13話 お風呂と鳴り続ける音
お楽しみいただけるとうれしいです。
おはようございます、朝ですよ。
最初に一つ言うことがあるとしたら…
「身体中が痛い!主に上半身!」
完全なる筋肉痛である。あれだけ筋トレしてれば筋肉痛の一つや二つなるのは当たり前だが今日全く動けなさそうだ。でも今日一日を寝て過ごすのは勿体ないよな。勉強の日にするのもありだが。うむむ。
……おやおや?またいいこと思いついたぞ。ヒールのレンズを作ればいいのでは?筋肉痛が治るかは知らないけど、いずれは必要になるだろうし、筋肉痛が治ったら万々歳ってことで。
それでは、参りましょう!…生成!
回復レンズ
回復 lv1
回復経験値上昇 lv1
回復必要経験値減少 lv1
必要経験値減少系経験値上昇 lv1
経験経験値上昇 lv2
《回復》
負傷している部分を癒す。
無事に出来たけども果たして筋肉痛が治るか。
試してみるしかないよな。では、いざ!
「《回復》!」
全身を意識して回復のスキルを発動すると、僕の体の周りに緑色の粒子が現れ、僕の体に向かってくる。触れた瞬間溶けるように姿を消しているが、触れた部分が暖かく痛みを和らげていってくれているのがわかる。
それから数分が経ち、緑色の粒子が消えるころには、僕の体は筋肉痛なんて始めからなかったかのように万全の状態だ。いや、前よりも力が強くなっている気がする。
あ、ちなみに回復のスキルを使うときは目の色が銀色になるようにしている。もう言わなくてもいいと思うがカッコイイからな!
さて、これで今日も鍛えられそうだ。パルクールで遊んでる時も修行レンズを使うか。感覚的には支障は起きなそうだ。これでまた事故ったらただの笑い話だ。
ミスしたとき用になにか生成しておいたほうがいいかも!
「備えあればってね。」
大体の要因が落下だから落下しても大丈夫なのがいいな。そうなると浮遊か…浮遊だよ!え、飛べちゃう?!地球にいた頃、何度空を飛んでみたいと思ったか!ここに来てようやく!ここだからこそか!ありがとう神様!叶わないと思っていた夢が神様の手によって叶います。
まだだ!まだ出来るかがわからないんだ。あまり期待し過ぎると出来なかった時のダメージが即死級のものになってしまう。
バフを張らなければ!いや、どうせ出来ないし。というネガティブバフを!
と言いながらもメチャメチャ期待している。
よし、集中からの
「生成!」
空歩レンズ
空歩 lv1
空歩経験値上昇 lv1
空歩必要経験値減少 lv1
必要経験値減少系経験値上昇 lv1
経験経験値上昇 lv2
《空歩》
空中に足場を作る。
浮遊にしようとしたら空歩になってしまっている。最近こういうこと多いな。
でもこれはこれで楽しそうだ!練習しておかないともしものとき使えないからな。ちょっと練習をしてみよう。うん。
右足を上げて空歩と意識してみる。すると床から十数センチのところに足がつき左足も乗せる。
「ヤバイ、泣きそう!」
飛んでいるわけではなく、箱に乗っているような感じだろうか。ただ気付いた。
「これ乗っている間、MP持っていかれるな。」
魔力変換のようにゴッソリ持っていく程ではないけど、持っていかれているのがわかるくらいである。
ドンドン試したいことを試さないとな。まずは右足を一歩前へと出してみると、下の床に足が着いてしまった。意識してたから転びそうにはならなかったがやはりそうなるか。
左足が乗っているところに戻ってみると右足が着いた。
つまり、空歩を毎回意識しないと空中を歩き続けることが出来ないようだ。まぁ、そりゃそうか。勝手に空中に足場ができても困る。
次にしゃがんで、下の足場を触ってみると固いガラスのような感触だ。ノックしてみるが、音はしない。すっごい違和感だ。
立ち上がり右足をさっきと同様に床につけてから足場の解除と意識すると左足が空中で遊んでいる状態になった。
次に、ちょっと高い所を意識してそこに手を置いてみると感触があったので登れるか試すと登れた。ほうほう…これは便利だな。座ることも出来たから空歩(?)って感じだ。
大きさは固定みたいで、縦三十センチくらいで横が僕の肩幅より少し大きいくらいで、厚さは十センチないくらいだろうか。強度はそれほどでもなくて、横から殴ったら消えて痛みも無かった。感触はあるのに痛くないとかファンタジーでしかない。一番困惑したわ!
これ人の足元に設置したら転ぶのでは?と思ったが僕から五メートル以上離れた位置には設置出来ないみたいだ。そんなことするつもりは最初からなかったけど試さないといけないし!
このくらいだろうか。思いついたらその時にまた試すとしよう。
さて、時間もまだあるし魔力変換を少しして勉強だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも通りの美味しい朝食をいただき、いつも通りディンさんが仕事へと向かった。
また今日もキャルロイ先生に勉強を教えてもらおうと思ったがキャルロイさんが興味のあることを言っていた。
「レア、今日はお風呂の日よ。」
と。
「オフロ?!」
食いついてしまった。いや、だって日本人なんだから仕方ないよね。
「えぇ、みんなあまり好んで入らないけれど汚れも疲れも取ってくれる優れものよ。レアは嫌いみたいだけど。」
クレアちゃんの方をみてみると離れた位置でこちらを見ている。その顔つきは何かを怖がっているようだ。お風呂に連れていかれる猫のようだ。
「ユウイも手伝って。あの子、逃げようとして上手に洗えないのよね。」
よし、ならばお風呂の素晴らしさをクレアちゃんに教えてあげよう!キャルロイさんに手を引かれて行くクレアちゃんを見ながらそう考えた。
「こら、暴れないの!」
「いや!」
あー、なるほど。クレアちゃんがお風呂嫌いになっている理由がわかった。それは…
「いたい!いーたーいー!」
「このくらいしないと汚れが落ちないわ!」
キャルロイさんの力加減によるものだろう。石鹸がないからタオルの滑りも悪く、汚れを取るために力が強くなってしまうのだろう。強いと言っても大人だと気持ちいいと感じるくらいなのだろうが子供だとそうはいかないのだろう。あー、腕が少し赤くなってしまっている。
「キャルロイさん!」
ここは昨日僕が作ったレンズを役立てよう。
「ん?手伝ってくれるの?」
「うん、僕にマカセテクダサイ。」
キャルロイさんが横にずれて僕はクレアちゃんの後ろに移動した。クレアちゃんが不安そうに僕の方を見ているので、安心させるために頭を撫でる。クレアちゃんの不安が少し和らいだところで洗浄のスキルを意識するとクレアちゃんの髪が泡だつ。最初びっくりしていたクレアちゃんだったけど髪に触った自分の手についた泡を見て、それを人差し指で突いたり軽く息を吹きかけたりしている。次第に髪についた泡を多く取っては息を吹きかけて飛ばす遊びを始めた。楽しそうだ。
「ユウイ?それはなに?」
と泡を指差しながら僕に問いかけるキャルロイさん。
「僕のスキル。カラダをキレイにシテクレル。」
と簡単に説明しながら、クレアちゃんのさらさらの髪を洗っていく。
一通り洗い終わったので洗い流そう。
「クレアちゃん、目をツブッテ。」
最初不思議そうにしていたが、目に水が入るからと説明すると笑顔で頷き目を瞑った。
スキルで泡を洗い流しながらクレアちゃんの髪を洗っていく。洗い流し終わったのでクレアちゃんに目をあけていいと言うと、目をあけて髪に手をあてて泡がないことを確認してから僕の方を見た。
「ユーイ、めがきれい!」
ん?あー、そういえば生成した際に色だけじゃなくて模様入れられないかと思って泡の模様を入れてみたんだった。出来ているみたいだな。
「ありがとう。アワアワオメメだよ。ツギハカラダをアラッテイクネ。」
そう言った瞬間、クレアちゃんがまた不安そうな顔をしていた。
「ダイジョウブ。」
そう言いながら少し赤くなっている腕に回復のスキルを使う。
「え、回復の魔法?」
キャルロイさんがなにかを呟いたが、声が小さくてなんて言ったのかわからなかった。
聞き返してみたが
「いえ、なんでもないわ。」
と言われてしまった。うーむ、気になる!
すぐに治ったのでタオルに泡を付けて先程の腕に優しく当てて体を洗っていく。痛くないみたいでクレアちゃんはまた出た泡で遊び始めた。
「便利ね。私もその泡使ってみたいわ。」
「アトデオケにイッパイダシテオキマスよ。」
「本当?ありがとう。」
小さいながらも恩返しになれてるといいな。
泡を洗い流し終わり、キャルロイさんがクレアちゃんを木でできたお風呂に入れた。
おー!僕もあとで入ってもいいのかな?そう思っていると。
「ユーイもいっしょにおふろー!」
確かに大人二人でも入れるくらいなのだがキャルロイさんもいるしそういうわけにも…
「なら、後はユウイに任せるわね。タオルは置いておくからそれを使って。」
と言い、出て行ってしまった。クレアちゃんがこちらをキラキラした目で見ている。
「ワカッタよ。」
クレアちゃんと一緒にオフロに入ることになった。
「ねぇ!またあわあわだして!」
「イイヨー!」
そう言ってスキルを発動する。泡で頭をパーマにしたり眉に見せたり、定番の髭にしたりと遊んでいる。
クレアちゃんが手に集めた泡に息を吹きかけて僕に飛ばしてくる。顔が泡まみれになってしまった。
渋い顔をするとクレアちゃんが楽しそうに笑った。これは仕返しが必要のようだ。
笑っているクレアちゃんの頭に手を置き、泡を出していく。トンガリ帽子のようになった。それを見て今度は僕が笑った。頭の泡の状態を確認しているクレアちゃんも次第に笑いだし、二人で笑いあった。子供は癒されるから好きだな。よく公園の子供たちと遊んでたっけ。
さすがに長く浸かりすぎているな。このままじゃノボせてしまう。泡を洗い流してあがることにした。
「またはいろうね!」
どうやら風呂好きになったみたいだ。
そのあとはキャルロイ先生に勉強を教えてもらう。日常的に使う単語を教えてもらっているところだ。ふむふむ、確かにこの単語は聞いたことあるな。これもだ。こっちは…
ピコン
お、何か上がったな。そう思い自分を鑑定したが理解や吸収でもなく、解読でもなかった。ん?聞き間違いかとも思ったが、そういえば経験値関係見えなくしていたんだったことを思い出し、表示するように意識…ついでに関連しているスキルを見やすくしてくれたらいいんだけど。
さて、もう一度鑑定。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前 鈴野 優衣 (人族)lv1
HP 10/10 MP 1068/1070
[筋力]14
[防御力] 8
[俊敏]15
[器用] 7
[魔力] 16
[幸運]56
[スキル]
[サブスキル]
<吸魔:1><吸魔経験値上昇:1>
<鑑定:2><鑑定経験値上昇:2>
<解読:2><解読経験値上昇:2>
<記眼:2><記眼経験値上昇:2>
<通訳:2><通訳経験値上昇:2>
<読眼:2>読眼経験値上昇:2>
<吸収:2><吸収経験値上昇:2>
<理解:2><理解経験値上昇:2>
<遠視:1><遠視経験値上昇:1>
<地図:1><地図経験値上昇:1><地図必要経験値減少:1>
<魔力変換:1><魔力変換経験値上昇:1><魔力変換必要経験値減少:1>
<洗浄:1><洗浄経験値上昇:1>
<乾燥:1><乾燥経験値上昇:1>
<身体負荷 :1><身体負荷経験値上昇:1>
<身体負荷時ステ率上昇 :1><身体負荷時ステ率上昇経験値上昇:1>
<回復:1><回復経験値上昇:1><回復必要経験値減少:1>
<空歩:1><空歩経験値上昇:1><空歩必要経験値減少:1>
<コンタクトレンズ生成経験値上昇:1><コンタクトレンズ生成必要経験値減少:1><生成時消費MP減少:1>
<経験経験値上昇:3>
<MP消費減少系経験値上昇:1>
<必要経験値減少系経験値上昇:1>
<必要経験値減少系必要経験値減少:1>
<経験値上昇系必要経験値減少:1>
<MP消費減少系必要経験値減少:1>
[エクストラスキル]
<コンタクトレンズ生成:2>
[称号]
<コンタクトレンズ生成者><招かれた者>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おぉー、見やすい!そして上がったのは経験経験値上昇だ!
3だよ3!常に発動しているスキルなのになかなか上がらなかったから2が限界なのかと思っていたがそうじゃなかったんだ。それと一番低かった魔力が一番高くなってるしMPが1000を超えていてかなり嬉しいのだが!テンション上がる要素多すぎるけどここはグッと我慢して今は勉強しよう。
それから少し勉強を続けているのだが…
あぁ、これは (ピコン)。ほほ(ピコン)ーう。
……次はこれだな、あぁーこれ(ピコン)よく使いそうだな。しっかりと覚え(ピコン)ておいたほうがいいな。
あ、(ピコン)
集中できねぇぇぇぇ!!!
え、なに唐突に!すごいピコン音が鳴り続けるんだけど?!いや、嬉しいよ?そりゃ嬉しいでしょ!でも最初に我慢するって決めた以上勉強に集中するつもりだったのに、ずっとレベルが上がる音がし続けるんだよ!ソワソワしちゃうよ!ソワッチングだよ!何が上がったんだろう?って気になっちゃうでしょ!
あれか、経験経験値上昇が3に上がった影響か?うん、そんな気しかしない。あとで大いに喜ぼう。
いつもの背伸びをして気持ちを無理やり切り替える。
「よし。」
あ、ここ前に(ピコン)うわああぁぁぁぁ!!
最後までお読みくださりありがとうございます。