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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
6章 駆け巡る噂
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フレデリカの知らないチラシ

フレデリカは一人で他の取引先を回っていた。

家に帰りつくまであと2つ貴族の屋敷への訪問が残っていて、その1つに訪問した。



フレデリカは屋敷に到着し、使用人に案内されて通された客間で商談を始めた。


しかし、客間には予想以上に多くの使用人が立ち会っていた。


フレデリカは不審に思いながらも、商談を進めていった。


「それで、この品質の高い綿素材を今後も供給していただけるということで、私たちは大変喜んでおります。」


フレデリカは取引相手の貴族:フェルナンドに向かって、紙に書かれた提案書を差し出しながら言った。


「ええ、こちらこそ、このような貴重な商品を供給いただけるとは光栄です。ただ、今回はいくつか条件がありまして……」


商談が進むにつれ、使用人たちの存在が不気味に感じられた。


フレデリカは何かが起こりそうな予感を感じながらも、フェルナンドとの話し合いを続けた。



商談が落ち着いた後、使用人たちがフレデリカに話を聞きに集まってきた。


フレデリカはその様子に驚き、テーブルに置かれた紅茶を手に取り、一口飲む。


フェルナンドは「あの、実は、貴女が来ることを聞きつけた使用人たちが、貴女に会いたがって集まってしまったようです。私たちは皆、フレデリカさんとお話したいと思っていたのです。」と説明した。


フレデリカは疑問に思いながらも、その理由に耳を傾けた。


「話とは?」とフレデリカが問いかけると、使用人たちは躊躇しながら、しかし堰を切ったように質問が飛び交った。



ローズ: 「お嬢様、あのパン泥棒さん、どこに行ったのかしら?」


エドワード: 「そうそう、あの事件はどうなったんですか?」


ジェーン: 「あの人、この辺りには現れないでしょうか?」


ウィリアム: 「フレデリカ様、あの人、もう捕まったんですか?」


ジャック: 「あの事件って、ほんとうにすごいですよね。僕たちもあんな大胆なことができたらいいのになあ。」


それを聞いたフレデリカは、口に含んでいたお茶を吹き出しながら驚きました。


フレデリカ: 「なっ、なに!?あの、私は……」



使用人のエドワードがチラシを出してフレデリカに話を聞きたいと言いました。


「すみません、フレデリカ様。このチラシを見てくれませんか?」とエドワードが尋ねました。


フレデリカはチラシを受け取って見出しを読みました。


「はっ!?、パン泥棒と蛇食女スネークイーター!?」と驚きの表情を浮かべました。


「こ、こ、ここここれは一体なななな何ですか?」とフレデリカが尋ねると、エドワードは説明を始めました。


「これは先日のパン泥棒の話です。蛇食女スネークイーターが追いかけていたという噂があるので、皆さん話を聞きたがっているんですよ。」


フェルナンドがチラシを見て、驚きながらもフレデリカに対して


「失礼ですが、フレデリカ様が討伐隊を率いた件については、失敗したとの噂を聞いたことがありますが…このチラシには『蛇食女』と書かれていますが、何かお知りになりますか?」と尋ねた。


「わ、わわ、わわわわ私は討伐隊を率いたことはありませんし?。」


「…………蛇食女スネークイーターに関しても?、全く心当たりがありませんが、ど、ど、どどどどうしてそのようなチラシが回っているのでしょうか?」とフレデリカは答えた。


うそだ。全部心当たりがあるが、このチラシだけは知らなかった。


エドワード: 「このチラシは、騒ぎが起きた街の屋台で配られているものです。みんなで見て、話していたんですよ。」


フレデリカ: 「え、や?や、屋台で配られているものですか?」


使用人の一人がフレデリカに話かけてきた。


「あの、失礼ですが、名前はガスと申します。私は競技者集団『新人類研究所』に所属しています。」


「実は、あの騒ぎの現場にいたんですよ。競技会の審査会議に出席する用事があってあの街を訪れてました。」


「パン泥棒の走り、素晴らしかったですね。ただ、ズボンに隠したパンがなぜあんなに保つのかわからなかったんですが…」



ガスが話をしている間、フレデリカは少し不安げな表情を浮かべていた。


そして、ガスが「パン泥棒の走りは素晴らしかった」と言ったとき、フレデリカは目を見開いて口をつぐんだ。


その後、ガスが「ただズボンに隠したパンがなぜあんなに保つのかわからなかった」と続けたときには、フレデリカの手が震えていた。

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