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ねぐらが見つからない。
仕方ないので、今日は木の上で寝ることにする。
登れそうな木を見つけて必死に登る。
体が大きくなったので前よりは登りやすかったが、それでも大変だ。
明日、降りることを考えると気が重い。
まぁ失敗しなければいいんだが。
まだ眠くなかったので、ぼーっと森の中を眺めていた。
薄暗くなってきていたが、単色の視界のほうで、なにかの動物がこちらにくるのを見つけた。
さらに、その後ろから別の動物が四匹ほど現れたのがわかった。
どうやら追われているようだ。
大体しか見えないけど、追われているのは鹿に似た動物のように見える。
追ってるのは、おそらく狼だ。
そう思った時、先頭を走っていた狼の濃淡が薄くなるのと同時に頭の前からなにか丸いものが追いかけられている動物へ向かってすごい速さで飛んだ。
視界の一つだけでそれが見えた。
しかし、飛んだそれは動物に当たることはなかった。
代わりに俺の登っている木に当たったことで木がズンッという衝撃で揺れた。
うぉお!?あぶねぇ!
危うく落ちそうになるのを、枝に巻きつくことでなんとか耐える。
な、なんじゃありゃ……。
狼が俺の下を駆け抜けていきながら、また濃淡が薄くなって丸いものが飛んでいったが、それも別の木を揺らした。
そのまま狼たちは獲物を追って駆け抜けていき、木々の間に消えていった。
なんだったんだ、今のは。
狼がやったんだよな?
どうやって?
いや、そうじゃない。
あれは……あれは、なんと言えばいいのか、まるで魔法みたいに見えた。
でなかったら、あんなことができるとは思えない。
ここがどんな世界なのか、わかった気がする。
おそらく、ここはファンタジーのような世界なのだ。
とはいっても、ここがどんなところだろうと、やることは変わらない。
見つからないように隠れながら、獲物を探して狩って食べる。
ただ、あの狼みたいに魔法が使えたらそれだけで生き残れる可能性は大きくなると思う。
あれだけの衝撃だ。
襲われたとしても追い払うくらいは簡単に出来るだろう。
けれど、問題はどうすれば使えるのかわからないことだ。
ただ念じて使えるようなものではないだろうし。
誰でも使えるものでなかったならどうしようもない。
いずれにしても、諦めるしかないか。
そういえば、狼が魔法を使った時、濃淡が薄くなったのがわかった。
たぶん、あれは魔法を使うことで魔力を消費したといったようなことなんだと思う。
ということは視覚の一つはそうしたものを見るためのものだったということか。
これは結構、重要なことだと思う。
ほかの視覚では見ることが出来なかったものが見えるということは、それに対してなにかしらの対処が出来るかもしれないということなのだから。
まぁそういう状況にならないように気をつけないといけないんだけどな。




