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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
20章 必殺!?仕置人
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オシオキ⑥

「さあ!、お次はどなたですかな?」


『メルロの姿をした誰か』は両手を広げてアンナとフレデリカに向かって言った。


そしてゆっくり歩いて近づいていった。


  アンナ「!!!」

フレデリカ「!!!クッ!」


アンナとフレデリカは体が動けるようになった事を確認した。


「アンナ!、逃げなさい!?ここは私が食い止めるから!」


フレデリカは『メルロの姿をした誰か』と戦う為に構えた。


拳は握らず半身で構えた。


「…逃がしませんよ?」


そう言って『メルロの姿をした誰か』はまた羽を投げてきた。


「!…なんだか分からないけど同じ手は食わないわ!」


フレデリカはその羽を避けて構えなおした。


「………フ、フレデリカ……」


アンナがフレデリカに声を掛ける。


「アンナ!、早く逃げなさい!」


フレデリカは近づいてくる『メルロの姿をした誰か』に視線をむけたままでアンナの呼びかけに答えた。


「………に、にげられないの……」


「…!?え?………」


フレデリカはアンナの悲痛な声が気になりアンナを見た。


「…あ、足が動かないの……」


フレデリカはアンナの足に羽が刺さっている事に気が付いた。


先ほどの羽はアンナが狙いだったのだ。


パン!


「あ?」


フレデリカは視線を外した隙を突かれ、『メルロの姿をした誰か』に前に差し出していた手を掴まれた。


『メルロの姿をした誰か』は後ろに下がりながら手を下げていく。


「え?え?ええ?」


フレデリカは抵抗できずに前に歩きながら体を前に倒した。


「…メルロに教えてやってくださいね?その気になればこういう手品だってできるんですから。」


『メルロの姿をした誰か』はそう言ってフレデリカを前に倒した後、両腕を後ろ手に縛り上げた。


そして軽々とお姫様だっこした後、近くにある大き目の野外用テーブルにフレデリカを仰向けに寝かせた。


「……何をする気!?、エロい事でもしようっていうの!?」


フレデリカは『メルロの姿をした誰か』に向かって言った。


「…うーん。エレナさんといい、フレデリカさんといい、本当にあなた方はそういう事に興味津々ですね。…そういう事はご褒美になってしまうのでそれはしません。」


『メルロの姿をした誰か』は冷静に話す。


「そういえば、フレデリカさんと会うのは二回目ですね。」


「に、二回目?」


いつあっただろうか?


フレデリカは『メルロの姿をした誰か』の言葉に疑問を抱いた。


「はい。最初にメルロを拾っていただいたときですよ。あの時はまだこの地域の言葉を理解できないまま話しかけてしまいましたね。」


「!…あの時の?」


フレデリカはメルロを最初に拾う前に、自分に掛けられていた声の事を思い出していた。


その時は全く知らない言葉なのに意味が伝わってきて困惑し、恐怖していた。


「……わ、私達が一体何をしたって言うのよ!?」


フレデリカは『メルロの姿をした誰か』に向かって問いかける。


クララとエレナがお仕置を受ける理由は分かった。


しかし、フレデリカは自分やアンナがお仕置を受ける理由がわかってなかった。


「…いつだったか、今日みたいにメルロが酔っぱらってフラフラになって帰ってきた事がありましたよね?アンナとあなたはメルロを彼の部屋に運んだ。憶えてますか?」


『メルロの姿をした誰か』は語りだした。


「……それが、どうかした?…たまにそういう事あるのよ。…感謝してほしいくらいよ。」


「はい。その事には感謝してます。…まあ、その時はメルロの危機という程の事ではなかったので、私もその時の事は分からなかったのですが……」


そう言って『メルロの姿をした誰か』は、何かが入った樽をテーブルの近くに持ってきていた。


「あなたとアンナさん。……二人でお医者さんごっこしてましたよね?」


  アンナ「!???」

フレデリカ「!??????」


アンナとフレデリカは『メルロの姿をした誰か』が言ったことに驚いていた。

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