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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
13章 記憶を探す
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荷物の調査

フレデリカが「自分と一緒に運んできた。」という荷物を再度確認することにした。


エレナが興味津々で頼んでもいないのに手伝いを申し出てきた。


エレナも興味津々で手伝いを申し出てきたが、自分は彼女に対しては少し用心深い感情を抱いていた。彼女の目的や真意が分からなかったため、警戒心を抱いていた。


ハチと、四角い板、と石鹸のような液体、焼き物でも金属でも無い鍋、他にもいろいろあった。


ハチはまあ、剣だ。意思を持っていて自分を慕ってくれている。


四角い板は今は動かない。自分の姿絵が入っていた。どちらかと言えば、この板も魔法のように見えた。


石鹸のような液体はどうしようか。


エレナは自分が洗ってみたいものがあると申し出てきたのであげた。


「いいの?ホントに?」エレナは驚きながらも喜んでいたようだった。


自分では使い道がわからないので、使ってみてもらってその感想をききたかったのだ。


しばらくして、エレナは興味津々の表情で言った。「これはすごい!なんというか、これで洗うと洗濯ものがいい匂いになるの!。なんか花の香がするようになる。不要なもの洗い流されているし、爽快さがあるの。」


自分は驚きながらも興味深く聞き入っていた。「それは素晴らしい効果だね。自分も使ってみたい気がしてきたよ。」


エレナはにっこり笑って言った。「次回、ぜひ試してみて。きっと気持ちいい香がするようになるはずよ。」


鍋はホントにどう使うのかがわからなかったが、鍋というからには火にかけるのが一番なのか。


それにしてはなべ底が焦げたあと等が全然みあたらなかった。だから不思議だった。


ちょうどそこにハンスがやってきて、その鍋をみてこういった。


「これはもしかしたら火にかけない事が前提なのかもしれないな?」


自分はハンスの言葉に興味を持ち、鍋を火にかけずに使う方法を考え始めた。


鍋の底に焦げた跡が見当たらなかったことから、それが正しい使い方なのかもしれないと思った。


自分は鍋を手に取り、別の用途で使える可能性を探るため、まずは鍋の中に何かを入れてみることにした。近くにあった花瓶から花を取り出し、鍋に入れてみた。


しかし、それだけ。何の変化もなかった。他にも試してみたが、なにかをいれたところで変化がおきるといった事はなかった。


ひとつだけ気付いた事がある。それは軽い鍋だという事だ。他の鍋と比べても比較にならないくらい軽い。


自分は鍋を手に取り、軽さについて考えた。この軽さには何か意味があるのかもしれないと思った。


もしかしたら、鍋自体が特別な材料で作られているのかもしれない。


自分は鍋を詳しく観察した。鍋の表面には特別な模様や彫刻はなく、普通の鍋と変わらない。


しかし、鍋のそこを見てみると、先ほどは気付かなかったが文字がびっしり書かれていたようだった。


文字はこの辺の文字ではなさそうだった。


その一部にはこんな形の文字が書かれていた。『JIS』


「JISって何だろう?」と自問しながら考えてみたが分からなかった。


まあ、食卓に仕えるものなら皆につかってもらおう。そう考えた。


他にもいろいろあった。


何か、ペンのようなものがあった。


そのペンを取ろうとしたところ、そのペンは勝手に動いた。


「…!なんだ?!これ!?」自分はびっくりして手を引っ込めた。


エレナは声に気が付きこちらに顔を向けてきた。


「なに、どうしたの?」


自分とエレナは不思議そうな表情でペンを追いかけるが、どうやらペンは自由に動き回り、掴まれることを嫌っているようだった。


「これはすごい!まるで生きているみたいだね」とエレナが興奮気味に言った。


自分も興味津々で追いかけるが、なかなか掴むことができない。ペンはすばしっこく、手をよけながら飛び回っている。


「どうやらこのペンには特別な力が宿っているようだね。でも、なんのためにこの力があるのかはわからないな」と自分は考え込んだ。


エレナも興味津々のまま、ペンを追いかける。


そして自分とエレナは沈黙したままゆっくりペンに近づき挟み撃ちにした。


エレナはペンを掴みそこなったが、その後自分が捕まえた。


メルロ・エレナ「やった!」


すると自分の体が勝手に動く。


「あ、あれ、ちょ、ちょっと?」と自分はいう。


「え、な、なに、どうしたの?」とエレナが聞いてくる。


体が勝手に何かを書こうとしている。


「か、書くものを!か、紙か何か!」と自分はエレナにいう。


エレナは慌てずに周囲を見回し、机の上に置かれている紙とペンを見つけた。


彼女は早速それらを取ってきて、自分が書こうとしているものを書くための準備を整えた。


自分の体はまるで別の意志に従っているかのように、手が自動的に動き始めた。

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