あたしのターンじゃないの??
「ねぇ、天乃。何故、場所が解ったの?」
星月の幼馴染でジャーナリストである神木璃央は、言葉を発した。
「んあ?あぁ。あの三枚の便箋には、やはりMessageがあったのだよ。」
そう云うと、星月は黒色。白色。桃色の紙を用意して、記憶を頼りに便箋の内容を再現していった。
「先ず、黒色の便箋の中央に書かれている…。」
星月は黒色の紙を指差した。
「この【十字架を背負い生きなさい。】の意味なんだが…。」
確か、永遠に消える事のない罪や苦難を、身に受けて生きなさい…。だったかしら?と神木は被せ気味に言葉を謳った。
すると星月は。
「嘘だろ。おい。今、あたしのターンじゃね?あたしの見せ場じゃね??」
とボソボソと呟く。機嫌を損ねたのか解りやすくプンプンとオノマトペを量産している。
そんな星月を視て、神木は…。あっ…。ごめん。と神妙な面持ちを創り、星月の好物のお菓子を渡して…。どうぞ続けて下さい。と頭を下げた。それで上機嫌となった星月は真相を語り始めるのであった。
神木は知っていた。星月は、お子ちゃまの様に見えるが、イレギュラーな存在である事を…。
何時しか聞いた事があった。
星月の推理の仕方は、相手の思考を覗き見て、思考を想像し、思考を構築する事だと…。
ソレを、聞いた時、神木は星月を心配し 、ニーチェの言葉を引用し警告したのである。
【怪物と闘う者は、自らも怪物にならぬ様、気をつけるべきだろう。深淵を覗み込む者は、深淵からも覗き込まれているのだ。】
すると星月は…。
【此方が覗き込もうが覗き込まなかろうが、彼方は関係無しにガン見してるよ。】
と、大きな瞳をもっと指で広げて…。
【これぐらいの大きさでだ。】
と云った…。
その姿が余りにも可愛かったから。
考える事は止めにした。
きっと天乃は、そんな深淵と呼ばれるモノでさえ、遊び相手にしてしまうのだろう…。