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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
11章 意思を持った剣
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違和感の正体

皆で夕食の準備をしようとしている時に、屋敷にヨハンがやってきた。


ヨハンはハンスを見つけて言った「アニキ、メルロがしばらくジェームズのところに居るってエレナ以外の誰かに伝えてくれてッて言われてきたんだけど、なにかあったのかい?」


「ああ、ちょっとした行き違いがあってな、エレナに嫉妬されたんだ。それで居づらくなったんだろう。アイツは悪くないし、問題も解決した。心配事はなくなったから帰ってこいって伝えてやってくれないか?詳しい事は今度話すよ。」とハンスはヨハンにお願いをする。


「なるほど、わかったよアニキ、メルロに伝えておくよ。今度、絶対教えてくれよ!」とヨハンはメルロのところにいった。


ハンスは、ヨハンが去った後に、アンナとフレデリカを見つけて状況を説明した。


彼は、メルロが居づらくなり、一時的にジェームズの家に滞在することになったことを説明した。


「しかし、今は問題は解決されている。何も心配する必要はない。メルロが帰ってくるまで、晩ご飯の準備をしよう。」とハンスは言った。


ハンスが去った後、入れ違いでエレナがアンナとフレデリカの下にやってきた。


「なにかあったの?」とエレナが尋ねる。


「メルロがエレナにビビっちゃって、ある処に逃げ込んだそうよ。」とアンナがいう。


「…ジェームズさんの処?」とエレナは言い当てる。本当に感がいい。


フレデリカはいたずらっぽく言う「さあ、どうかしらねぇ。でも、それを知ったエレナお姉ちゃんはどうするのかしら。ねえ?、アンナお姉ちゃん」


「どうもしないって反省してます。我が妹よ。」とエレナ、アンナ、フレデリカは姉妹ごっこをしながら夕食の準備をする為、食堂へ向かっていた。


すると食堂の入り口前でハンスが立ち止まっているのを見かけた。


叱られたのはエレナだが、三人まとめて叱られたような気分だったので、ハンスの様子に三人は息をのんだ。


だが、怒りのオーラを放っているわけでもなくただ立ち尽くすハンスに違和感を憶えてフレデリカは慎重に近づいて行った。


「?ハンス、どうかしたの?」とフレデリカが尋ねた。


「いや、その、なんというか、うまく説明できないんだけど…」とハンスは途中で止まったままである為、フレデリカはハンスの視線の先を追った。


「「ん?」」アンナとエレナは、フレデリカの説明を待っていたが、フレデリカもそのまま止まってしまった為、二人も近づいて視線の先を追った。


違和感の主はクララだった。


「あ、皆さんどうしたんですか?早くてつだってくださーい」とクララがこちらに向かって言ってきた。


ハンスが言う通り、確かになにかがおかしい。だけどなんと説明したらいいのか分からない。


するとジョセフとマーガレットの言葉で違和感の正体が説明された。


「彼女きょうはどうしたんだい。こんなに明るい子だったかな?なんか見てるこっちまでうれしくなっちゃうよ。」とジョセフが言う。


「本当、彼女ってこんなに魅力的だったのね?酒場の男たちが相手するにはもったいないわね?。」とマーガレットが言う。


確かに、ジョセフとマーガレットの感想は的を射ている。


しかし、基本はいつも通りのはずだ。


化粧をしてるでもない、照明もいつも通りだ。


だというのになぜか普段より輝いて見える。


「もう=3。てつだってくださらないと、晩ごはんが遅くなっちゃいますよ。」とクララが再び言ってくる。


「ああ、すまないね。思わず見とれちゃって」とジョセフが手伝う。


「ほんとよね。あなたの素敵な笑顔にみとれちゃったのよ。ごめんなさいね。」とニコニコ顔でマーガレットも手伝う。


「ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。」とクララが返答する。


クララはハンス達に向けて「もう、皆さんもですよ。はやく準備しましょー」と言ってきた。


「あ、ああ、はい」と皆視線を外せないまま行動を開始する。


ジョセフは言う「ん?メルロはどうしたんだい?」


「え、ああ、アイツはしばらくジェームズの処にいるってヨハンから聞いた。」とハンスが答える。


「ああ、さっきの件でか?」とジョセフは納得する。


「ああ、でも心配事は消えたから帰ってこいとヨハンに伝えてもらっているはずだよ。その内帰ってくる。」とハンスは答えた。


「ふふっどうしたんだいハンス、クララから目が離せないようだぞ。惚れたかい?。」とジョセフはハンスに楽しそうに尋ねる。


「いや、その、なんかこう、危なっかしさを感じるんだ。」とハンスが言ったその言葉にフレデリカ、アンナ、エレナは同意した。


「ははっ誰にも渡したくないっていう独占欲でもわいたかい?」とジョセフは笑いながらいった。


「なんだろ?…彼女…周りをそういう気持ちにさせているのかもしれないな。」とハンスがいう。


「なんだいそりゃw」とジョセフが大笑いする。


「「「………」」」手伝いをしながら黙って聞いていたフレデリカ、アンナ、エレナはハンスの感想がとても的を射ているように感じていた。ただし一体なにが起きているのか誰にも解らなかった。


夕食の準備が終わり、後は食べるだけと言う状況になった。


「えっと、メルロはいないんだけど…」とフレデリカが言いかける。


「アイツは今日帰ってこないかもしれない。でも、まあ、明日になったらかえってくるさ。」とハンスが言った。


小声で「……もういいの?」とアンナはエレナに声をかける。


小声で「え……何が?」とエレナは不思議そうに返答する。


小声で「何がって…………『ハチ』のことよ。」エレナの反応が意外だったが、蒸し返してもいけないと思い躊躇しつつも『ハチ』について聞き返した。


小声で「うん。……………………なんか、それどころじゃなさそうな気がしてるの。」とエレナは今の心境を話した。


ハンスの一言に対し、「…そうよね。それじゃ皆さんいただきましょうか。」とフレデリカが皆に促す。


「あのー」と誰かの声が食堂に響き渡る。声のする方に皆が視線を向ける。


「すみません。ジェームズさんのところに泊めてもらうつもりだったですけど、帰ってきちゃいました。」声の主はメルロだった。


「メルロさん。お帰りなさーい」とクララが手を振った。


その瞬間、ハンス、フレデリカ、アンナ、エレナは違和感の正体が顕在化するという未知の体験をする。


クララがエロいのだ。エロスのオーラを発しているのだ。オーラの爆風を受けたような感覚を覚え、クララに目が離せなくなった。


原因は間違いなくメルロだった。

  ハンス(また、お前なのか!?)

フレデリカ(また、お前かーーい!?)

  アンナ(また、お前かぁ!?)

  エレナ(また、お前かよ!?)


皆心の中で叫んだ。

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