体に浮き出る模様
ハチは少し動揺した様子でメルロに近づいた。
ガチャガチャガチャ
「…………なに?なかなか帰ってこないから迎えに来たって?、いや、気持ちはうれしいけど、お前が屋敷からきた存在だとバレるとなにかと厄介なんだよ。屋敷の人たち皆イタンシンモンにかけられてしまうんだぞ!?」
ガチャガチャ
「………もしかして、お前、…今日だけじゃなくて何回か屋敷を抜け出しているのか?……」
ガチャガチャガチャ
「………散歩か?……」
ガチャガチャガチャ
「………おいおい、毎日あれだけ、お前の剣舞につきあってやっただろ?…あれでも足りないっていうのか?…」
ガチャガチャガチャ
「………まあ、いい、今日はお前、迎えに来たんだろ?…じゃあ、一緒に帰ろうか?…」
ガチャチャガチャ
…なにやら、うれしそうだった。
ガチャガチャガチャ
「………なに飲んできたんだって?…ワインとビール、スコッチとかいうのと、ブランデーとかいうのもあったな。あと、コメから作った酒もあったな。…」
ガチャガチャガチャ
「………そんなに飲んでどうするんだって?…なんかこの間、居酒屋の帰りに体を見たらさ、意味ありげな痣というか、模様が体に浮き出てたんだよな。次の日になったら消えてたけど。」
「……その後もたまに、体に模様が浮き出て来てたんだよな?。…もしかしたら、飲んだ酒の種類によって模様が浮き出てくるんじゃないかってさ。それで試しにいろんな酒を試してみてるんだよ。」
ガチャガチャガチャ
「……今日はどうだったんだって?。…うーん。今日は外れかな?、それに流石に飲みすぎてもう限界。本当、なにを飲んだら模様が出てくるんだろう?」
ガチャガチャガチャ
「……酒はセイジンになってからだって?…ダイジョブ、ダイジョブ!、今日もヨハンと「イヤイヤ聖人」になってたからダイジョーブ!。」
ガチャチャガチャチャガチャチャ
「……何?そうじゃないって?…年齢が適齢になってからだって?。なんだよ。そんなに自分はワカク見えるのかよ?。」
ガチャガチャ
「……ごめんなさいって?…おい!謝るなよ?少し頑張れよ?熱く成れよ!。」
ガチャガチャガチャ
「……まあ、そんな事はどうでもいいって?、オイ、お前から話を振ったんだろ?。」
ガチャガチャガチャ
「……ん?ひじの外側に模様が浮かんでるって?……本当だ?…何飲んだらこうなるんだ?。」
ガチャッガチャガチャ
「……酒の種類じゃなくて、量とかじゃないかって?。…うーんそうか。その線で今度試してみようかな?」
ガチャガチャッガチャ
「……体に悪いからやめとけって?。そう言われてたってさ、じゃあ、この模様の事は忘れろってか?、いやだよ。せっかく何か手掛かりみたいなものが見つかったのに!」
ガチャガチャガチャッ
「……誰かに相談してみろって?…うん。誰がいいかな?」
ガチャガチャガチャ
「……クララさんか。うんそうだな。……いや!、やめて置こう、トウサンジュニアが大人しくしてくれそうにない。」
ガチャガチャガチャ
「……アニキか。うんそうだな!。アニキなら相談に乗ってくれるかも知れない。ハチ、ありがとう。明日ハンスのアニキに相談してみるよ。」
ハチは軽快に振り返りながら、ガチャガチャと鳴った。
しかし、自分の期待とは裏腹に、アニキは暫く外出して戻ってこないとの知らせをフレデリカから知った。