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第十一話 桶狭間の合戦 結

 今川義元の愛刀「義元左文字」は、現在、重要文化財に指定されています。別名「天下取りの太刀」とも呼ばれ、織田信長の手に渡った後、信長の死後は豊臣秀吉に継承され、さらには徳川家康へと献上されました。次々と天下人に所有された、この刀は、まさに「天下取りの太刀」だったのです。

 俺は桶狭間山を走った。

 その目の前に、300騎ほどの旗本に護られた、

 今川義元の姿がある。


「あそこだ。あそこに義元がいるぞ!」


 俺は大声で叫び、味方に、その位置を知らせた。

 そして槍一本、単身で敵陣に突っ込む。


「護れ、殿を護るんだ!」

「叩き殺せ、叩き殺せ!」


 俺は、ガンガンと槍で突かれ、叩かれて、

 鎧兜がボロボロになり、

 全身が傷だらけになった。だが、そこへ、


「あそこに義元いるぞ!」

「今川義元の首を取れ!」


 味方の兵が殺到して、激しい乱戦が始まった。


「おのれ、尾張の弱兵どもが!」


 と、今川義元も大太刀を抜き放ち、反撃する。

 俺は混戦のなかを抜け出し、


「義元、覚悟!」


 槍の一撃を突いた。


 ザシュ。


 矛先は義元を傷つけたが、致命傷にはならない。

 義元は逃げずに、間合いを詰めてきて、


「下がれ下郎!」


 その大太刀の一閃で、俺は右脚を深く斬られた。


「さ、さすがは海道一の弓取り」


 転倒して動けなくなる俺。しかし、その刹那、


「我は毛利新介なり!」


 馬廻衆の同輩、新介が飛び込んできた。


「今川義元、その首もらった」

 

 新介は組み付いたが、元就は激しく抵抗しして、


「離せ、この下郎が」


 と、なりふり構わず、新介の左手の指を、


 ガブリッ。


 噛み千切った。


「うぎゃッ」


 バッと、血が飛び散ったが、新介は怯まずに、

 義元を組み伏せる。


 ズブリッ。


 深々と鎧通しで刺し貫き、義元を殺した。


「今川義元の首、討ち取ったり!」


 切断した義元の首級を高々と掲げる新介。

 総大将の討死により、

 今川義元の大軍は戦意を失い、総崩れとなる。


「皆の衆、よくやってくれた」


 雨がやみ、敵の逃げ去った戦場で、

 信長様が兵を労った。

 こうして桶狭間の合戦は織田軍の勝利に終わる。

 若き日の織田信長に敗れた今川義元は、敗軍の将として後世に名を残して過小評価されています。ですが、その実績から戦国屈指の武将だったことは間違いありません。義元に慢心・油断がなく「桶狭間の合戦」に臨んでいれば、この戦いにも圧勝して、その後の歴史は大きく変わっていたでしょう。

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