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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
21章 エミリア襲来
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給仕の自己紹介

※1 こちらのBGMを聞きながら読み進めますと、獲物を捕らえて帰還した給仕の気分を味わえると思います。


  見よ、勇者は帰る

  https://www.youtube.com/watch?v=7e06JEupzvA

ヨハンとマイクは、メルロと給仕が仮面居酒屋の中に入っていく様子を目にしていた。


「ああ、……今回も取っ捕まってしまった。」


「メルロ……、今回はどうなってしまうんだ?。」


ヨハンとマイクは小走りしてメルロと給仕に近寄っていく。


給仕はメルロに逃げられないように、メルロの片腕を後ろ手に締め上げなら仮面居酒屋に入っていった。


「……店長?、約束通りワタシ今からあがりますね?。そしてお客として注文しまーーす♪。」


そう言って給仕は四角い板をポケットから取り出し、それをいじって音楽を鳴らした。


※1


「予約席」と札が立っているテーブルに二人は一歩ずつ近づいていった。


給仕はまるで結婚式場の花嫁のような顔つきでうつむき、微笑みながら歩く。


メルロは顔が死んでいた。その様子はモノ言わぬトロフィーのようだった。


そして締め上げられた腕の痛みを少しでも軽減しようとつま先立ちになっていた。


周りの客はどういう状況なのか把握できていないまま、ただ何となく目出度い事なんだろうなと察し、二人に拍手を送っていた。


ヨハンとマイクは互いに顔を見合わせたが、周りの客に合わせて拍手した。


そこへジョンとクラウスが合流した。


「ん?な、なに?。」


「どういう状況なんだ?。」


「ああ、ついさっきね。今日の決着がついてしまったんだ。」


ヨハンはジョンとクラウスに今の状況を簡単に説明した。


「ん。なんで拍手なんだ?。」


ジョンはヨハンに尋ねるが、その問いにはマイクが答えた。


「……なんであれ、勝者は称えられなければならない。そういう事なんだろうな。」


そして予約席に辿り着いた後、ゆっくり着席した途端、周りからの拍手はひと際大きくなり、口々に「おめでとう!。」という賛辞が寄せられた。


給仕は満面の笑顔で周りの客にお礼を返す。


「ありがとう♪、……ありがとう♪、……ありがとう♪。」


そして給仕はヨハン達に顔を向けて予約席に来るように手招きした。


ヨハン、マイク、ジョン、クラウスは少し戸惑いながらも、給仕の手招きに従って予約席に近づいた。


給仕は微笑みながら、ヨハンたちに席に座るように促しました。


「この予約席は皆さんの為に予約してたんです。」


四人は給仕の言葉に従い、予約席に着席した。


店内の雰囲気は一気に盛り上がり、周りの客たちも興味津々で観察していた。


「給仕さん、……お名前は何て言うんですか?。」


ヨハンが疑問をぶつけてみた。


「あ!、そっかーー。自己紹介がまだでしたね。」


そして給仕は元気に自己紹介を始める。


「あたし、エミリアって言います♪。趣味は~~『つまみ食い』で~~、特技は『空間転移』です♪。皆さんよろしくね♪。」


「く、クウカンテンイ?」


ヨハン、マイク、ジョン、クラウスは戸惑いながらも、笑顔でエミリアに挨拶した。


ヨハンは真剣な表情で言う。


「自分はヨハンって言います。趣味はナンパです。特技もナンパです。よろしく。」


マイクも笑顔で自己紹介した。


「マイクです。趣味は音楽を聴くこと。特技はベースを弾くことだ。よろしくな。」


ジョンとクラウスも順番に自己紹介を続けました。


「俺はジョン。趣味は読書と歴史探求だ。特技はクラシックギターの演奏さ。」


「そして俺はクラウス。趣味は研究と実験だ。特技はヨハンの操縦だ。よろしく頼むぜ。」


エミリアは四人の自己紹介を楽しそうに聞いていた。


そしてメルロに話しかけた。


「で?、ワタシの隣の人は?、自己紹介してくれないの?。」


メルロは視線を合わせずに暗い顔のまま自己紹介を始めた。


「………………メルロと言います。…………趣味は『マビノギオン儀典』の暗号解読です。……特技は『パン泥棒』です。」


エミリアはメルロの言葉に目を見開いた。


「ああ、ああ?あなたが噂の『パン泥棒』だったのね?。それであの硬さだったんだ。…噂通りだったわ。納得♪。」


「……エミリアさん。メルロの名前も知らずにちょっかい出してたんだ。ってかそのセリフはちょっと危険なんで?、アールついちゃうんで?。」


ヨハンは勿論、他の3人も開いた口が塞がらなかった。

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