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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
21章 エミリア襲来
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女主人への緊急報告

メイド3人は急いで屋敷に戻りフレデリカに報告した。


「フレデリカ様ーー!!」


「メ、メルロさんが……!」


「給仕が……フワッて……!!」


フレデリカはメイドたちの興奮冷めやらぬ様子を見て、静かに対応した。


「落ち着いて、ゆっくり話して。どうしたの?メルロに何かあったの?」


クララが息を整えながら説明しました。


「フレデリカ様、か、仮面居酒屋の給仕が突然、メルロさんを攫ってしまいました!!。目の前で真っ黒な闇の中に引きずり込まれてしまったんです!。」


フレデリカは状況が掴めず不思議な表情を浮かべたが、冷静さを取り戻した。


「給仕が?なぜそんなことを……?。」


アンナが続けた。


「給仕は自らを誘拐犯ユウカイハンだと告白してきました。そして、彼女はメルロを『オトナの時間を過ごすための美味しい相手』として見ているようなの!。狼狽えるメルロ自身はその気はないようでしたが……。考えてみるとめずらしい……。むしろ喜びそうな状況だったのに。」


フレデリカは顔をしかめたが、何かを思いついたように言った。


「もしかして、その給仕は…怪盗:猫尻団キャッツ・バットなのかもしれません。先週も現れたのだけれど、人とは思えない動きをしていたわ。今回は仮面居酒屋の給仕?、本当に神出鬼没だわ……。」


エレナが深く考え込みながら話す。


「怪盗:猫尻団キャッツ・バット!?。初めて聞きます……。怪盗の割には堂々としてましたね。そういうものなのかな?。誘拐犯ユウカイハンだと名乗り出た給仕は、自分にとって『美味しい相手』を求めているようでした。でも、なんで、メルロなんだろう?。男なら他にもいるでしょうに?。」


フレデリカは考えこんだ。


(これまでの話の流れを考えると、メルロが襲われているのは、メルロが「ソフィアの相手」と認知されているからなのよね。でも、目の前の3人にそれを説明して納得してもらえるかしら?………無理ね。私だって未だに理解できない。)


フレデリカは考え込んだ後、メイドたちに対して説明することはやめにした。


この奇怪な事件の真相を彼女自身も理解しきれていなかったため、納得してもらえるかどうかもわからなかったからだ。


代わりにフレデリカはメイドたちに対して冷静に行動するよう指示した。


「まずはメルロの安否を確認しましょう。彼がどこに連れて行かれたのか、給仕の正体が何なのか、それらを解明する必要があります。私たちも彼を救出するために行動しなければなりません。」


アンナは考え込みながら提案する。


「……賛同してもらえるかどうかわからないけど……。1日待ってみない?」


メイドたちはアンナの提案に首を傾げた。


「そんな悠長な事して、メルロさんに何かあったらどうするんですか!?」


クララの言う事も最もだったが、エレナは先週の事を思い出した。


「無事かどうかはわからないけど……、帰ってくるかどうかで言ったら、先週は帰ってきたのよね。」


フレデリカも先週の事を思い出して話す。


「先週は目の前で煙のように消えてしまったので、どうしていいのか分からなかったのよね。助けを求めようにも聞く相手を納得させる自信がなかったし、本当に誘拐かどうかわからなかったのよね。」


クララは反論する。


「なんです?『誘拐』じゃないと動けないって言うんですか!?、でも、相手は自ら『誘拐犯です。』って名乗りましたし!、その誘拐犯が今回もどこかに連れ去ったんですよ!?、前回も今回も誘拐じゃないですか!」


アンナはクララの言葉に納得しながらも、冷静に状況を整理した。


「クララの言う通りだと思う。ただし、フレデリカ様も言っていたように、今回も目の前で消えてしまったのよ?、どうしていいのか分からない上に、どこを探せばいいのかわからないわ。メルロが危険かも知れないけれど、無事である可能性も考えられるわ。ただ、急いで動くことが必ずしも最善の策ではないかも知れないのよ。誘拐犯が何を求めているのか、その真意を探る時間が必要です。」


クララはアンナの言葉に納得しつつも、心配と不安が募った。


「でも、アンナさん……メルロさんは今、どこにいるんですか?私、何もできないまま待つのはつらいです。」


クララの言葉にエレナが続いた。


「私はクララの気持ち分かる。それに真意はハッキリしてるんじゃない?『オトナの時間を過ごしたい』って、つまり……。」


エレナの言葉にアンナが慌てる。


「わッ!?わッ!!?、エ、エレナ、言葉に気を付けて、ク、クララが……!」


フレデリカもクララの様子を見て慌てる。


「あーあーあーあ!?、ク、クララが今まで見せた事がない顔をしてる!!?。」


「ご、ごめん。失言だった……。クララ、お、落ち着いて!」


エレナはクララを落ち着かせた。


フレデリカはメイドたちの気持ちを理解しつつも、冷静さを保った。


「クララ、心配なのは私も同じ気持ちです。でも、私たちがただパニックになって動くだけでは、彼を救出するための最善の方法を見つけることはできません。1日だけ、私たちはメルロが帰ってくる事を信じて待ちましょう。」


クララは渋々納得し、フレデリカの提案に従う事にした。

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