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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
21章 エミリア襲来
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夕食時の会話

夕食の準備は滞りなく進み、皆が食卓についてその日の夕食が進められた。


リリアンとソフィアは、新鮮な野菜やハーブを使った料理を作った。


彼らは笑顔で料理を盛り付けながら、仲間たちと共に美味しい食事の時間を楽しむ事にした。


テーブルには色とりどりの料理が並び、フレデリカが作った特製のサラダやジョセフが手掛けたグリル料理、アンナが焼き上げたパンなどがあった。


皆が自分の分を取り分け、食べる前に一緒に手を合わせて感謝の言葉を述べた。


食事の間、楽しい会話や笑い声が飛び交っていた。


ジョセフはハンスに屋敷を離れていた時の事を尋ねた。


「ああ、あの時の事かい?。あの時は自分の知り合いである神聖騎士団ホーリーナイツの人に協力要請で呼ばれたんだよ。」


ハンスはジョセフの問いに答えた。


「へえ?、そんな知り合いがいたのかい?。何て人なんだい?」


ジョセフにとっては神聖騎士団ホーリーナイツは初めて聞いた名前だった。


「マクシムという人なんだが、神聖騎士団ホーリーナイツの中でも優秀な聖剣騎士団セイバーナイツというグループに所属している人でね。なんでも、世間を騒がせている怪盗団を捕まえる為に協力してくれと言われたんだ。」


フレデリカ「……………」

 ソフィア「……………」

 リリアン「……………」


ハンスの言葉にフレデリカとソフィア、リリアンは固まってしまった。


「マクシムさんとは昔、拳闘士時代に神聖騎士団ホーリーナイツで剣を失った場合の『無手の訓練』に呼ばれた事があって、それ以来からの知り合いなんだよ。」


ジョセフはハンスの話に興味津々だった。


「フーン?、怪盗団ってのは珍しいね?、一体どんな連中なんだい?。」


「それがまた、奇妙な連中だったよ。なにしろ怪盗団だっていうのに顔を隠していないんだ。名前はたしか…、怪盗:猫尻団キャッツ・バットだったな。皆美しい女性ばかりであるにも関わらず身軽で逃げ足が早かった。」


「…ただ、3人いたけどひとり怪しからんヤツがいてね。皆ヤツに腹を立てていた。クソっ、今度出会ったら絶対に捕まえてやる!。」


他人事のように話していたはずのハンスは自分の感情を表に出していた。


ハンスが言う怪しからんヤツとはミッシェルの事である。


怪盗:猫尻団キャッツ・バットは皆、体の線を出すかのようなスーツを身にまとっている。


そして逃げる時に追いかける相手に自然と尻を見せつける。


当日は神聖騎士団ホーリーナイツが警護にあたっていた。


ミッシェルの尻には他の二人にはない「アレ」が付いているので、男性中心の神聖騎士団ホーリーナイツは皆騙されたとばかりに腹を立てていた。


ハンスも例外ではなかったのだった。


「その怪盗団は一体なにをやらかしたんだい?」


ジョセフはハンスに怪盗団の事を尋ねた。


「ふざけた連中だったよ。予め予告状を出していてね、『久しぶりに帰ってきたので家庭の味を頂きに参ります。』という内容だったんだけど、なぜかマクシムさん家の夕食に用意していたシチューが盗まれたんだよ。」


フレデリカ(間違いなくエミリアの仕業だ。)

 ソフィア(間違いない。エミリア姉さんの仕業だ。)

 リリアン(間違いない。エミリアさんの仕業だ。)


フレデリカ、ソフィア、リリアンの3人はこころの中で思った。


そして考えた。


もしかしたら明日、メルロが襲われるかも知れない。


「ねえ、メルロ。明日、安息日だけど、いつも通り街に繰り出すの?」


フレデリカはメルロに向かって声をかけた。


「?、はい、そのつもりですけど?」


メルロは不思議そうな顔をしてフレデリカの問いに答えた。


「…いい?、知らない人に声を掛けられて、どこかに連れていかれそうになっても安易についていっちゃだめよ?」


フレデリカはメルロに注意を促した。


「?、はい、自分はフレデリカ様の言葉に従います。」


メルロはそう答えたが、フレデリカは少し心配だった。


見目麗しいエミリアがメルロに声を掛けた時、メルロは本当に自分の言葉を思い出して警戒してくれるだろうか。


ソフィアとリリアンも同じ気持ちだったらしくメルロに声を掛けた。


「最近は本当に物騒ですから、男性と言えども一人は危ないですからね。気を付けてください。」


「メルロさん、本当に気を付けてくださいね。その子供たちの為にも。」


「…子供たち?」


ソフィアとリリアンの中では、まだ、エレナのお腹の中にはメルロの子が宿っている事になっていた。


フレデリカ、ソフィア、リリアンの言葉にメルロは少し戸惑いながらも頷いた。


「わかりました、皆さんの言葉には十分に気をつけます。心配しないでください。」


彼女たちの心配を受け止め、メルロは明日の行動に対して慎重になることを心に誓った。


夕食の席では、メルロを含めた仲間たちが楽しい時間を過ごしたが、彼女らの心には怪盗団の存在やメルロの安全が重くのしかかっていた。


      ◇


翌日、安息日の朝、メルロは街に出かける前に再びフレデリカ、ソフィア、リリアンに声をかけられた。


フレデリカは心配そうな表情で言った。


「メルロ、本当に気をつけて行ってきてくださいね。危険な人々に引っかからないようにしてください。」


ソフィアとリリアンも同意の表情を浮かべてメルロを見つめた。


メルロは微笑みながら彼女たちに向かって言った。


「ありがとうございます、心配してくれて。約束しますよ、無理はしないし、自分の身を守るようにするから、安心してください。」

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