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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
11章 意思を持った剣
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謀略

「お、落ち着いて魔王様!」とアンナは叫んだ。


「落ち着ていなんていられるかぁ!わたしとケンちゃんの絆を返せぇ!」とエレナが鬼の形相でアンナに襲い掛かる。


「エレナ!。やめなさい!、ちょっと落ち着いて、これは貴方のためでもあるの!」とフレデリカはエレナを後ろから羽交い絞めにした。


「私は提案しただけ!、決定したのはメルロよ!」とアンナは説明するもエレナは納得していない。


「そうよ!エレナ!これはメルロが望んだことなの!、持ち主には決定権があるの!」とフレデリカがエレナを抑えるのに苦労しながら説得を試みた。


「そんなの解ってる!、だってメルロがケンちゃんの持ち主なんだもの!名前を決めるのはメルロ。ケンちゃんっていう名前はメルロにも浸透していたの!ケンちゃんっていう名前は私とケンちゃんをつなぐ唯一の希望なのに…おのれぇぇ!!」とエレナは暴れ続けた。


エレナの姿にアンナとフレデリカはメルロの言葉を思い出していた。


(エレナは、ケンちゃんに対して異常なまでの執着があります。自分がケンちゃんの持ち主である以上は、エレナをこの執着から解き放たないと、なにかしらの事件が起きそうで怖いんです。)


今でもこの状態なのに放置していたらどうなっていたか、今回の事はこれでよかったのだと納得しようとしたが、矛先がアンナに変わっただけでしかないようにも思えて二人は焦った。


「お、落ち着いて深呼吸しよう。はい、すう」とアンナはエレナを落ち着かせようとするが全くそのそぶりを見せない。


「ギャアアアアアアア!」と吠えフレデリカの拘束から抜け出そうとするエレナ。


だめだ、完全に火に油を注いでしまった様子だ。



そこから少し離れた場所でメルロはクララの手を引いてエレナに見つからないように隠れていた。


「あ、あの、アンナとフレデリカがすごく大変そうなんですけど?」とクララがメルロに尋ねる。


「シーっ、姉御肌のアンナさんと怪物:蛇食女スネークイーターの二人が居れば魔王様は抑えられますよ。」とメルロはいう。


「いや、そうかも知れませんけど」とクララは戸惑う。


メルロはそっとアンナとフレデリカの様子を伺ってほくそ笑んだ。


そう、今回メルロが気を付けていた事はアンナ、クララ、エレナの三人の結束プラス1(フレデリカ)


まずはこの三人の結束と崩す事が目的だった。


三人はお互いを信頼しあっている。


三人いると均衡が取れている。


その上にフレデリカがいる。


想定した通り、最終的に決定した名前を提案したアンナに矛先がむかった。


フレデリカもその場にいたのでエレナが暴れる事に無関心ではいられないだろう。対格差があっても一人で魔王様を抑えるのは辛かろう。


そして、こうして今、魔王様の一番の理解者であるクララは、自分が連れ回しているので均衡が取れない状況にある。


はは、そうだとも、二人共もっと苦しめ!、自分が受けた苦しみはこんなものじゃないが、お前たちが崇拝する魔王様の洗礼を存分に味わうがいい!


魔王様もケンちゃんとの絆を奪われた衝撃は狂おしいほど悔しいだろう!(実際狂ってる)


これは復讐なんだ!人の話も聞かずに自分を悪者に仕立て上げたお前たちに対する復讐なんだ!



この計画を思いつけたのもアニキのおかげだ。


アニキは昔、本をよく読んでいたという、なので自分もアニキに習って本を読むことにしていた。


そして一冊の本に感銘を受け、今回の計画を思いついたのだ。


そう!これは自分なりの「天下三分のけ


「メルロさん」


「うわっ」と自己陶酔中のメルロは驚いた。


「あの、どうして私を連れてきたんですか?」とクララは困惑顔で聞いてきた。


「どうしてって」いけない。ここは気を抜いてはいけない。


「行かせたくないんです。僕は、クララさんをあの三人の中に行かせたくないんです!!。僕はクララさんに傷付いてほしくないんです!!。」


「えっ!?ど、どういう事なんですか?」あまりにも力強く話すメルロにクララはたじろぐ。


行かせてなるものか!今あの中にクララが飛び込んだら、クララは自分が傷付く事も恐れずエレナを抑えて、この混乱が収まってしまうかも知れない!それだけはさせない!


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