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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
10章 街の事件簿
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一本足の物の怪

その時、「一緒に帰るぞ」とハンスが声をかけてきた。


メルロはハンスに礼を言い、一緒に歩きながら、今日の出来事について考え込んでいた。


「あの酒場の人たちは、何かを恐れているようだったな」とメルロが言うと、ハンスも同意した。


「確かにそうだ。でも、何を恐れているのかはわからない。まあ、この街には以前から不穏な噂があったから、何かしらの影響を受けているのかもしれない」とハンスが答えた。


「そうかもしれない。でも、今回の事件は噂とは違っていたな。一本足の物の怪も嘘だったらいいだけど。」とメルロが言った。


ハンスはメルロの言葉にうなずきながら、二人は街の中を歩きながら、今後の対策について考えを巡らせた。


すると後ろの方からガチャツ、ガチャツ、と音が聞こえてきた。


二人は音の方を振り向くと、街灯の光に照らされた影が2つ、近づいてくるのが見えた。


「何だ、あれは?」とハンスが訊ねた。


「分からない。でも、何かがおかしいぞ」とメルロが答えた。


二人は慎重に足を進めると、影が次第に明確になってきた。そこには、背の低い2人組みが立っていた。


「どうしたんだ、こんな遅い時間に」とメルロが声をかけた。


「ああ、メルロじゃないか。こんな時間に何してるんだ?」と、2人組みのうちの一人が答えた。


「いや、ちょっと散歩してただけなんだ。でも、君たちは?」とメルロが尋ねた。


「ああ、俺たちはちょっと仕事中なんだよ」と、もう一人の男が答えた。


「仕事中?何をしているんだ?」とハンスが訊ねた。


男たちは微笑みながら、答えた。「そんなに気になるのか?。見回りだよ。最近一本足の物の怪が徘徊しているとか聞くだろう?笑っちゃうよな。ここ数日見回ってるけどそんなの見たことないよ。でも、上からの命令でね念の為、見回りをしてるんだ。」


「なるほど、そういうことか」とメルロがうなずいた。


メルロは、二人組みと別れ、ハンスと一緒に家路についた。


しかし、しばらくしてまた後ろからガチャツ、ガチャツ、と音が聞こえてきた。


「ん?なんだ、まだ何かあるのか…」とハンスが口にしながらメルロと二人で振り向くと遠くに一本の棒が立っているのが見えた。


「……なんだアレ…」二人に緊張が走った。


すると棒は勝手に動き出した。そして二人に近づいてきているようだった。



「これは…まさか、あの一本足の物の怪じゃないか!」とメルロが叫んだ。


「早く逃げよう!」とハンスが言って、二人は急いで走り始めた。しかし、一本足の物の怪は二人の後を追っているようで、その足音が近づいてくる。


「もう少しで追いつかれるぞ!」とメルロが叫んだ。


そこで、ハンスは思いついた。メルロを引っ張り、角を曲がって民家の陰に隠れてやり過ごそうとした。


「やっぱり…本当だったんだ…」とメルロが言った。


「シーッ!」とハンスが注意を促した。


物の怪も二人を追いかけてきたが、ハンスの思惑通りに通り過ぎて行ってくれた。


結局、二人は物の怪から逃げ切ることができ、ホッとした息をついた。


しかし、今回の事件が終わりではないことはn二人は心のどこかで感じていた。

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