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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
12章 女主人の伝説
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新たな企画

街から帰ってきたエレナはいの一番にアンナとクララの元へ行った。


「朗報、朗報、ジェームズさんが蛇食女スネークイーターの正体について教会に内緒にしてくれるって。」と掃除中のアンナとクララに報告するエレナ。


「え、それは確かに朗報だけど。」と手を止めて聞き入るアンナ。


「一体、どうやったんですか?」とクララも手を止めて尋ねた。


「フフフ、…交換取引と言うやつだよ。」エレナは、街でのジェームズとのやり取りの顛末を二人に話した。


エレナはあの後、ジェームズに「聖職者でありながらフシダラな本で若い女性にセクハラに及んだ」という認識を植え付けさせる事に成功。


意地悪く言葉攻めした後、「蛇食女スネークイーターの正体について沈黙していただけるなら、今回の事はなかった事にします。教会に垂れ込む事もしません。その本の秘密も他の人には話さないでおきます。」という取引を持ち掛け、ジェームズは渋々それを受け入れた。


「さすが魔王様!、マビノギオン偽典の効果は絶大だわ。」とクララは喜んだ。


「ジェームズさんにはちょっと悪いけど、よかったぁ、何とかピンチを免れたわね。よッ!魔王様、かわいいよ!」とアンナも喜びエレナを持ち上げる。


「いやぁ、私もまさか、こんなリカバリーができるとは思ってもみなかったけどね。上出来上出来。」とエレナもほくほく顔だった。


「それにしても新刊は2,3冊の予定だったはずなのに10冊もリリースするなんて『毒蛇鑑賞会』の皆も大喜びしてましたね。勿論、私もアンナも歓喜してますけど。でも、魔王様、お体は大丈夫ですか?」とクララは気遣う。


「筆が乗ってしまってね、ついつい本気を出してしまったけど、平気平気w」


「本当に、私たちは魔王様に感謝しなくてはいけませんね。」とクララも頷いた。


「いやいや、そんな大袈裟な。でも、『毒蛇鑑賞会』の方々が喜んでくれたなら、私もうれしいよ。」とエレナはにっこり笑った。


「そうそう、アンナ、クララ。新しい企画の話があるのよ。」とエレナが言った。


「企画?」とアンナが首をかしげる。


「ええ、『仮面の居酒屋』よ。」とエレナが笑った。


アンナはエレナの意図に気が付きクララを一度見てから言った。


「なるほど…。また考えたね。魔王様さすが!。」


「?……それはそれで面白そうではありますけど、なんで仮面なんです?」クララは何のことか気付いてない。


エレナはその疑問に答える。


「………えーとね、それはね、いつも通っている街の酒場に感謝を込めて売上アップの提案をしようと思っているのよ。(それとなく今考えた嘘)」


「………えーと、…できるだけ?…お金を掛けずに?…これまでと違った酒場として他と差別化を図る方法が仮面なのよ!。」(よかった。何となくそれっぽい理由が思いついて。)


「あそこに通っている連中のほとんどが『毒蛇鑑賞会』のメンバーだしね。迷惑料もかねて新規顧客獲得の提案なの。帰りがけにあそこの店主にそれとなく話してみたけど結構乗り気だったよ。(本当)」


「根回し早いねぇ。」とアンナは関心する。


「お客さんが顔を隠すと、誰が来ても同じ扱いができるし、プライバシーも守れるし、面白そうじゃない?」とエレナが説明する。


「それは確かに面白そうだけど、どうやって実現するつもりですか?」とクララが尋ねる。


その疑問にもエレナは答える。


「しばらくは事情の説明が必要なのよね。準備期間をつくってその間、お店では紙で簡単な仮面をつくってただで配ります。」


「その準備期間というのは仮面の販売所を店の近くに作ってもらうのよ。街にいる仮面師に酒場の近くで仮面を販売してもらえるように仕事を依頼するの。仮面の種類も豊富だし、ユニークな仮面もあるから、お客さんも楽しめるはずよ。」とエレナが得意そうに話す。


「なるほど、確かに面白そうですね。私も参加したい。」とアンナが興味津々。


「…というわけで今日は仮面を被って早めに酒場に行きます!。そうと決まれば今日の御屋敷のお仕事をさっさと片付けて街の酒場にいくわよ!」とエレナが張り切っていう。


「おお!」アンナは呼応する。


「お…おお?」クララはまだよく分からないといった感じだった。


そうして、仮面を被ったエレナたちは早めに御屋敷の仕事を片付け、早めに街の酒場に向かった。

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