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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
10章 街の事件簿
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四角い板

皆は困惑していた。


特にメルロは困っていた。


子供たちの失踪については調査の結果でいろいろ誤解があったと説明できていたが、一本足の物の怪については、その正体を見ても全然説明できそうになかった。


ジェームズになんと報告すればよいのかわからなかった。


「とにかく落ち着いたようだし、みんな夕食をすませよう。明日フレデリカが帰ってきたら相談しよう。」とハンスは提案した。


クララはメルロに四角い板を見せて尋ねてきた。


「これ、メルロさんの荷物にあったんですが、何だかわかります?」


メルロは四角い板を手に取り、よく見てみた。それは表面はガラスか何かのようだった。


「これは...」とメルロはつぶやいた。「なんだか見覚えがあるような気がする。でも、具体的には何かわからないな。」


クララは首をかしげたが、それ以上は何も言わずにメルロに返した。


ハンスは皆をダイニングテーブルに招き入れた。彼は肉とじゃがいもの料理、サラダ、そしてパンを提供した。


みんな静かに食事をしていた。その間、メルロは四角い板を持ち続けていた。


食事中ではあったが、メルロはどうしてもこの四角い板が気になり、四角い板の何か所か押せるところを押し続けていたところ、黒い長方形部分が光った。


その様子をみた皆は驚いていた。


すると、光った部分に絵が浮かび上がってきたように見えた。


メルロは恐る恐る絵が表示された部分を触ってみた。


「!こいつ…動くぞ!」


「なになに!」「どういうこと?」「どうなってるの?」クララ、エレナ、アンナが口々に声を上げた。


すると突然、軽快な音が鳴りだし、「ハーイ」と声が出てきた。


皆驚愕し、一目散に四方八方へと逃げ隠れた。


メルロだけはその場に残って、四角い板を触っていた。


絵は動くがそれ以上は声を出す様子は見られなかった。


触っていくうちに誰かの姿絵が全体に現れた。


その姿絵も動かせるようでいくつか動かしてみた。


「これは……」メルロの声に隠れていた面々は恐る恐る近づいてみた。


「メルロだよな。この絵」とハンスはいった。


メルロは四角い板に触れ続け、何かを探していた。


「そうだね、これは自分だ。でも、なぜこんな絵がここにあるんだ?」


メルロが言うと、画面に表示された絵は、彼を指差して微笑んだ。


その後、画面が変わり、新しい絵が現れた。


これは、小さな男の子が描かれた絵だった。


「誰か知ってるか?」とメルロは尋ねた。


しかし、誰もが首を振った。


「それにしても、これは一体何なんだ?」とハンスは不思議そうに言った。


しばらくの間、何も言葉が出なかったが、やがてメルロが口を開いた。


「これは…僕が何者なのか教えくれるものなのかもしれない。」


皆は驚き、その絵の正体について興味を持ち始めた。


しかし、翌朝、メルロは再度この四角い板を触ってみたものの昨日のように光ることも声を出す事もなくなっていた。

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