第3話 その名は【アダム】
『やあ、イヴ。』
気に食わない奴の声が聞こえてくる
あいつは人類最高峰の完全生命体【アダム】
身体、頭脳、遺伝子継承全てにおいて優秀だ。
まあ、簡単な話
将来の私の婿なんとからしい
『どうして無視するのだい?イヴ
君はこの完璧な僕の隣が相応しい』
ほら来た。うんざりする。
これならまだアクリダの方がまだマシだよ
大人しいし、噛み付くし。
『さあイヴ。今日こそは僕と一緒に
おしゃれなカフェにでも行こうじゃないか!』
アダムが手を伸ばす が
そそくさとその場から退散
彼女はアクリダが出現する立入禁止区域の
バリケードを軽々しく飛び越えていく
何故、ここが立入禁止区域なのかは知らない
ただアクリダが出現するだけなのだ。
イヴは事前に用意してたキャベツを
放り投げる
すると瓦礫の隙間からアクリダが這い出てくる
アクリダは大好物のキャベツを貪り食べる
それをただ眺めるイヴ
そして思いつめた…
こんな地下都市にいるくらいなら
汚染された地上に出た方がましだ
死に怯え地下に逃げた人類の未来の為になんか…
死んでも御免だ
気付くと目の前にキャベツを咥えたアクリダが
イヴを見つめていた
『地下都市を飛び出してまだ見ぬ地上を見たいな
…なんちゃって。』
だが、アクリダはキャベツを食べ干すと仲間を
まとめてイヴを担ぎ上げた
あまり驚かないイヴを錆びた梯子まで
連れて来た
上からは空気が吹いてくる
まさかここは地上にでる出口…⁉︎
この梯子を登れば…
『いけません‼︎イヴ様‼︎』
イヴの護衛隊の声が響く
アクリダは一斉に逃げた
護衛隊が息を荒げに近寄る
『イヴ様…地上へは…出てはなりません‼︎』
『そうですよイヴ様‼︎あんな汚染された地上など
出てはなりません‼︎』
うるさい
『イヴ様は我々が希望‼︎イヴ様は人類の未来を
救う救世主なのですよ‼︎』
うるさいうるさい
『さあイヴ様…アダム様がお待ちです。
我々と来て下さい。』
うるさいうるさいうるさい‼︎
お前達に…私の…私の気持ちも理解しない癖に
生意気な事を平然と言うなぁ‼︎‼︎
イヴは護衛隊を蹴散らし街に戻っていった
第4話に続く