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大乱記上  作者: 両亭
九馬伝
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貴内条:(共和)六節~八節

六、由尹治国十年。以退。曰「国基在王而真治。若相応者在則王之。」然莫王者於貴内。以氐阿選知政事。


六、由尹国を治ること十年。以て退く。曰はく「国の(もとい)は王にありて真に治む。若し、ふさわしき者あれば、則ちこれ王たれ」と。然れども貴内に王者なく。以て氐阿(テイア)、知政事に選ばる。


六、由尹は十年間国を治めて、職を退いた。そのとき「国の土台はやはり王であって、王がいて真に治まる。もし王にふさわしい人がいたら、王に戴いてほしい」といった。しかし、貴内に王者はいなかったので、氐阿が知政事に選ばれた。




七、氐阿命総貴内男交為衛士。蛮勇士在。名曰「窮乱」窮乱慮諛尹故事而自欲為王。而籠楼而反。窮乱籠楼数八日、民不順之。却弼知政事、或者自以戈戟攻窮乱。是以遂窮乱降之。氐阿処斬窮乱。


七、氐阿は総ての貴内の男に命じて交々(こもごも)衛士となさしむ。蛮勇の士あり。名を窮乱(キュウラン)と曰ふ。窮乱、由尹の故事を慮りて自づから王たらんと欲す。而るに籠楼して反へる。窮乱籠楼すること八日を数ふ、民これに順はず。却て知政事を弼け、或は自づから戈戟(くゎげき)を以て窮乱を攻む。これをもって遂に窮乱これに降る。氐阿、窮乱を斬に処す。


七、氐阿はすべての男子に命じて交代で国を守らせた。蛮勇の者がいた。名前を窮乱といった。窮乱は(ふさわしい者があれば王に立てるべきだという)由尹の故事を思って、自分が王となろうとした。そうして(たかどの)に立てこもり反乱を起こした。窮乱は八日立てこもったが、民は彼には従わなかった。それどころか、かえって知政事の方をたすけ、ある者は自ら戈や戟(いずれもほこのような武器)を手に取って窮乱を攻撃するものもいた。こうなったので、遂に窮乱は降伏した。氐阿は、窮乱を斬首刑にした。




八、氐阿治国六年死。民選龍昆。龍昆整法曰「今、只知政事耳能立法。爾来宏与万民諮為之」以民交為法官協賛立法。


八、氐阿国を治むること六年にして死す。民は龍昆(りゅうこん)を選ぶ。龍昆は法を整えて曰はく「今、只だ知政事のみ能く法を立つ。爾来(じらい)宏く万民と諮りてこれをなさん」と。以って民交々、法官となり、協賛して法を立つ。


八、氐阿は六年国を治めて死んだ。民は|龍昆を選んだ。龍昆は法を整え、「いまは知政事だけが法を制定することができる。こんごはひろく万民と相談して法律をつくろう」といった。以って民は交代で法官となって、知政事と協力して法を制定した。


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