第5話 その名は【旧人類】
ギィィ…と重い鉄の扉を開ける
その扉の先に広がる光景は目を疑った
広がる大草原、心地よいそよ風、本物の月
汚染されたとは思えない光景だった
イヴの目に映る世界は見るもの全てが
偽りの無い書籍で見た世界だったのだ
イヴはコンクリートの建物を後に大草原を進む
大草原の草花はイヴの足元位の長さであり
イヴは自然に出来た道をただ歩き続けた
暫くすると一軒のボロい木造の家を見つける
だが、灯りはついており
その家の煙突からは美味しそうな匂いがする
『一か八かで尋ねてみるか』
家の扉をノックするイヴ
中から『は〜い…ぎゃあぁ‼︎あづいぃー‼︎』と
悲痛な悲鳴が返事に交ざって聞こえてくる
そして家の扉が開く
住人に姿を見てイヴは驚いた。
その姿は書籍で見た正に【リザードマン】だった
『今お前、俺の姿を見てリザードマンとか
思っただろ?』
思考が読まれている。素直に頷くイヴ
『まあいいさ。ところで君は何処から来た?
まさか地下から来たとか?』
そう。私は地下都市から逃げてきた。
狭くて窮屈な地下から逃げてきました
『なるへそね。まあ折角立ち話もなんだし
中に入るかい?丁度スープが出来上がったし』
イヴはご厚意にリザードマンのお宅に
失礼した。
『次からリザードマン止めろ』
『はい。ごめんなさい。』
住人に部屋の中は色んな物が散らかっていた
だが、その全てがイヴにとっては見た事がない
いわゆる『お宝』だった
書籍のみの存在だった採掘道具【TURUHASI】や
【GITENSYA】があった。
地下都市ではサーフボードやボタン1つで
料理が出来るハイテク機器ばかりだった
だが、ここにはそんな物はなかった
『まあ、ハイテク機器程ではないが
料理の腕なら俺も負けないがな。はいどうぞ』
イヴの目の前に出されたスープ
具材は見るからにして豚肉に人参、馬鈴薯
(馬鈴薯:ばれいしょう・ジャガイモの事)
等のほか、玉ねぎやキャベツも入っており
美味しそうな匂いがイヴの胃袋をくすぐる
『い…いただきます…』
恐る恐るスープを飲むイヴ
味わった事のない味、全身に行き渡る
スープの暖かみ。
『地下都市のお姫様にとっては旧人類の
豚汁なんぞ口に合わなかったか?』
しかし、そんな彼の言葉を無視して豚汁を
一気に食べ、飲み干したイヴ
『おお…中々の食いっぷりだな…ふおぉ⁉︎』
彼の顔面に器を差し出すイヴ
『美味い‼︎おかわり‼︎』
それからと言うもの、イヴは鍋の豚汁を
1人で全部食べてしまった
『ああ〜…俺の晩飯があぁ〜…』
しまった…と彼に詫びるイヴ
そしてその後
『そう言えば自己紹介がまだだったな
俺は旧人類最後の1人【マコト】だ
この世界、お前で言う地上界の探索をしている』
『私はイヴ。地下都市から逃げて来ました。
しかし地上は宇宙放射能で汚染されたと
聞いてたのですが…?』
イヴがその話を持ち込んだ途端、マコトの
表情が変わる。
第6話に続く