おばあちゃん家に行く
もしも、あなたが女性で、性的犯罪の被害者になってしまったらまず、何を思いますか?
私の場合はたぶん、まともな結婚生活は送れない人間になるだろう、と将来を悲観しました。
私が性的被害者になってしまったのは、だいたい4歳の時でした。あまりにも幼い時期に受けた傷はあまりにも深く、そしてその後の人生を長い間苦しめ続けました。ました、と表現すると、今は苦しみから、解放されたと思うかもしれませんが、現在39歳になった今でも苦しみをゼロにすることはできません。だから、過去に起きた事件であっても、私にはまったく過去のものとして流せない現実があります。私に限らず、性的被害者の多くの方々の多くは、幼い時期でなく、二十歳を過ぎた時期であろうが、そのような事件にあった場合、のちの人生を変えてしまうほどの傷を抱えてしまうと聞きます。
例えていうなら、戦争体験などにも似ているようで、経験者と未経験者ではまったく人生観が違うように、一度でもそのような衝撃的な恐怖体験をすると、忘れようにも忘れられない、といった人生を送るといった点で似ているだろうと私も思います。まだ、幼稚園児だった4歳という幼い私に起きた事件。
おじによる性的虐待。
おじというのは、母親の弟で、私の実の叔父の事である。
そんな身近な相手からの性的虐待はまだ幼すぎる4歳には理解することは到底できない事件だった。
その事件は日常の生活の中にごく自然なことのように起こった。母親と私は当時、母の実家であるおばあちゃん家にいつものように遊びに行った。まだ、私は幼かったので、母親の行くところに一緒にくっついて行動していた。母はいつもおばあちゃん家に行くとおばあちゃんと2人で世間話にはなをさかせ、私はというといつも母の弟の叔父が遊んでくれる、という流れになっていた。
叔父と私はおばあちゃん家に行くといつも遊んでいた。
叔父はパチンコ台とパチンコ玉を持っていて、玉の動きと音が楽しくて、当たりもしないのに夢中で遊んだりした。
ある時は倉庫の中を探検したりもした。暗い倉庫の中で何を見つけたわけではなかったが、ちょっとないシチュエーションにわくわくしていたような気がする。