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大乱記上  作者: 両亭
楼蘭土伝
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楼蘭土・吾利羅条:(吾蘭那)第一節~第四節

楼蘭土・吾利羅条

一、吾蘭那八年、「多武華」為。上将多武華孤児、若古本育之。有武故見任上将。

 吾蘭那十年、王図攻麻利而遣上将于松尾。松尾盟共攻麻利。


一、吾蘭那八年、多武華(タブカ)、上将と為す。多武華は孤児にして、若古本これを育つ。武ある故に上将に任ぜらる。

 吾蘭那十年、王、麻利を攻むるを図りて松尾に上将を遣す。松尾(ちかい)して共に麻利を攻む。


一、吾蘭那の治世八年、多武華を上将とした。多武華は孤児で、若古本がこれを育てた。武勇があったので上将に任命された。

 吾蘭那の治世十年、王は麻利を攻めることを計画して松尾に使者を送った。松尾と同盟して共同で麻利国を攻めることとなった。


二、吾蘭那十一年、王令上将攻麻利。江根雄親征。楼蘭土以千兵、百騎、十車、松尾以千兵百騎。雖麻利不足兵六百、隠森窃討敵、善禦二国軍。江根雄被奇襲。遂為所虜。


二、吾蘭那十一年、王上将をして麻利を攻めさしむ。江根雄は親征す。楼蘭土千兵、百騎、十車を以てし、松尾千兵、百騎を以てす。麻利、兵六百に足らざるといえども、森に隠れ(ひそか)に敵を討ち、善く二国の軍を(ふせ)ぐ。江根雄、奇襲せられ。遂に虜とせらるるところとなる。


二、吾蘭那の治世十一年、王は上将に麻利を攻めさせた。江根雄は自ら征伐に赴いた。楼蘭土は千の歩兵、百の騎兵、十の戦車で、松尾は千の歩兵、百の騎兵でこれを攻めた。麻利の兵は六百に足りない程度であったが、森に潜んではひそかに敵を攻撃し、よく二国の侵攻を防いだ。江根雄は、奇襲され遂に捕虜となってしまった。




三、御史大夫、知父為虜。謁王曰「臣父見捕。為臣請解之」而王不聞。御史大夫曰「父母有孝。君有忠。以父母不能易。而君能。云『非其君不事、非其民不使、治則進、乱則退』此之謂哉。今、不履義。正之豈留我王」以捉王、送多武華。


三、御史大夫、父の虜となるを知る。王に謁して曰はく「臣の父捕へらる。臣が為、請ふこれを解け」と。而れども王、聞かず。御史大夫曰はく「父母に孝あり。君に忠あり。以て父母は()える能はず。而して君は能くす。云ふ『其の君にあらざれば(つか)へず、其の民にあらざれば使はず、治まれば則ち進み、乱るれば則ち退く』と。此れ之の(いふ)かな。今、義を()まず。正にこれ豈に我が王を留めんや」と。以て王を捉へ、多武華に送る。


三、御士大夫は父が捕虜になったことを知った。王に謁見して「わたくしめの父が捕らえられました。わたくしめのためにこれを解放してください」と言った。しかし、王はこれを聞き入れなかった。御士大夫は「父母に対しては孝というものがある。君主に対しては忠というものがある。そして(孝行の対象としての)父母は(生みの親であるから)変更することはできない。そして(忠義を尽くすべき対象の)君主はそれができる。『君主としてふさわしくなければ仕えない。民としてふさわしくなければ使わない。国が治まっているときは進んで仕え、国が乱れたときは退く』と言われている。これはこのことをいうのだ。今、あなたは義を履行しなかった。まさしく、どうして私の王としてとどめておくことができるのだ」と言った。そうして、王を捕まえ、多武華に送った。




四、多武華曰「爾徳少。不向天下。」城瑠木黍応曰「夫誰足王」上将曰「我君哉」城瑠木黍嘲曰「若為若仇平天下」上将曰「何」城瑠木黍曰「爾父則武梵暮也。武梵暮誅若古本。若古本則吾蘭那父也。吾蘭那則爾君也」多武華聞之、憤斬城瑠木黍、退楼蘭土。


四、多武華曰はく「爾、徳少し。天下に向かず。」と。城瑠木黍応へて曰はく「夫れ誰か王たらんや」と。上将曰はく「我が君かな」と。城瑠木黍嘲ひて曰はく「若、若が仇の為に天下を平らかにせんか」と。上将曰はく「何ぞ」と。城瑠木黍曰はく「爾の父、則ち武梵暮なり。武梵暮、若古本に誅せらる。若古本、則ち吾蘭那の父なり。吾蘭那、則ち爾の君なり」と。多武華これを聞きて、憤りて城瑠木黍を斬り、楼蘭土に退く。


四、多武華は「あなたは徳が少ない。天下には向いていない」と言った。城瑠木黍は「それでは誰が王にふさわしいのだろうな」と言った。上将は「私の君だ」と言った。城瑠木黍は嘲って「お前は、お前の仇のために天下を平定しようとしているのか」と言った。上将は「なんだ?」と答えた。城瑠木黍は「お前の父は、武梵暮だ。武梵暮は若古本に殺された。若古本は吾蘭那の父だ。吾蘭那はお前の君主ではないか」と答えた。多武華はこれを聞くと憤って城瑠木黍を斬り殺し、楼蘭土に退却した。

三、

「非其君不事~」:孟子からの引用


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