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気が付けば奴隷剣闘士  作者: 犬尾剣聖


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12話 バーバリライオン








 モナは革鎧なのだが、いつものとは少し違う。急所部分には金属が使われている。防御と動き易さを考慮しての選択であった。

 そして武器は迷わず鎖ダガーを選び、腰にも投擲用のダガーを差し込んだ。

 

 そこでバンブロックが助言する。


「モナ、ダガー以外の近接戦闘用の武器も持って行けよ」


「ダガーじゃダメなのか?」


「ダガーでバーバリライオンと近接戦闘する気か? せめてショートソードくらいは持ってろ」


 するとモナは嫌な想像でもしたのか、慌ててショートソードを腰に差し込んだ。


「これで問題ないだろ、知らんけど」


「ああ、そうだな。でもショートソードを使う時があればそれは最終手段だ。その時は覚悟を決めておけよ」


 そんな会話をしながらもバンブロックはというと、リングメイルアーマーにいつものドクロヘルムで身を包み、左腕には金属補強された大きめのヒーターシールド。

 その盾の裏で槍を2本持つ。更に右手にも槍を持ち、腰にはショートソードであるグラディウスを差していた。

 槍を3本も持っているのだが、これは投槍としても使える槍である。

 

 そして闘技場にモナとバンブロックが立った。


 そこへ金属製の檻に入ったバーバリライオンが現れる。

 檻に入れられても、凄い暴れようであった。放って置いたら檻も破りそうな勢いである。


 試合開始のドラムが鳴ると、奴隷の半獣人2人が二か所ある扉を開けて逃げ去った。

 檻は大きいためか前後二か所の扉が付いており、その二か所を開け放ったのである。


 暴れていたバーバリライオンが静まり、警戒した様子でゆっくりと檻から外に出て立ち止まる。

 そして周囲に頭を回しながら鼻を高く上げて匂いを嗅ぐ。


 どの動作をとっても、余裕がある様に見えてしまうから不思議である。


 そして一通り周囲を見回した後、バーバリライオンが唸り声を上げながら、モナとバンブロックをにらんだ。ターゲットを絞り込んだようだ。


 その鋭い眼光にひるむ2人。


 それを断ち切る様にバンブロックが声を上げた。

 

「作戦通り行くぞ!」


「わ、分かった。知らんけど!」


 モナが我に返った様子で動き出す。


 最初に動いたのはバンブロックだ。

 一投目の槍を投げ放つ。


 投げた槍はバーバリライオンの横の地面に突き刺さる。

 それを見たモナが声を上げる。


「ロック今の見たか? 知らんけど、あいつ槍を避けたぞっ」

 

 まさにその通りだった。

 バーバリライオンは、投げられた槍の軌道を見て横に避けた様に見えた。見方によっては、まるで知能があるかの様な避け方でもある。


「まぐれだ。それよりモナ、左に回り込め」


「分かった」


 モナはバーバリライオンの左側に回り込む。

 それはいつもの様な可憐な舞の動きではなかった。余裕が感じられない必死な動きだ。


 バンブロックは2本目の槍を握り締め、そのまま正面から対峙する。

 バンブロックは何度か槍を投げる様な仕草で牽制。

 するとバーバリライオンは、低い姿勢でバンブロックをにらんで唸り声を発する。


 そこへ側面に回り込んだモナから、渾身こんしんの鎖ダガーが放たれた。

 くるっと回転しながらの一投。


「知らんけど、横がガラ空きよ!」


 空気を切り裂き、鎖ダガーが胴体に命中する。直撃であった。


「どうだ見たかっ」


「良くやった、モナ!」


 二人の口からは、まるで勝負あったかの様な言葉が漏れた。

 だがバーバリライオンが、その程度で終わる相手ではなかった。


 バーバリライオンの視線がモナへと向く。


「私の鎖ダガーが効いてない?」


 モナが驚くのも当然だった。

 確かにバーバリライオンの胴体にダガーは突き刺さった。突き刺さったのだが、それは一瞬に過ぎなかった。

 角度が悪かったのか筋肉に阻まれたのか、深く刺さらずダガーがポロリと落ちてしまったからだ。しかし流血はしている。


 得意の鎖ダガーが利かないと思い、彼女は攻撃方法を失ったと考えてしまう。

 モナの動きが止まる。

 それが油断となってしまった。


 バーバリライオンがモナへと体を向ける。

 ターゲットをバンブロックから彼女に見定めたのである。


 バンブロックは舌打ちしながら走り出す。

 そして2本目の槍を渾身の力を込めて投げ放った。


 空気を切り裂く音を響かせながら、投げた槍がバーバリライオンへと向かう。

 バンブロックは命中を確信した。確信したのだが、全力で投げた槍は再び地面へと突き刺さる。


「また避けやがったのか?!」


 バンブロックが声を漏らした通り、バーバリライオンは槍を回避したのである。これで2度目である。もうまぐれとは言えない。


 だが槍を避けたせいでバーバリライオンはモナへと歩み寄るのを止め、バンブロックに顔を向ける。

 これをチャンスと捉えたバンブロックが、バーバリライオンへと向かう。

 

 モナは接近して来るバーバリライオンに対応しようと、腰に差したショートソードを抜き放つ。そして鋭い眼差しでバーバリライオンをにらんで叫んだ。


「よ〜し、来てみろっ」


 その刹那ーー


 バーバリライオンはモナに顔を向け走り出す。


ーーマズい!


 バンブロックは慌てて最後の1本の槍を投げ放った。


 その最後の1本の槍は届かず、バーバリライオンの手前に着地。


ーー外した!

 

 バンブロックはグラディウスを抜いて走る。


 バーバリライオンはモナに迫る。


 堪らずバンブロックが叫ぶ。


「いつもの様に踊れぇっ!」


 ほぼ同時にバーバリライオンが、牙と爪を剥き出しにしてモナに襲い掛かった。


『ガアアア!』


 何かを悟った様子のモナは、前に出ながらクルリと回転した。

 それはまさにいつもの可憐な舞。


 予想しなかった動きについて行けず、バーバリライオンはモナの横を通り過ぎた。

 モナが見事にかわして見せたのである。


 そしてバーバリライオンはその勢いのまま、壁に激突した。

 石で造られた壁に僅かなヒビが入る。


 グリーンスキンの観客達から感嘆の声が漏れた。


 そしてモナはというと。


「や、やったぞ。でも次は無理だと思う」


 そう言って、必死の形相でショートソードを構えていた。

 先ほどの可憐な姿はどこへいったのやら。


 その間にバンブロックは、モナとバーバリライオンの間に立ち塞がった。


「モナ、プランBでいくぞ」


「え、プランBなんて聞いてないぞ!」


「良し、今だモナ、檻の向こう側へ走れ!」


「え、ええええっ!」


 訳が分からず走りだすモナ。

 すると壁に突っ込んだバーバリライオンは、一旦は首を振る仕草を見せるも直ぐにモナに視線を向けた。

 再びモナをターゲットにしたようだ。


 走り出すバーバリライオン。


ーーこいつ、頑丈過ぎるだろ


 走り出したバーバリライオンは、額から流血はしているが問題なさそうに見えた。


「ロック、追って来るぞ。掩護、掩護してくれ!」


 仕方なくバンブロックは、モナを追いかけるように走る。

 バンブロックとバーバリライオンでモナを追いかける形だ。


 そしてバーバリライオンとバンブロックが横並びになった途端だ。


『グラアアアッ』


 吠え声と共に横からバンブロックに飛び掛かった。


ーーお、重い


 バンブロックは盾で横に弾くつもりが、そのまま押し倒されてしまう。

 しかし……


ーーこの距離ならいける!


 バンブロックはこのタイミングで麻痺魔術パラライズを放った。

 










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