第4話 その名は【龍帝】
窓からの灯りのみが部屋の中を照らす夜の街
イヴはベットに横たわりあの梯子の事だけを
考えていた
あの梯子の先には私が知らない世界
その世界は汚染された地上
だが、それでも構わない
私はこの窮屈な地下都市を出たいだけ
…しかし、上の連中は全力で妨害するよな
アダムの奴もいるし
はぁ…とため息をつくイヴ
もう寝ようとした次の瞬間‼︎
ドォン‼︎と響く轟音、鳴り響くサイレン
非常事態のサイレンだ。
何があったのか
窓から街を見るイヴの目線の先には
ビル4階建て分位はあるドラゴンが五体ほど
街で暴れ回っていた
そのドラゴンは昔歴史の本で見た事がある
そう。その名は【龍帝 エル=レキスオン】
マグマのような5本の角に紅蓮の鱗
そして灼熱を象徴する大きな翼
五体の龍帝は街のありとあらゆる所を
破壊する。ビル、道路、逃げ惑う人々
銃や戦車で迎え撃つ護衛隊
その光景は怪獣映画そのものだった
暫くその光景を眺めていたイヴはある事を
思い付いた
今なら監視の目を掻い潜って梯子の所まで
行ける‼︎イヴは部屋を後に走り出した
施設を飛び出し鍛えた走力で立入禁止区域まで
全力疾走する。
燃え盛る市街地を走り抜け、逃げ惑う人々を
掻き分け、立入禁止区域近くの道路まで来た
『ここを抜ければ…』
足を踏み出すイヴ。しかし運悪く
龍帝の一体に見つかってしまった
書籍の通りなら私は龍帝に焼き殺される…
龍帝は目に映る全てを焼き尽くす
最後の最後で…ちくしょう
しかし龍帝はイヴを無視していった
『…?あれ?…まあいいか。急がなきゃ』
再び走り出すイヴ
そして遂に梯子の所まで辿り着いた
上から突き抜ける風、高鳴る胸の鼓動
好奇心を糧に一段…また一段と梯子を登る
次第に遠くなる街の状況
後悔は無い。心置きなく梯子を登る
梯子を登りきったイヴ
古びたコンクリートの個室。
その錆びた鉄の扉のドアノブに手を伸ばす
そして…扉をゆっくり開けた
第5話に続く