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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
21章 エミリア襲来
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大胆すぎる誘拐④

「……先週、誘拐して解放したのはどういう事ですか?」


アンナは質問を続けた。


給仕は考え込みながら答えた。


「え?……ウンと、『キャッチ&リリース』ってやつ?。」


「釣りかよ。」


ジョンは突っ込んだ。


「そうそう!、そんな感じ!。だから今日もそう言うつもりで遊びに来たの♪。」


給仕はジョンの突っ込みを真正面で受け止めた。


「お、おう。」


アンナは更に質問する。


「『オトナの時間を過ごしたい』という事は分りましたが、彼にはその気は無さそうなんですけど、その事についてはどう思っているんですか?。」


メルロはアンナの言葉に同意を示すかのように一生懸命首を縦に振った。


「え?……その気にさせるつもりはありませんよ?。まあ、その気になってくれてもいいですけど……。」


給仕の意外な答えにアンナとメルロは動揺した。


「そ、それは、どういう事でしょう?。」


「私、先週、気付いたんです。『嫌がる彼を頂く事』は、私に取ってこの上なく美味しいと!。そう!その味わいは『究●のメニュー』の味わいに近いって気付いたの!。なので今日も彼をお借りしますね=3。」


興奮気味に話す給仕をみてアンナは思った。


ダメだ。話が通じない。


アンナは誘拐犯との対話を諦めかけた。


しかし、メルロは自分を身柄を諦めきれなかった。


一瞬の隙を突いてテーブルから離れて誘拐犯との距離を取った。


店の出口を一瞥してからフェイントを織り交ぜてこの場から逃走をはかろうとした。


「ん?……あ……れ?」


メルロは片膝を床に付けて崩れるように倒れた。


「お……お……。」


メルロは体が動かせないのか上手く口を動かせない様子だった。


「お、おい!。」


「ど、どうしたんだ!?。」


周りにいた他の客達も慌てだした。


「あ~~はいはい。皆さん落ち着いて、私が介抱しますから皆さん離れてください。はい、そこも離れてください。」


給仕は客にメルロから一定の距離で離れるように促した。


そしてメルロの隣にしゃがみ込んでズボンの辺りに視線を向けた。


「おッ……効いてる♪効いてる♪。」


メルロは掠れた声で給仕に問いかけた。


「……なに……か……盛った…な?」


給仕は笑顔で親指を立てた。


そしてメルロの襟を掴んで引きずると給仕は皆に向かって言った。


「(@´∀`オホホホホホッ。それでは彼をお借りしますね♪。皆さん、ごきげんよう。」


給仕は何もない空間に手を差し出して、まるでそこにドアがあるかのように手を動かすと給仕の前に真っ黒な闇が生まれた。


「(´∀`オッホホホホホ…」


給仕は笑いながらその闇の中にメルロを引きずって進んで行った。


そしてドアを閉じるかのように真っ黒な闇は閉じられた。


「な、なにが起こったんだ……!!!」


その場に居合わせた客は皆パニックになった。


「え?え!?何ッどういう事!?」


「何?あれはなに!?」


「は、あ、あわわ、メ、メルロさんが……攫われた!?」


アンナ達も目の前で起こった事が信じられずパニックになった。


この事件は、誰にも説明ができない奇怪な事件として知れ渡り、皮肉なことに仮面居酒屋の集客が向上する一因ともなった。


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