真夕×梓:提出物
練習作品です
・三人称
・表現力
【設定】
・有森真夕……真面目な学級委員長
・芹澤梓……クラスで地味な『ボク娘』
夏の暑い日の昼休み。教室内は暑さのせいで仄かに汗と制汗剤の匂いが漂っている。中には女子高であることをいいことに、スカートを恥ずかしげもなくパタパタと仰いでいる光景も見られる。
教室内はお弁当を食べ終わったクラスメイトが雑談をしたり、教室を出入りしたりと賑わっている。学級委員長である有森真夕は、そんな人の動きが慌ただしい中を、テキパキと提出するプリントを集めていた。
真夕は芹澤梓がお昼を食べ終わったのを見計らって、声をかけた。
「芹澤さん、プリントの提出をお願いします」
「あ、はい」
芹澤梓は鞄に手を伸ばして、中を漁り出す。すると、その動きが段々と荒くなってきて、表情も心なしか青ざめている。
「す、す、すみません。ボク、プリントを忘れてきちゃったみたいです」
彼女はどうやら鞄の中を探しても、提出すべきプリントが見つからなかったようだ。
芹澤梓が提出物を忘れるのは珍しい。クラスに溶け込めていない感じはあるが、やるべきことはしっかりとやっている。提出物の期限はまだあるので、慌てている芹澤梓を落ち着かせる。
「まだ、提出期限あるから平気ですよ。芹澤さんが忘れ物何て珍しいですね? 何か悩みでも? いつでも相談にのりますよ?」
真夕はそう言い、芹澤梓の目を見つめつつ微笑んだ。
途端に芹澤梓の顔が、心なしか赤くなる。人に言えない恥ずかしい内容だったかな? ちょっと余計なお世話過ぎたかと思い、言葉を付け足す。
「あ、言いづらいことでしたら無理には言わなくていいですよ? ただ、困っていることがあれば頼って欲しいなって思っただけですから」
芹澤梓は少しの無言の後、質問をしてきた。
「なんでボクのことをそこまで心配してくれるのですか?」
「クラスメイトはみんな私の友達ですから。友達のことは心配だから、何かあったら力になりたいのですよ」
その言葉を聞いて、芹澤梓の目が少し潤んでいる。真夕は慌てる。
「あれ? 私、何かおかしなこと言いました?」
芹澤梓は小さく首を横に振った。そして一言。
「いえ、嬉しかっただけです」
笑顔でその言葉を言われた真夕も、嬉しさで微笑み返した。
新人賞を書くための練習5回目の投稿ですが、なかなか表現力が上がらずに難しいです。
この作品の自己採点は100点満点中20点ってところかな?
助言がありましたら、参考にコメント下さい。