおかしいが確かに僕の名前だ。
僕は嬉しくなって自分を指差しながら
「ユウイ!」
と言った。
受付嬢は人に安心感を与える優しい笑みを浮かべながら頷き、兵士はほっとしたような顔をしていた。
次に受付嬢が先ほどの僕のように自分を指差しながら
「シルエット。」
彼女の名前なのだろう。
「シルエット!」
僕がこの世界に来て最初に覚えた単語であり名前だ。
猫耳を登場させてしまったけどこれは自然な摂理だと思っています。
初めて覚えた別の国の単語って意外と忘れないんですよね。
自分はロシア語の「スパコイナイ・ノーチ」を覚えてしまいました笑
お読みいただきありがとうございます。
次話も読んでもらえると嬉しいです