オシオキ②
「え、ええ、えええ!?、何、何、何なのコレ!?」
そして目の前にはいつの間にか用意されていた机と椅子にメルロが座っていた。
「………クララさん。クララさんはマビノギオン偽典って知ってます?」
机で手を組みながらメルロが尋ねた。
知ってるも何も、クララが尊敬する魔王様の作品だ。知らないわけがない。
だが、正直に話すと何か良くない事が起きそうな気がしていた。
「メ、メルロさん、こ、これ何ですか?これ外してもらえませんか?」
「…クララさん。クララさんなら、マビノギオン偽典の事、知ってるんじゃないかなって思ってるんです。」
メルロは静かにクララに尋ねる。
「ちょっと、なんで?何でこんな事を?どうか離してください」
クララはもがきながら、メルロに自分を解放するよう訴えた。
「クララさん!!」メルロは声を強めにする
「!、は、はい。」クララはたじろいだ。
「クララさん。…貴方、知ってて話をはぐらかそうとしてませんか?」
(Σ(゜Д゜;)ウッ!)クララは図星を突かれて言葉に詰まった。
「クララさん。マビノギオン偽典の後書き読んだことあります?、あれ、ブ男同士が絡み合うきっつい同人誌への愛があふれてるんですよね。」
「………」クララは静かにメルロの話を聞いた。
「ブ男同士が絡み合うきっつい同人誌と言えばクララさん。貴方の大好物ですよね?でも貴方は消費者であって作り手じゃない。クララさん、アレ、貴方が知ってる人が書いたんじゃないんですか?」
今日のメルロは何かがおかしい。そう感じたクララはメルロが望む答えは出さない方がいいと判断した。
「き、今日のメルロさん、何かおかしいです!私をここから離してください!、でないと、私、何も話しませんから!」
クララは毅然とした態度でメルロに言った。
「……強情ですね。」
メルロはそう言って少し離れた処から1つの皿を持ってきた。
其の上には丸いなにかが乗っていた。
「クララさん。クララさんには何としてもお話ししていただきますよ?」メルロはクララにそう呼びかけた。
「(´_`。)わ、私、何も話しませんから!嫌いです!今日のメルロさん」クララはそう言って涙ぐんだ。
「クララさん。自分は何としてもクララさんに話してもらいたい。強情をはらないで?ね?」メルロは妙に優しく話しかける。
「(´A`。)グスッ嫌いです!メルロさんなんて!」クララは涙を流しながら拒否し続けた。
「……仕方ありませんね=3。そんなクララさんには『タコ』と食べていただきます。」とメルロは溜息交じりで話した。
「え、???た、『タコ』?」クララは泣くのをやめ唖然としていた。
クララは確かにアンナやフレデリカと同じように『タコ』が嫌いだ。
しかし、皿の上にはそのようなものは見られず、ただ、丸い何かが乗っているだけだった。