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隠れたりしながら、かなり探し回って、ようやっと木の根元近くに小さな穴を見つけた。
落ち葉で入り口を隠せば、まず見つからないと思う。
ただ、臭いから中になにかがいるかもしれない。
おそらくネズミみたいな小動物だろう。
中にいた場合、戦って追い出すか殺すかしないといけないわけだが。
さて、どうしたものか。
たぶん、俺は毒を持っていない。
持っていたら自分を噛んだときに死んでいただろうからな。
もしかしたら口の奥に毒牙があるかもしれないけど、ないと考えたほうがいい。
だから巻きついて絞め殺さないといけない。
どこかに噛み付いて巻きつけばいいんだろうが、出来れば噛み付かれたりはされたくない。
致命傷にはならないと思うが、痛みで動きが鈍りかねないし、もしも目をやられたら取り返しが付かない。
しかし、別のところを探して見つけたとしても、ここと同じ可能性は高いだろう。
うーん。
よし、入ってみるか。
用心しながら穴に入っていく。
すると、奥から鳴き声が聞こえてきた。
「キーッ!キーッ!」
やっぱりいるみたいだな。
そのまま進むと穴は少し広がっていて、そこにネズミが待ち構えていた。
輪郭はあまりはっきりとしないが、ちゃんと見える。
あの単色の視覚だ。
ネズミは俺を追い払おうと威嚇してきている。
だが、気にすることなく、まずは噛み付ける距離まで近付いていく。
じりじりと近付いていたら、突然ネズミが飛び掛ってきた。
「キーッ!」
それを、寸でのところで身を引いて避ける。
っと、あぶねぇ。
狭いから動きにくい。
すでにネズミは元の位置に戻っている。
身を縮めながら、もう一度近付いていく。
今度は先手を打つ。
縮めていた体をバネのように伸ばして噛み付く。
が、横に飛んで避けられた。
すぐに体を元に戻す。
やはり素早い。
もう一度やってみるが、また避けられた。
くそ、だめか。
ネズミが飛び掛ってきたので、身を引いて少し後ろに下がる。
うまいこといくかわからんが、フェイントかけてみるか。
また牙が届くぎりぎりの距離まで詰めていき、今度は噛み付くフリをする。
狙い通りにネズミは反応して横に飛び避けた。
そこに噛み付く。
「キュキィーッ!?」
噛み付いたことでネズミが暴れる。
牙が外れそうになるが、強く噛み付き、身動き出来ないように巻き付いていく。
ネズミの体温と、トクトクトクっと心臓が動いているのが伝わってくる。
あとは絞め殺すだけだ。
絞める力を少しずつ強くしていく。
だんだんとネズミの呼吸が浅くなっていっているのがわかった。
締め付けていることで肺が圧迫されて呼吸が難しくなっているのだろう。
そのまま絞め続けていると、もがいていたネズミの動きは次第に弱々しいものになっていき鼓動が止まった。




