表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が付けば奴隷剣闘士  作者: 犬尾剣聖


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/42

37話 オークの負傷






 ジャイアント・ラビットはジグザグに走り回り、オーク兵を撹乱かくらんする。

 

 そして1人のオーク兵に襲い掛かった。

 副長のオーク兵だ。


 副長オークは、タイミングを合わせるように剣を横薙ぎに振るう。


 だがその一撃は浅かった。

 皮と肉を僅かに削いだに過ぎない。


 逆にジャイアント・ラビットは、副長オークの剣を持つ腕に喰らい付いた。


 副長オークが叫ぶ。


◯☓(うわっ)◯☓△(こいつめ)!』


 そのままジャイアント・ラビットと副長オークは、もつれるように倒れ込んだ。


 そこへ周囲のオーク兵達が慌てて助けに入り、剣を振りかざしたオーク兵らにズタズタだにされた。

 だがジャイアント・ラビットは死んでもなお、噛み付いた腕を離さなかった。

 

 1人のオーク兵がバンブロック達に近寄り、ガンプに何かを言い付けたようだ。

 ガンプはそれを訳す。


「お前らは周囲の警戒をしろってよ」


 獲物の回収や解体では無く、周囲の警戒である。オーク兵らは、精神的にもかなり応えた様だ。


 その間オーク兵達は、副長オークの腕からジャイアント・ラビットのあごを外そうとするのだが、そう言った時の対処を知らないのか、かなり手こずっていた。

 巨大な前歯の付いたあごを外そうとする度に、副長オークの悲鳴が山に響いた。


 かなりの時間は掛かったが、何とかジャイアント・ラビットのあごは外された。しかしその噛み傷の跡は、想像以上に酷いものだった。

 副長オークの腕は革鎧ごと噛み千切られ、皮一枚でかろうじてつながった状態だ。しかも出血が酷かったせいか、ぐったりしている。


 ヒールポーションで治療したらしいが、腕が繋がるほどの効力は無いようで、せいぜい出血が止まる程度。


 そこで負傷した副長オークを連れて、野営地へ戻る様に指示があった。

 そう言われたのは、デン副長とフンドルとガンプの3人である。オーク兵も3人付いて行く。彼ら剣闘士3人が、交代で背負って運ぶのである。

 早々に負傷オーク兵とデン副長らは、野営地へと戻って行った。


 残されたのはバンブロックとポポ、そして2人のオーク兵である。

 

 それはつまり、バンブロックとポポの2人だけで、この3匹のジャイアント・ラビットの解体をやるという事。


 うんざりするが、今はやるしかない。

 バンブロックとポポは、作業に取り掛かった。


 もちろんオーク兵の2人は、石の上に腰を下ろして見てるだけだ。


 はっきり言って足枷あしかせがあろうが、このオーク兵2人なら直ぐにでも息の根を止める自信が、バンブロックにはあった。それはポンコツのポポと、鎖でつなげられていてもだ。


 バンブロックは想像する。

 この2人のオーク兵を倒した後の事をだ。

 ここはオークの支配地であり、自分達には土地勘が全くない。そんなオーク支配地域の真っ只中を、人間の姿をした自分達が歩いて抜けられるのだろうか。

 答えは否である。

 

ーー今は我慢だ。まだ準備が必要だ。それに部下を放っては行けない。


 そんな想像をしなかをら、バンブロックは目の前にある作業を進めた。


 3匹分の作業は、陽が沈みそうになる時間まで掛かった。


 冷たくなった手を擦りながら、解体した獲物をソリに積み込んでいく。

 そこでバンブロックは気が付いたのだが、この重たいソリをどうやって動かすのかと。

 3匹分のジャイアント・ラビットの素材は、かなり重たい。子供のようなポポとバンブロックの2人だけでは、到底引っ張っては行けない。せめて車輪付きのカートでなければ無理である。


 一応ポポと一緒に引っ張ってみた。

 雪が積もってきていたので、何とか滑らせながら移動は出来る。

 しかし数メートルで力尽きた。

 バンブロックはオーク兵に向かって言った。

 

「せめてお前らも手伝えよ。そうじゃなきゃこれは動かねえぞ」


 通訳のガンプが居ないから、言葉は伝えられない。だから言いたいことを言ったまでだ。


 するとオーク兵2人は少し話し合った後、なんと後ろからソリを押し始めたのだ。

 バンブロックの意思が、少しは伝わったみたいだ。


 これには少し驚くバンブロック。

 ポポは感心した様子で、後ろからソリを押すオーク兵を見ていた。


 2時間ほど移動したが、まだまだ帰りの道のりは遠い。

 一旦は小休止して倒木の上に座っていると、バンブロックはまたも異変を察知した。

 バンブロックは倒木の上に立ち、移動して来た獣道を見つめる。


「何かが近付いて来る」


 バンブロックがそうつぶやくと、ポポがそれに返答する。


「血の臭いを追い掛けて来たんでひゅかね」


 不思議に思ったオーク兵2人も、立ち上がってバンブロックの視線の先を見た。


 突然バンブロックが叫ぶ。


「ラットマンだ!」


 フード付きのローブが見えたのだ。それは昨夜ガンプが言っていた、ラットマンの服装そのものだったのだ。


 オーク兵も確認したようで、バンブロックらにロングスピアを手に取るように、ソリの荷物を指差した。


 バンブロックとポポは、ロングスピアを手に取り構える。 

 1メートルちょっとの身長しかないラットマンは、草の中に入られると殆んど姿が見えなくなる。

 草が波打つように動くだけで、何人がいるのかも分からない。

 バンブロックは時々見える姿から、10人近くはいると考えた。


 そうなるとちょっと分が悪い。


 ポポがバンブロックに言ってきた。


「こいつらのお目当てはきっと、ジャイアント・ラビットのお肉でひゅよ」


 バンブロックもその点は同意した。


「ああ、そうだろうな。このお荷物が無ければな……」


 たった4人でこれだけの食料を運んでいたら、それは襲って下さいと言っている様なものだ。

 最善策は、このジャイアント・ラビットの素材を捨てて逃げる事だろう。しかしそれは、オーク兵が許さないと分かっていた。


 次第に敵は、バンブロック達の周りを取り囲み始めた。


 とにかく動きが早い。

 一対一なら楽勝だろうが、数人で一度に来られるとバンブロックでも危ない。

 バンブロックはオーク兵に向かって、首輪を指差す。


「これを外せ。ここをしのぐにはそれしかないぞ」


 手振りで首輪を外せとアピールした。

 オーク兵2人は迷っている。


 そこでポポが叫んだ。


「来ましゅよ!」


 目の前の草むらから、フード付きのローブを着た亜人が現れた。

 やはりラットマンである。手にはショートスピアを持っている。


 そして勢い良くショートスピアを投げた。

 それはソリの荷物に付き刺さる。


 さらに次のラットマンが現れて、再びショートスピアを投げる。

  

 これを繰り返されると、手が出ないままいずれ負傷者が出る。

 バンブロックはソリの荷物からシャベルを取り出し、それをポポに持たせる。そして再びオーク兵に、首輪を外せと訴えた。

 ポポの石弾が使えれば、大きく戦況を変えられるからだ。

 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ