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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
12章 女主人の伝説
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仮面の居酒屋

街の中心部にある酒場は、毒蛇鑑賞会のメンバーたちが集まる場所としても有名で、夜になると賑わっていた。今日は早めに来たのでまだ店は開いていない。


彼女たちは席につくと、酒場の店主に提案をし、彼女たちのアイデアは歓迎された。


街の仮面師にもその話を持ち掛けた。仮面師にしてみれば普段以上の売り上げを期待できる提案だったのですぐさまその提案に飛びついた。


しばらくは店頭で酒場に来る客に説明と簡単仮面を配る事に三人は手伝う事にした。


すると店主はその準備期間の三人の飲み食いは半額にしてくれると言ってくれたので三人は大喜びだった。


彼女たちは準備期間中に酒場に来る客に声をかけ、簡単な仮面を配った。


多くの客が興味を持ち、この企画に参加してくれることになった。


そして、準備期間が終わり、いよいよ仮面の居酒屋と店を開く日がやってきた。


酒場は普段以上に賑わい、多くの人々がエレナたちの準備した仮面をつけて楽しんでいた。


彼女たちは忙しく働きながら、店内の雰囲気も盛り上げ、毒蛇鑑賞会のメンバーたちも大いに楽しんでいた。


結果として、この企画は大成功となり、酒場の売り上げも大幅にアップした。


エレナたちは店主や仮面師と共に手応えを感じながら、この街の発展に貢献できたことを誇りに思っていた。


しかし、喜んでいたのもつかの間、客足が段々遠のき、来客が減ってしまった。


皆、飽きてきたのだ。


そこで、エレナたちは再度アイデアを出し合い、新たな企画を考え出した。


「どうせ飽きるのは時間の問題だから、次は期間限定のイベントをやればいいわよ!」とエレナが提案した。


「期間限定のイベント?」とアンナが疑問を投げかける。


「そう、例えば『夜のマスカレードパーティー』とか、『仮面の宝探しゲーム』とか、色々なアイデアがあるわ。期間限定だからこそ、客は興味を持って来てくれるわよ」とエレナはアイデアを広げていく。


「いいアイデアだね!それなら私たちが衣装を作って、仮面の宝探しゲームを企画しよう!」とクララが興奮気味に言った。


「それじゃあ、早速仕事の後に企画会議を開こう!」とエレナが決定し、三人は再び手を取り合って次の企画に向けて動き出した。


しかし、期間限定イベントは盛り上がるものの、普段の売り上げが減少してきている事は確かだった。


日に日に減っていく客足に発案者のエレナは焦り、酒場の店主と仮面師に申し訳なく感じていたたまれなくなっていった。


それにあくまで自分たちは屋敷のメイドが本業である。


仮面の居酒屋にずっと関わるわけにも行かない。


どうしたらよいものか、酒場の席で進まない酒を目の前にエレナは悩んでいた。


「あ、メルロさんだ。メルロさん、こっちでーす。」とクララは仮面を付けたメルロを見つけ声をかけた。


そう、顔を隠しているとはいえ、普段顔を合わせているなじみの人間なら雰囲気で大体誰が誰だかわかる。


顔を隠すのが一々面倒だと客は考えている。


簡単なルールではあるものの、その手間を掛けてまでこの店に来たいと思わせるものがあればよいのだが。


「クララさんありがとうございます。皆さんお待たせしました。」とメルロが同席する。


仮面で顔を隠している為、威力は抑えられているものの、相変わらずクララはメルロを前にすると不思議なオーラを放って輝きを増す。


メルロもクララのオーラに慣れては来たものの、周りと違ってオーラの直撃を受けるので、たまにトウサンジュニアがゆう事を聞かないという事がまだあるそうだ。


クララによって彼は性に目覚めた。


そして自分の犯した過ち(パン泥棒)を理解する事ができた。


人間としては一歩前進できたと言うべきなのか。


ふと周りを見ると他の客がたまにチラチラと視線を向けてきている事にエレナは気付いた。


視線の先は勿論、クララである。


「………クララ、ちょっといい?」とエレナはクララの仮面を取った。


メルロ・アンナ「「えッ…」」


「?…なんですか?」とクララはエレナの行動が理解できずにいた。


その瞬間、クララのエロスのオーラが爆発して店の外の近くまでその影響が及んだ。


エレナはすぐに仮面をクララに戻した。


店の中はどよめいた。


クララと話したがり、4人の席に群がる者もいれば、一方ではクララに視線が外せなくなり立ち上がれなくなった男達が顔を赤くしていた。


「!?、!?…なんです!?、何なんです!」クララは困惑した。


「クララ…、貴方はやはり私の救世主よ。」とエレナは笑顔でクララに声をかけた。


思い返せば、クララは、エレナの書いたネクロノミコンの一番の理解者だった。


ネクロノミコンの作者は日陰者。単純に同性の恋愛ものの作品とは、一段毛色が違う。


クララの応援のお陰で執筆活動を続ける意欲を維持できた。


今もこうして自分を助けてくれるアイデアを示してくれた事に、エレナは不思議な縁を感じた。

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