捕食者
暫くしてエミリアはミッシェルに不満を漏らした。
エミリア「…ねえ、ターゲットは近くにいるんじゃなかったの?」
ミッシェル「…あれ?…なに?まだ出会わない?…おかしいな…もうその近くにいるはずなんだけど。」
エミリア「あああもうやだ!あれからもう30分も探してるのよ?やだ!もう!疲れた!」
ミッシェル「…いやまだ30分程度だし、単純にガイドに沿って歩いてるだけだよね?。」
エミリアは服が汚れるのも構わず地べたに寝転がり駄々をこねた。
エミリア「…あーー!もう!こんなに人が多いとどこにターゲットがいるのかわからないよ!?」
ミッシェル「コラコラ、そんなところで『認識阻害』を使わないの…。」
エミリア「ん?おや?」
ミッシェル「…おや。どうした?」
エミリア「『認識阻害』を使っているのに全く通じていない人がいる。」
ミッシェル「…なんだってぇ!?」
エミリア「…今、目の前を通り過ぎた。ねえ!そこの君!」
エミリアは続けて声をかけた。
エミリア「ねえってば!!おーい!そこの君!君だよ!」
声をかけた男性は全く振り向こうとしない。ワザとだ。
エミリア「ねえ!!聞こえてるんでしょ!?ねえってばー!!」
エミリアは段々イライラしてきた。
ミッシェル「エミリア!その男性だ!そいつがターゲットだ。」
その言葉を受け、エミリアは本気を出す事に決めた。
エミリア「…ホウ。…いい度胸してるじゃない。」
そう言って彼女の十八番である『空間転移』を使った。
そして、ターゲットの真横で逆さに転移して声を掛けた。
エミリア「ねえ、君、見えてるんでしょ?」
ターゲットは体を震わせ叫び声をあげて駆け出した。
「!?うわあああああぁぁぁぁぁぁあああああ!」
エミリア「…んーん。いい叫び声だわ♪」
ミッシェル「…あーあ。かわいそうに。」
エミリアはターゲットを更なる恐怖に陥れる為、仰向けになり四つん這いで相手を追いかけた。
エミリア「アッハハハハハハハハ…!」
ミッシェル「あ~あ~あ~あ~もうはしゃいじゃって…少し離れた相手には『認識阻害』が通用しないんだからね?分かってる?」
エミリア「分かってます!」
エミリアはターゲットを捕らえた瞬間、近くにある誰もいない小屋へ一緒に『空間転移』した。
ターゲットは恐怖のあまり気絶していた。
ミッシェル「かわいそうに。そこまでする必要ありましたかね?。」
エミリア「ミッシェル。このターゲット面白い!。さっき『空間転移』しようとした時、とっさに座標をずらそうとした!」
ミッシェル「え!?いやいやまさかそんな!?。この世界にそんな事をできる人物なんているはずがないよ?。」
エミリア「そうだけど、でも、実際にやろうとしたんだよこの人。まあ、私がそれに気が付いて修正を掛けたんだけど。…他にも何か秘密がありそう。」
ミッシェル「…楽しそうだね~。」
エミリア「…ふむふむ…私この人気に入っちゃった!今日は時間がないからパパっと済ましちゃうけど、今後も顔出しに来ようかな♪」
ミッシェル「あら~。ご愁傷様。」
エミリア「と言うわけでここからオトナの時間です。Rの時間です。さっ、お邪魔虫は退散してください!。」
ミッシェル「…少しは手加減するんだよー」
こうしてエミリアと言う名の捕食者は獲物を心ゆくまで楽しんだ。