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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
1章 自覚なき勇者
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猫と出会う

フレデリカとメルロは街を歩いていたとき、近くで騒がしい声が聞こえてきました。それが子供の泣き声であることに気づいたメルロは、その方向に向かって歩いていきました。


すると、小さな男の子がひどく泣いているのが見えました。

泣きながら「父さん」と連呼しておりました。

その子供を宥めようとしている男性がいました。

フレデリカが男性に話しかけ、状況を聞いていると、男性は自分の子供が食事を拒否していることに苛立っていたようです。


メルロはその光景を見て、思わず言葉を口にしました。「子供に対してそんなに怒らなくてもいいじゃないですか。」


フレデリカがメルロを見て、やんわりと言いました。「彼は自分の子供に対してとても愛情を持っています。ただ、最近、子供が病気で、それが食欲不振につながっているのかもしれません。」


そう聞いて、メルロは少し恥ずかしそうにしていました。彼も自分の過去に関する情報がなく、周りの人々の生活や状況を知ることができないことに苛立っていました。


******************************************


ある日、メルロは屋敷の前で小さな黒い生き物に出会った。


メルロ:「あれは何だろう?」


アンナ:「ああ、あれは猫ですよ。可愛いですね。」


メルロ:「猫?初めて見ました。こんなに小さくて、どこから来たのでしょうか?」


クララ:「きっとこの辺りで生まれたのでしょうね。野良猫が多いですから。」


エレナ:「でも、人懐っこくて、ここまでついてきたんですから、飼い猫かもしれませんね。」


メルロは興味津々で猫に近づき、手を差し伸べると、猫はお腹を見せ、メルロの手にすり寄ってきた。


メルロ:「なんて可愛いんだ。でも、このまま屋敷に持って帰っちゃっていいのかな?」


アンナ:「大丈夫ですよ。猫は自由気ままに生きるものですから、好きな場所に行きますよ。」


メルロは猫に挨拶をして、屋敷に入った。ある日、メルロは屋敷の前で小さな猫に出会いました。最初は遊んでいただけでしたが、猫が屋敷に向かって歩き出したため、メルロもついて行くことにしました。


メイドたちはメルロが猫をつれて帰ってきたことに驚きました。


アンナ:メルロさん、どうして猫をつれてきたのですか?

メルロ:猫がついてきたんですよ。でも、大丈夫ですか?

クララ:もちろんですよ。フレデリカ様も猫好きなので、喜ぶと思います。

エレナ:猫は好きだけど、うちの犬がちょっと問題ですね。


そして、メルロは猫を連れて自分の部屋に入りました。猫はメルロの部屋について行き、メルロの足元にすり寄ってきました。


メルロ:君はとてもかわいいな。おまえの名前は何かい?

猫:にゃあにゃあ。

メルロ:わかった、お前の名前はにゃんこだ。


その後、にゃんこはメルロの部屋に住むようになりました。にゃんこはメルロに懐いていたので、彼はにゃんこを大切に扱い、いつも一緒に過ごしていました。


******************************************


アンナ:「にゃんこって、ありえませんよね。」


クララ:「本当にそうですね。」


エレナ:「名前はちゃんと決めないといけませんね。」


メルロ:「そうですか…。でも何て名前にしようか。」


フレデリカ:「あなたが決めるべきですよ。」


ジョセフ:「そうですね、猫の主人であるあなたが名前を決めるべきです。」


******************************************


メルロがフレデリカと街を歩いていたときまたあの男の子に出会いました。

男の子が父親に叫んでいた様子を見て、メルロはしばらく考え込んでいました。


屋敷に帰ってくると、メイドたちが彼に猫の名前を決めるようプレッシャーをかけます。

メルロは無言で考え込んでいたのですが、思わず「父さん」と口にしてしまいます。メイドたちはびっくりした表情を浮かべ、その後大笑いをします。


「父さん?」とメイドの一人が訊きます。


「ああ、すみません。なんでもないです。」


しかし、メイドたちはすでに決めてしまっていました。「父さん」が猫の名前として決まったのです。メイドたちはメルロをからかいながら、「父さん」を強く推します。


メルロは記憶喪失であるため、自分が変だという自覚はありません。そして、彼は「父さん」という名前を猫につけることに全く違和感を感じませんでした。


******************************************


メルロは夜、酒場で周囲の人々に自分が猫を飼っていることを話し、猫の名前が「父さん」ということを明かした。


男1: 「お前、猫を飼ってるんだって?」


メルロ: 「そうだよ。名前は『父さん』っていうんだ」


男2: 「なんだって?」


メルロ: 「父さんって名前さ」


女1: 「え、なんでそんな名前にしたの?」


メルロ: 「いや、思いつかなくて、偶然街でであった子供が『父さん!』って叫んでたのが気になって、つい口にしたらメイド達の強い推しで決めたんだ」


男1: 「なるほどねえ。そういうことか」


メルロは周囲の反応が意外にも好意的だったことにほっとした。しかし、メイドたちがからかわれることはまだまだ続いていた。


アンナ: 「あら、可愛い父さん。いい名前ね」


クララ: 「私も父さんが大好きよ」


エレナ: 「父さんは何処にいるの?」


メルロ: 「いや、猫だって言ったでしょ」


アンナ: 「そうだったわね。でも、父さんってちょっと変わってるわね」


クララ: 「うんうん、でもそれがいいんだよ」


エレナ: 「私も父さんが好きかも」


メルロ: 「……ありがとう、みんな」


メルロは苦笑しながら、メイドたちのからかいに対しても心境の変化を感じていた。

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