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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
21章 エミリア襲来
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大胆すぎる誘拐①

メルロが帰ってきた事でフレデリカやソフィア、リリアンは一安心していたが、メルロが帰ってきた後も彼の様子が気になっていた。


彼は元気がなく、返事も上の空であることが多かった為だ。


しかし、日が経つにつれて、メルロは徐々に元気を取り戻していた。


彼の顔色も良くなり、会話も以前のように受け答えするようになった。


フレデリカはメルロに尋ねた。


「メルロ、元気になってきたみたいだけど、この間のことはどうだったの? 何か大変なことがあったのかな?」


メルロは微笑みながら答えた。


「ああ、うん。この間の事はよく憶えていないんです。一昨日ジェームズさんにも顔色が悪いって言われて、休養と十分な睡眠が必要だと言われたんですけど。言われた通りにしばらくゆっくり休んでいたら徐々に回復してきたんです。」


ソフィアがホッとした表情で言った。


「それなら安心ですね。メルロさん、無理をしないで十分に休んで、体調を整えてくださいね。必要なことがあればいつでも頼ってください。」


リリアンも優しく言った。


「本当に良かったです。メルロさん、どんなことがあっても支える覚悟はできてますから、心配しないでくださいね。」


メルロは感謝の気持ちで頷いた。


「ありがとう、皆さん。本当に心強いです。まだ本調子と言えないけど、自分もしっかりと休んで、元気を取り戻しますよ。また皆さんと一緒に過ごせることを楽しみにしています。」


フレデリカ、ソフィア、リリアンはメルロの回復を喜び、彼の安心した笑顔を見てほっとしていた。


    ◇


そして誘拐騒動から一週間が経過していた。


メルロは仮面居酒屋に来ていた。


「おっ!、今日は来てるようだな。」


「先週はどうしてたんだ?、いつもだったらここに来てたはずなのに、居なかったから肩透かし食らったよ。」


ヨハンとマイクがやってきてメルロに話しかけた。


メルロは微笑みながら答えた。


「それがさ、先週のちょうど今頃の事がちょっと思い出せなくてさ。気が付いた時には屋敷に帰ってきていて、皆から顔色が悪いとかいろいろ言われてたけど。でも、今は元気になったからまたここに来れるようになったんだ。


ヨハンは肩をすくめながら言った。


「まあ、健康第一だから仕方ないさ。でも、お前がいないと楽しくないぜ。今日も一緒に飲もうな。」


マイクも同意しながら笑顔で返答した。


「そうだよ、メルロがいないと居酒屋も寂しいんだ。元気になってよかった!今日はお祝いしようぜ!」


「あ、給仕さん。注文いいかな!。」


メルロは近くの給仕にヨハンとマイクの飲み物の注文を頼んだ。


注文を待っている間、ジョン、クラウスも合流した。


「お客様、おつまみです。左側失礼しますね~。」


そう言って給仕の人がメルロが頼んでいたのであろう、最初のつまみをテーブルに並べた。


「あ、俺たちも注文。いいかな?」


ジョンとクラウスは給仕に追加注文した。


「メルロ~。二週間会ってないってだけなのにすごく久しぶりに感じるよ。」


ジョンはメルロの手を強引に掴んで握手した。


「本当だよ。久しぶりに感じる。」


クラウスも笑顔でメルロに握手を求めた。


握手をしている間に飲み物がやってきた。


「お客様、お飲み物です。右側失礼しますね~。」


テーブルに追加で注文した飲み物がならんだ。


全員分の飲み物が並んだのでヨハンは早速乾杯の音頭を取った。


「はい、お疲れ様。」


「「「「お疲れ様。」」」」


クラウスとマイクは一口飲んでタンブラーを置いた。


ジョンは半分くらい飲んでタンブラーを置く。


ヨハンとメルロは一気に飲み干した。


「かああ!、給仕さん♪もう二杯♪。」


ヨハンはメルロの分も一緒に頼んだ。


「……はーい。」


マイクはメルロに尋ねた。


「メルロ、アンナ達はどうしたんだ?。」


「ああ、今日はなんか少し遅れてくるとか言ってたね。その内、来ると思うよ。」


メルロはマイクの問いに答えた。


「そういえば、屋敷に新しい働き手が来てたんだって?」


クラウスは誰かから聞いた噂を思い出してメルロに確認した。


「うん。来てるよ。女性二人だけど、この二人は優しいんだ。ウチの女共も見習ってほしいくらいに。」


メルロは自分の感想をクラウスに話した。


「おいおい、連れて来いよ~!。来週でもいいからさ~!。」


ヨハンは女性二人と聞いていつも以上に明るくなりメルロに提案した。


「うん。今度二人に聞いてみるよ。」


「お客様ご注文のおつまみです。左から失礼しますね~。」


給仕はメルロの左側からテーブルにつまみを並べた。


メルロは気を利かせたつもりで右に首をかしげて左側の空間を確保した。


「続いてお飲み物でーす。右から失礼しますね~。」


メルロは続けて左に首をかしげて右側の空間を確保した。


そこへメイド3人が合流した。


「やっほー。今何杯目?。」


「こんばんわ~。」


「諸君、待たせたね!。給仕のオネイサン!私達も注文いい?。」


アンナ、クララ、エレナが順番に声をかけてきた。


「待ってましたよ!お嬢さん方!」


ヨハンは笑顔で3人を迎えた。

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