予告状
フレデリカはソフィアに向かって話しかけた。
「ソフィア、エミリアの行動について、もう少し詳しく教えてもらえますか?彼女が盗みを働くようになったきっかけや、その後の様子など、できるだけ情報を集めたいのです。」
ソフィアは頷いて続けた。
「きっかけは、知り合いの大学教授の論文をつまみ食い、つまり論文の基本部分だけを盗んだことがきっかけだったようです。」
「彼女はつまみ食いした論文の一部を他の論文からつまみ食いした部分とかけ合わせて新しいものを生み出す事に成功し、その成功に喜びを感じたのだそうです。」
「以来、しばらくの間、大学に行っては論文のつまみ食いを楽しんでしたようです。」
「そして、一人の大学教授が彼女の存在に気が付きました。教授は彼女の才能に気付き、彼女を使って普通では手に入らないものを手にする事ができるようになりました。」
フレデリカとベアトリスは驚きながらも、エミリアの行動がますます深刻なものであることを理解した。
彼女が盗みを繰り返し、その才能が利用されることでさらなるトラブルが生じた可能性があることを認識した。
フレデリカは真剣な表情でソフィアに問いかけました。
「エミリアがその大学教授に利用されるということは、彼女の盗み行為がさらに広がる可能性があるということですね。他の人々にも被害が及ぶかもしれません。」
ベアトリスも同意した。
「フレデリカの言う通りよ。エミリアの行動がさらなる被害を引き起こす可能性があるということよね。これまでの話を考えると、彼女の行動は確かに『災い』という言葉にふさわしいような気がするわ。」
ソフィアはフレデリカとベアトリスの言葉に対し首を横に振った。
フレデリカ「?」
ベアトリス「何?どういう事?」
「可能性では無く既に引き起こされています。何度も」
ソフィアの言葉に、フレデリカとベアトリスは驚いた。
フレデリカは困惑しながら尋ねた。
「何度も、ということですか? エミリアの盗み行為は、もう何度も被害を引き起こしているということですか?」
ソフィアはゆっくりと頷いた。
「はい、正確な回数は分かりませんが、彼女が盗みを働いたことで被害を受けた人は多いようです。その被害は、財産の喪失だけでなく、信頼関係の崩壊や人間関係の悪化など、様々な形で現れています。」
フレデリカとベアトリスはますます驚きを隠せなかった。
彼らはエミリアの行動がこれほどまでに広範囲で被害を引き起こしていたことに愕然とした。
ベアトリスは口を開いた。
「もう、それは大問題だわね。エミリアさんの行動がこんなに広がっていたなんて、私達は全く気づかなかったわけでしょう?」
ソフィアは悲しみを含んだ表情で頷いた。
「はい、私も同じですし、父も同じです。姉妹として、家族として、彼女の行動を見過ごしてしまったことに責任を感じています。父はそれを取り戻す為に行動しています。」
フレデリカはソフィアの言葉に同意した。
しかし、ベアトリスは、まだ納得していなかった。
「まだよ!、私の勘が、まだ何かが足りていないと告げているわ。…もう少し話を聞かせてもらえない?、それほど広範囲に被害を出していたって事は、私達が知っている事件とかあったりする?」
ソフィアは考え込んだ後、ベアトリスの質問に答えました。
「この間、国外で有名な絵画の一部が盗まれたという事件がありましたでしょう?、あれはエミリアの仕業です。」
ベアトリスとフレデリカは驚いた。
国外で有名な絵画の一部が盗まれた事件がエミリアの仕業だったとは思いもよらなかった。
フレデリカは深く考え込みながら尋ねた。
「その事件はどのようにしてエミリアの関与が明らかになったのですか?」
ソフィアは答えた。
「その犯人が、絵画を盗む前に予告状を出していたからです。その予告状には、特徴的なフレーズが使われており、捜査当局が彼女の関与を疑ったのです。」
ベアトリスは頷いて言った。
「なるほど、事件現場にはエミリアの指紋や足跡が残されていたとか、それによって彼女が犯人であることが確定したとか?。」
ソフィアはまた首を横に振った。
「いえ、彼女は指紋や足跡を残しません。」
ベアトリス・フレデリカ「え?」
「じゃあ、どうやって特定したの?」ベアトリスは疑問をぶつけた。当然の反応だ。
「彼女は過去に引き起こした事件で、事件前に自ら姿を現して予告状を出した事がありました。その時の予告状と同じフレーズが使われていたからです。」とソフィアは淡々と語った。
ベアトリスはその様子が引っかかった。
「え?、待って待って、今、重要な事を聞いた気がするんだけど。『過去に引き起こした事件で事件前に自ら姿を現して予告状を出した』?ど、どういう事?」
フレデリカはベアトリスが何を言いたいのか気が付いた。