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ロスからの挑戦者3

卍固めで絞り上げ、グロッキー状態のキャプテンLA。

そこへ容赦の無い岩石落としが炸裂。

だがこれで終わりではない、鬼将軍はキャプテンの髪を掴んで引きずり起こす。


バックを取ってもう一発、バックドロップ二発目の炸裂だ。

盛り上がる、盛り上がる観客席。

タルマエ警部とツバキさんしかいないけど。


そしてダメ押し、あるいは盛り上がる観客へのサービスか。

バックドロップ三発目。

これでキャプテンはもう立てないだろう。


いや、手を伸ばす。

虚空に向かって手を伸ばす。

しかしダウンカウントだ、マヤがこの茶番に幕を下ろすため指を立てる。


ワン、ツー……観客席の二人も祈るようにカウントを数える。

しかし、アメリカの英雄は立ち上がってきた。

生気のない顔色でどうにか立ち上がってきたが、目の焦点はあっていない。


ファイティングポーズも取れず、キャプテンは亡霊のようにさまよった。

そしてカウント・ナイン、巨体がグラリと傾いた。

カウントアウトと同事、キャプテンLAは大の字になって倒れた。


ゴング、ゴング、ゴング!

試合終了のゴングが打ち鳴らされる。

アントニオ鬼将軍のKO勝利である。


勝者はマヤを抱きしめた。

そのために異国からの挑戦者と闘ったのだから。

そしてお待ちかね。


ブッチュウ~~……レロレロレロ……チュパぁ……。

勝者の戦利品トロフィー、熱いベーゼの授与である。

少年探偵は電流に打たれたかのように四肢を伸ばした。


そして痙攣の繰り返す。

その長くしなやかな四肢から、クッタリと力が抜け落ちた。

失神KOである。


アントニオ鬼将軍、今夜は二連続でのKO勝利となった。



「して、戦利品トロフィーはすでに受け取ってあるのだが……これ以上を求めるのは不粋であろうな」



鬼将軍は場を辞そうとするが、コミッショナーであるメイドのツバキは引き止める。



「そのように申されますが閣下、お荷物にならぬ戦利品でしたらお受けになってもよろしいのでは?」

「おや、どういうことかね?」



悪の大統領は食指を動かした。



「例えばこのように……」



メイドは手慣れたもので、素早くマヤの衣服を着替えさせた。

その間、鬼将軍とタルマエですは視線を逸している。

悪を名乗りながら、以外に紳士ジェントルマンだった。


着せ替えの済んだマヤは、ウエディングドレス姿であった。

それも、華美なドレスなどではなく、クラリス姫のようにシンプルでかつ清楚なものである。

夢うつつをさ迷う花嫁は長手袋の両手を鎖に戒められ、観念したかのようにうなだれていた。



「さあ閣下、記念撮影です。なんだったらもう一度ブチュッとやっても構いませんので……ハァハァ……」

「む、むう……でかしたぞツバキさん! どれ私もスマホで撮影を……ハァハァ……」



タルマエ警部もノリノリである。

もちろんそこは鬼将軍、お姫様だっこや頬ずりなえおのリクエストに応え、最後は誓いのキスで撮影会を終える。





もちろんパンツ一丁なキャプテンLAも、日本土産をスマホに収めていた。






そして別れの時は来る。

敗者でありながら、キャプテンLAは清々しい表情で空港にあった。

もちろんビキニショーツの星条旗マントという、イカレた姿であった。



「素敵な思い出をありがとうございます、閣下」

「なに、今回は争ってしまったが、我々は海を越えて同好の士であるのだ。礼には及ばんさ」

「レディ・ツバキ、貴女にもお世話になりました。タイヘンよろしいお土産までいただいて」



メイドのツバキはニッコリと微笑む。



「そしてビューティホー・ボーイ……ミーはアメーリカで、ユー以上の素敵な『男の娘』をゲットしてみせまーす」

「あぁ、期待してますよミスター。だからとっとと飛行機に乗って、二度と日本には来ないでください」



二人は握手を交わした。

そのときキャプテンの手から青と白の縞々ハンカチが落ちた。

マヤにとっては見覚えのある柄だ。


落ちましたよと、手に取った肌触りにも覚えがある。

ハンカチを開いてみた。

それは彼のショーツ(窓無し)であった。



「キャプテン、これは?」

「OH、ツバキさーんにいただいた日本土産でーす。返してくださーい!」

「ツバキさん!?」

「えぇ所長、明日から下着はすべて新品ですよ」



つまり、在庫一掃ということだ。



「ちょっと待ってよ、ツバキさーん!」



もちろんWEB上には、今日の所長のパンツというコンテンツが開設され好評を博することとなった。

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