17話 駆け出し冒険者
お楽しみいただけると嬉しいです。
テチさんから紙を受け取り、受け付けに渡せと言われたので元来た道を戻る。
紙を見てみると色々と書かれているが、0という数字が書かれている。つまり僕の実力はまだまだと判断されたということになるのか。
んー、もともと0からのスタートがいいとは思っていたが…
「悔しい…な。」
確かに運動は好きだが、やってきたスポーツは主にパルクールのみで後は学校で体育の授業くらいのものだ。目を付けられない程度に目立たず、でも成績は取れるようにはしていたが適当にやっていた部分はある。
剣道や柔道なんかの対人戦スポーツもしたことがないのだ。現代日本でこういうスポーツをやっていなければ戦闘なんかとは無縁になるのは当たり前だ。だから当然の結果なんだろうけど、それでもやっぱり悔しいものは悔しい。
が、いつまでも悔しがっても仕方ない。いつもの伸びをして気分が少し和らいだところで受け付けまで戻ってきた。
数グループの冒険者達が列になって並んでいるので後ろに並び、さっきの模擬戦を頭に思い浮かべながら順番が来るのを待った。
「次の方お待たせいたしました、どうぞ。」
あ、僕の番が来たみたいだ。
シルエットさんに呼ばれたので受け付け台まで進み
「この紙をお願いします。」
と先程テチさんからもらった紙を渡す。
「はい、それでは登録の手続きをいたしますので少々お待ちください。」
そう言って奥の扉へ入り一分程して戻ってきた。はや。
「お待たせいたしました。こちらがユーイさんの冒険者カードです。こちらのカードは破損、紛失しても再発行出来ますがお金がかかります。再発行をする度にその支払う金額は増えていくのでご了承ください。大事に扱ってくださいね。」
なるほどな、アイテムボックスにでも入れとけば問題なさそうだな。
「次にクエストの受け方ですが、あちらのボードに貼られている紙から受けたい物を選び、紙をこちらの受け付けまで持ってきていただきます。ボードは左から0、右に行く程ランクが上がります。自分自身に見合ったクエストをお受けください。クエストの期限や達成事項も書かれています。クエスト失敗時には違約金が発生する場合がございますので良く確認をした上でお受けください。」
冒険者ギルドってこんなに丁寧に教えてもらえるものなんだな。小説や漫画だとやって慣れろという風習なのかここまで丁寧には教えてないように思うが…助かってるからいいんだけどね。
「0ランクには街からの依頼や、常時クエストがございます。常時クエストには期限がなく、違約金は発生しませんので新人冒険者にはオススメです。ご不明な点はございますか?」
常時あるクエストには薬草採取や繁殖しやすい魔物の討伐などがあり、クエストを受けていなくても採取討伐をしたあとにクエストを受けることも可能だそうだ。つまり、別のクエストを受けているときでも、薬草を見つけたのなら採取をした方がいいということである。
ただ報酬は微々たるものでランクアップもしづらいため、ランク上位者は見向きもしなくなるのだとか。逆に駆け出し冒険者はこの方法でもランクは上がるので、初めのうちはやっておいたほうがいいだろう。
説明が丁寧だったので、今のところ疑問に思ったことはないかな。
「はい、大丈夫です。」
シルエットさんは優しく笑い
「これから頑張りましょうね。」
そう言ってくれた。
「頑張ります!」
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時間も少し遅くなってしまったので今日はクエストを受けずに明日早くにきて受けようと思う。ただ日はまだ高いので遊び場へと向かっている。そして先ほど掲示板で見たクエストのことについて考えていた。
常時クエストにあった薬草採取をやるにしても街の外へ出なければ行けないし、森に向かわなければいけなくなるかもしれないのだが、街の外は魔物が出ると考えていいだろう。何の準備もなしに行って命を落とすなんて洒落にならない。
そうなると…
「あー、冒険者ギルド空いてたし情報収集しとけばよかった!」
というかシルエットさんに質問できる機会だってあったのに深く考えずに大丈夫なんていってしまった。何をやってるんだ僕は…。
今から戻るか…?いや、出てきたのにまたすぐに行くの恥ずかしいな。でも自分の命に関わることだし。でももう遊び場は目の前だし。
……。
「ま、いいや。明日街の中でできるクエストを受けて時間があったら情報収集をしよう。」
今日も妄想レンズを使って修行。
目を閉じて左目に修行レンズ、右目に妄想レンズを付ける。
昨日同様に黒人間を出そうと思い、ふとそこで顔にパーツつけたいなと。
「僕自身にするか。」
鏡で毎日見てるし自分の顔思い浮かべるのは簡単だろう。
強さは今の僕と同じでいいか。カモン!
前を見ると僕がいた。ただし黒色で。黒色といっても全体が同じ黒色ではなくて顔のパーツは区別できる。
ふむ…
「影の僕…」
厨二臭いセリフをポツリと呟いてしまった。
僕と同じ動きをしてもらおう。向きあった状態で左にずれると向こうも同じ動きを取った。走り出し側転、ロンダートからのバク宙。全く同じ動きをしてくれた。今のを見た人がいれば拍手をもらえただろう。謎の達成感に満たされ、満足したので修行を開始するか。
妄想経験値上昇、身体負荷、身体負荷時ステ率上昇のレベルが上がったところで家に帰り、ご飯をいただき、体を綺麗にして魔力変換を行いながら今日も早めに寝るのであった。
テンポが悪くなることは承知していますが、「あ、○○しておけばよかった!」と後々気付くことが多発すると思います。書いてる時はキャラ達を動かしながら書いているため、戻して書き直すとなにかしら破綻してしまいそうなので。
最後までお読みいただきありがとうございます。