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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
19章 Oh!ヨメサンバ
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不和

「メルロがよそよそしい?」


フレデリカはアンナ、エレナ、クララからその話を聞いた。


エレナはトウサン(猫)の出産の事について飼い主であるメルロと相談したいのだが、最近その事で話そうとしてもかわされてしまっていた。


出産に関しては、アンナ、クララに秘密にしようとメルロと約束していた。なので、この場でその事を言うわけにはいかなかった。


クララは最近縮まったと思われた距離感が、また開いた気がして落胆していた。


クララもまたメルロに対して内に秘めた想いがある為、この場で詳しく言えなかった。


アンナはただ、ただ、違和感しかなかった。エレナとクララから相談を受けるまでアンナも気づかなかったが、アンナの方からメルロに近づこうとするとメルロの方から離れていく様子が見受けられた。


「私は元々距離を置いてたからわからなかったけど、いつからそんな事になっていたの?」フレデリカは3人に尋ねた。


アンナ「うーん。」


クララ「それが本当につい最近で…」


エレナ「理由がよくわからないんです。」


フレデリカは近くにいたソフィアとリリアンにも聞いてみた。


「二人はメルロに何か変わった事を感じなかった?」


ソフィアとリリアン一つだけ思い当たる事があった。


しかし、その時は暗号文の解読についてメルロの部屋にいた時で、この事は周りにいる人たちには秘密にするようにメルロとも約束している事だった。


其の為、その時の様子を詳しく話せなかった。


それにそれ以降はソフィアもリリアンもメルロとは普通に接していた為、それ以上に変わったことは感じられなかった。


「…いえ、私達は変わったような様子には見られませんでしたけど、今日も普通に話してましたし。」ソフィアはフレデリカに答えた。


その時、ちょうどフレデリカの視界にメルロが入った。


「メルロ、話があるのだけれど…」と声をかけた。


しかし、メルロはフレデリカの方を一瞥した後、足早にどこかへ行ってしまった。


「え?、ええぇ?な、何なの一体?」今、フレデリカ自身も避けられているという違和感を感じた。


「どうかされたんですか?」ジョセフとマーガレットが顔を出した。


「ええ、ちょっとメルロの態度がよそよそしいと相談を受けまして、本人に話を聞こうとしたら私も避けられてしまったんです。」フレデリカはジョセフに答えた。


「私達とは普通に話をしてましたけど。ねぇ?」マーガレットはフレデリカに答えつつ、自分の夫に答えを促した。


「?…喧嘩でもされましたか?」ジョセフはフレデリカに尋ねた。


フレデリカは首を振りながら答えた。


「いいえ、喧嘩はしていないと思います。」


ジョセフとマーガレットは考え込んだ表情で互いを見つめ合った。


「もしかしたら、メルロに何か悩み事があるのかもしれませんね。」ジョセフはフレデリカに言った。


「そうですね。メルロが困っているのなら、何か力になれる事があればいいのだけれど。フレデリカ、もう一度メルロに話を聞いてみてください。もしかしたら、彼が話したがっていることがあるかもしれません。」


フレデリカはジョセフとマーガレットの言葉に頷きながら、再びメルロに話を聞くことを決意した。


その後、フレデリカはメルロの部屋を訪ねましたが、ドアをノックしても反応はありませんでした。


「メルロ、大丈夫ですか?話がしたいことがあるんです。どうか話を聞かせて?。」


しかし、部屋の中からは静寂が返ってくるばかりだった。


メルロは部屋にいることを確認したにもかかわらず、反応がないことにフレデリカはますます心配になった。


「もしかして、メルロは一人になりたいと思っているのかもしれません。私たちはしばらくそっとしておくべきかもしれませんね。」


ジョセフとマーガレットも同意し、フレデリカに助言した。


「そうですね、時には一人で考える時間が必要な時もあるんだよ。メルロが話をしたいと思ったら、自然に話してくれるでしょう。」ジョセフがフレデリカに言う。


「心配な気持ちはわかるけれど、今は彼のペースを尊重しましょう。きっと何かある時、話してくれるはずです。」マーガレットも続けた。


フレデリカは少し躊躇しながらも、ジョセフとマーガレットの言葉に従うことにした。


フレデリカ「そうですね、私もメルロを尊重して待ってみます。…こんな時ハンスさんがいないのが残念です。」


彼がいれば一緒にメルロのことを心配し、サポートしてくれるだろうとフレデリカは感じていた。


しかし、ハンスは現在不在であった。


「ハンスもメルロのことを心配してくれるでしょうね。彼が戻ってきたら、話を聞いてもらえるかもしれませんよ。彼はいつ戻ってきますかね?」ジョセフはフレデリカに尋ねた。


「それが、しばらくの間というだけで、いつ戻ってくるのかわからないのです。こればかりは仕方がありませんね。」フレデリカはジョセフの問いに答えた。


フレデリカ達はハンスの帰りを待ちつつ、メルロの様子を見守ることにした。


その日は皆で夕食をする日であったが、メルロは姿を現さなかった。


ソフィアとリリアンの話では、街の仮面居酒屋に向かったようだとの事だった。

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