彼の目的
「…………な、名前はなんていうの?」エレナは慎重に話す。
「あはw、メルロに体をあげた時に捨てました。」
『メルロの姿をした誰か』は満面の笑顔で言った。
「…な、なにが目的なの?」エレナは『メルロの姿をした誰か』に問いただす。
「目的といいますと?…皆さんに会いきた事でしょうか?それともメルロに体をあげた事でしょうか?」
『メルロの姿をした誰か』は静かに質問の意図をエレナに聞いた。
「……両方!…」エレナは賭けに出た。
「!…クッフフフ…アッハッハハハハ…いいですね。この状況下でそんな欲張りで大胆な発言ができるとは。そんな貴方だからメルロも貴方に好感を持っているんでしょうね?」
『メルロの姿をした誰か』は咳き込んでのどの調子を整えて言った。
「まず、『メルロに体をあげた事』についてですが、彼に自分の体を使って『新しい人生』を歩んでほしかったのです。」
「……それは貴方に何の得があったの?…」エレナは尋ねた。
「…うーん。質問が多いようですが、まあ、いいでしょう。答えは簡単です。この体を有効活用してくれそうな人に引き継ぎしたかったのですね。」
「…死ぬつもりだったって事?」エレナは眉をひそめて尋ねた。
「…まあ、そう言えるんでしょうかね?引退を考えてはいましたが、自分が鍛え上げたこの『体』は残しておきたかったのですね?、なので有効活用してくれそうな今の『メルロ』に譲ったんです。…ただ」
「…ただ?」エレナは先を促す。
「話が進んでいくうちにどんどんどんどんアホな話の連続で、私もこの話の作者もホントどうしたらよいものかと思いつめてしまいました!!!!」
『メルロの姿をした誰か』は頭を抱えて叫ぶように言った。
エレナ「……………」
クララ「それは……」
アンナ「ご愁傷」
フレデリカ「様です。」
「…え…とっ私達に会いに来たというのは?」エレナはもう一つの質問の答えを求めた。
「それは勿論、メルロに代わって貴方たちをお仕置に来ました。」
エレナ「!!!」
クララ「!!グス…」
アンナ「!!」
フレデリカ「!???」
『メルロの姿をした誰か』の発言に女共が慄く。
「ちょっ、ちょっと待って一体どういう事?私達、メルロに何かした?」エレナは慌てた。
「言ったじゃないですか?マビノギオン偽典に隠されたエッチな話の中に『トウサンジュニア』が『生出演してる』って、彼、自分がいい思いをしていないのに、お話しの中ではいい思いをしてる事になっちゃってるんですね?しかも複数のお話しで。もしかして、シリーズ全巻そうなんですか?」
『メルロの姿をした誰か』は「困った人達だな」と言わんばかりの顔で答えた。
「か、架空の話じゃない?。それが一体ダレの『息子』かどうか何て誰も気にしないわよ!?」エレナは架空の話でそこまで心配にするのは行き過ぎていると暗に訴えた。
「その割には深ーーーい『造形の説明』でしたよ?」
「ウッ」
「貴方の本、水面下で大ヒットしてますよね?男女ともに」
「ム…」
「…メルロにその時が訪れたら、相手はどう思うでしょうね?、相手の人、マギノビオン偽典の真の姿を知らなければいいのですが」
「…知っていると、ど、どう思われると?」
「ヤ●ティーンって思われますよ?」
「…ラ●ディーンみたいに言うな!怒られるでしょ!」
「メルロは大分傷ついてました。最近はある目的の為にいろんなお酒を試しているようですが、傷ついた時の気持ちが表に出てしまうのでしょうね、気を失う位、危険な量を飲んでたようです。なのでお仕置だけじゃなく、緊急救助も兼ねて私が来たのです。それにこの体は元々私の体でもあります。なので、………私も怒ってるんです。」
「ウウッ!」
ごもっともな意見がでたところで、エレナと呼ばれる一匹の女は頭を回転させて話の方向性を変えようとした。
「…ぐ、偶然よ?、ただのぐ・う・ぜ・ん。それが本当に『トウサンジュニア』だって証拠があるわけないじゃない。」
「クララさんがキッチリ白状してくれましたよ?お二人でマジマジと観察されてたんですよね?そして、マビノギオン偽典に登場させる為の取材だって言ってたそうですね。」
「クララァァァァァァ!?」
エレナは自分の忠実な僕に裏切られていた事に衝撃を受け叫んだ。
「ごめんなさい、魔王様本当ごめんなさい。ひいぃぃぃん!」
クララは泣いた。