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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
11章 意思を持った剣
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名前を考えるのは3人だけ

メルロは、話し合いが進まないのを見て、考えたことを口にした。


「まずはケンちゃんがどんな性格を持っているか、観察する必要があると思います。名前はそれに合わせて決めた方がいいかもしれません」とメルロは提案した。


「そうだな、確かに。今までケンちゃんと接してきた中で、印象に残ったことは何かあるか?」ハンスが尋ねた。


「私は、ケンちゃんがとても頑張り屋だと思います。私たちが畑で働いているとき、人より先に進んで見え辛い物陰とかを見えやすくしてくれたり、なんだか一緒に働いているって感じがするんですよね。そう思うと、本当によく働くんです。休むことなく、ずっと働いているんです」とフレデリカが続けた。


「私はケンちゃんがとても忠実だと思います。いつも誰かの後をついて回っているし、誰かに握ってもらいたがっているけど、断られても決してめげないんです」とアンナが答えた。


「それに私は、ケンちゃんがとても勇敢だと思います。私たちが畑で働いているとき、時々蛇が出てくるんですが、ケンちゃんはすごく機敏に反応して、私たちに警戒を促してくれるんです」とクララが言った。


「それにしても、ケンちゃんがとてもかわいいですね。私も抱っこしたいです。」とフレデリカが微笑んだ。


「いいですよ、いつでも抱っこさせてあげますよ。」とメルロが意味深にしかし優しく言った。


「………ごめんなさい。生意気言いました。」とフレデリカは沈んだ。


「もしかしたら、聖人の名前が似合うかもしれません。」アンナが言った。


クララは頷いた。「そうですね。たとえば、聖フランシスコ、聖マルタン、聖パトリックなどが考えられます。」


「しかし、言いたくはないが、教会にしてみればケンちゃんは異端だ。聖人の名前だと注目されるし、バレた時が怖そうだ。」とハンスは言う。


「た、確かに、聖人の名前はやめましょう。」とフレデリカが言う。


クララは微笑んで、自分が思いついた名前を提案した。「私は、彼を『ハーモニー』と名付けることを提案します。彼が周りの人々に楽しみや調和をもたらしてくれるように、という意味が込められています。」


「なるほど、『ハーモニー』か...」メルロは考え込んだ。「確かに、ケンちゃんは周りの人たちを和ませる存在ですね。いい名前だと思います。」


「うん。メルロとケンちゃんの剣舞も何かしらの『ハーモニー』が生まれるかもな。」とハンスが付け加える。


フレデリカ、アンナ、クララは、クスクス笑っていた。


ホホウ君たち、随分と余裕じゃないか。いいだろう、相手になってやろうじゃないか。


(((?’ω’)?三 ?’ω’)-o≡シュッシュ


「…その時は、僕たちと皆さんとの『ハーモニー』もご期待くださいね。」


「「「「!?」」」」


「残念ですけど、ハ、『ハーモニー』は見送りましょうか。」とアンナは言った。


「………すみません。出過ぎた事を言いました。」とクララは沈んだ。


「…ちょっと気付いたんだけど、ケンちゃんのテンポって8に何か由来しているものがあるのかな?」とアンナが疑問を投げかけた。


「どういう事?」とクララが聞いた。


「ここ最近毎日ケンちゃんとメルロの剣舞をみてるけど、テンポがこんな感じなのよね、『1,2,2,2,1』『3,3,2』『2,3,3』『3,5』『8』昨日は『6,2』というテンポがあったのよね」とアンナが解説した。


「なるほど、ケンちゃんの好きな事ってメルロとの剣舞だもんな。」とハンスは納得する。


「8か、そうか。よく見てますね。自分じゃその場が精一杯で気が付きませんでしたよ。」とメルロは関心する。


「そうよ、ハチにしましょう。呼びやすいし。」とアンナが自信満々にいう。


「いいわね。ハチ。」とフレデリカが賛同した。


「そうですね。ハチでいきましょう。」とクララも賛成の意を表した。


「はい。自分も依存はありません。」とメルロはいう。


「よし、では決まりだな。」とハンスが言うと皆で拍手した。


ここに皆が集まる前、アニキには予めこう言っておいた。


「ウチは女性が多いので、こういうのは若い女性に決めさせたほうがいいと思うんです。なので一緒に考える素振りで向こうに決めさせたほうがいいと思うんです。」


「エレナは入れなくていいのか?」


「ケンちゃんに対するエレナの執着を解く為でもありますので、エレナは入れない方がいいですね。益々固執してしまいます。」


その言葉にアニキは納得してくれた。


そう、この話し合いの場では、アニキは司会役で自分は決裁者。


実際に名前を考えるのは3人だけなのだ。


両手を組み口元を隠した自分は、自分たちで話し合って決めた名前に喜ぶ3人を見つめながら口角を上げた。


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